【為替本日の注目点】ドル円再び111円台に

 ドル円は東京タイムから欧州にかけては112円台でもみ合ったが、NYでは長期金利の低下を手がかりに111円63銭まで下落。その後112円近辺に戻して引ける。ユーロドルは上値が重い展開が続き1.06台半ばまで下落。株式市場は反落。金利低下を材料に金融株などが売られ、2万ドルの大台を維持しながらも一進一退の展開。債券相場は4日続伸。トランプ政権の財政政策に不透明感が高まってきたことが背景。長期金利は2.33%台まで低下し、ドルの上値を抑える。金は小幅ながら5日続伸。原油価格は在庫が予想外に減少していたことから反発。 ドル/円111.63 ~ 112.22</td></tr> ユーロ/ドル1.0654~ 1.0714</td></tr> ユーロ/円119.53 ~ 119.88</td></tr> NYダウ -35.95 → 20,054.34ドル</td></tr> GOLD +3.40 →1,239.50ドル</td></tr> WTI  +0.17 → 52.34ドル</td></tr> 米10年国債 -0.057 → 2.336%</td></tr> 【本日の注目イベント】 独 独12月貿易収支 欧 企業決算 → ソシエテ、ウニクレディト、モンテ・パスキ 米 新規失業保険申請件数 米 企業決算 → コカコーラ、ツイッター 米 エバンス・シカゴ連銀総裁講演             明日ワシントンで行われる、日米首脳会談を前に、会談でトランプ政権側からどんな議題が提起されるのか読み切れないことから、ドル円は昨日の東京時間から欧州時間にかけては112円台前半から半ばのせまいレンジで一進一退でした。だだ、NY市場では一時111円台半ばまで下落する場面があり、もみ合いの中でも上値の重さが目立つ展開です。  ドル円の上値を重くしているのは、日米首脳会談の不透明さだけではありません。米長期金利が低下傾向を鮮明にしているからです。昨日のNY債券市場でも、長期債が買われ、金利は2.33%台まで低下しています。金利はこれで4日続落(価格は4日続伸)しましたが、投資家の間で、景気刺激策が近く発表されるとの期待が薄れたことが背景です。また欧州でも、ドイツ国債などに見直し買いが入り、金利が低下していることも材料になっているようです。世界最大の運用買会社のブラックロックのCEOは、財政出動の出遅れで10年債利回りが2%を下回る可能性が高まっていると指摘しています。(ブルームバーグ)  明日からの会談で、いわれなき円安誘導を避け、今後の新しい日米関係を構築すべく、政府もその方策に苦心しているようです。今朝の報道によると、安倍首相は会談で日米の「新しい経済協議」の枠組みを提案する模様です。具体的な内容はまだ分かりませんが、貿易や投資に関する内容で、双方が利益を得る経済関係の構築を提起するようです。  すでに、ソフトバンクやトヨタなどが米国への大規模な投資を表明していますが、米企業もトランプ大統領に嫌われまいと、投資を表明しています。世界最大の半導体メーカーであるインテルは8日、アリゾナ州チャンドラーの生産施設に70億ドル(約7840億円)を投じることを、トランプ大統領との会談で明らかにしています。米国に資金が集まり、同時に雇用も拡大することが、ドルの下落には一定のサポートになると考えられます。  ドル円は再び111円台まで下落して来ました。上述のように、米長期金利の低下が重石となっており、本日もドルの下値を試す展開が予想されます。2日前には111円60銭で下げ止まり、112円台半ばで反発しましたが目先の下値のメドは111円台半ばでしょう。テクニカル上の重要な節目は110円前後まで見当たりませんが、111円も心理的な節目と見られます。明日の日米首脳会談前に、ドル売りを仕掛けるのもリスクがあり、一気に110円台という展開は予想しにくいと思われますが、米金利の上昇のきっかけがつかみ切れないのも事実です。ドルの下落には注意しながら、予想レンジは111円~112円30銭程度とします。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は東京タイムから欧州にかけては112円台でもみ合ったが、NYでは長期金利の低下を手がかりに111円63銭まで下落。その後112円近辺に戻して引ける。(イメージ写真提供:123RF)
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2017-02-09 09:30