【為替本日の注目点】ドル円2カ月ぶりに111円台に

ドル円は目先の下値のメドであった112円を割り込み、111円63銭まで下落。米長期金利の低下や日米首脳会談での不透明感がドル売りにつながった。ユーロドルは反落。ドラギECB総裁が、インフレ回復のためには金融政策の支援が依然必要と述べたことが材料に。ユーロドルは1.0705まで売られ、ユーロ円は12月5日以来となる119円台に。株式市場は反落。欧州市場の下落や、トランプ政権への慎重な見方が広がり、ダウは19ドル下落。欧米で株価の下落が進んだことから債券は買われる。また、仏大統領選のリスクを意識した債券買いもあり価格が上昇。長期金利は2週間ぶりに2.41%台へ低下。ドルが売られ金は続伸。原油は米リグ稼動数の増加が重石となり反落。
ドル/円111.63 ~ 112.59
ユーロ/ドル1.0705~ 1.0755
ユーロ/円119.95 ~ 120.71
NYダウ -19.04 → 20,052.42ドル
GOLD +11.30 →1,232.10ドル
WTI -0.82 → 53.01ドル
米10年国債 -0.052 → 2.413%
本日の注目イベント
豪 RBA、キャッシュターゲット
日 12月景気動向指数
中 中国 1月財新サービス業PMI
中 中国 1月財新コンポジットPMI
中 中国 8月外貨準備高
独 独12月鉱工業生産
欧 企業決算 → BP、BNPパリバ
米 12月貿易収支
米 12月消費者信用残高
米 企業決算 → GM、ディズニー
加 カナダ12月貿易収支
加 カナダ12月建設許可件数
ドル円は直近の重要なサポートであった112円をあっさり割り混んで、111円63銭まで円高ドル安が進みました。昨日この欄でも記述したように、強力サポートも、明確に割り込めば下落のスピードが速まり、昨日の展開もそのようでした。ただ、ドルが下落した明確な理由も見つけにくいという状況です。
米国株が下がり、長期金利が低下したことが直接の原因だったようですが、その金利低下も、欧州でドイツなどの金利が、政治的リスクを避けるという観点から低下したことの影響を受けているようです。もちろん、今週末に予定されている日米首脳会談での「トランプ口撃」を想定して、ドルの上値が重かったことも理由に挙げられると思います。また先週末に発表された1月の雇用統計で、賃金の上昇率が鈍化していたことも、3月のFOMCでの利上げ観測の後退につながり、ドル売り材料として尾を引いたようです。
ドル円は111円63銭まで売られ、約2カ月ぶりの円高です。直近のドル高値である118円66銭からは、7円の円高が進み、トランプラリーでの上昇分の多くを吐き出した格好になりました。因みに上昇分の「半値戻し」は109円93銭になり、現時点では考えにくいものの一応意識はしておくべきでしょう。
ドル円の上値の重い展開は先月半ばあたりから続いていましたが、このままズルズルと下げていくのか、あるいはここから110円のゾーンが最後のドルの買い場になるのか、全てはトランプ大統領の言動次第です。とりわけ、日米首脳会談でどのような話し合いになるのかが、現時点での最大の変動要因です。今回のトップ会談には、麻生財務大臣や、岸田外務大臣、さらには世耕経済産業大臣も同行します。もちろん、財務省の為替の責任者である浅川財務官も同行し、日本が円安誘導を行っていないことを説明すると見られます。言ってみれば、「オールジャパン」で臨むことになり、これ自体前例のないことかもしれません。政府としても、この大統領就任後の最初の会談を極めて重要だと位置づけていることが窺えます。
ユーロ円が昨年12月5日以来となる120円割れまで売られて来ました。上述のように、ドル円ではドル売り円買いが加速し112円を割り込む一方、ドラギECB総裁が欧州議会の証言で、インフレ率の上昇には依然として金融政策の支援が必要との認識を示したことがユーロ売りを誘っています。
本日もドルの上値が重い展開が続きそうです。昨日は短期的な動きを示す「1時間足」のMACDでは、ゴールデンクロスを示し112円70銭を超えましたが、一目均衡表の雲の下限で押し戻された格好になっています。ただ、この雲は比較的薄いので 抜ける可能性もありますが、まずは本日の日本株の動きです。昨日からのセンチメントではドルの下値を試す展開が想定されます。予想レンジは111円~112円30銭程度と見ます。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は目先の下値のメドであった112円を割り込み、111円63銭まで下落。米長期金利の低下や日米首脳会談での不透明感がドル売りにつながった。ユーロドルは反落。(イメージ写真提供:123RF)
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2017-02-07 09:30