巴工業は下値切り上げの動き、収益改善を評価して出直り展開

  化学機械メーカーの巴工業 <6309> の株価は全般地合い悪化の影響を受ける場面もあるが、下値は着実に切り上げている。設備投資需要回復に伴う収益改善を評価して出直り展開だろう。指標面の割安感も支援材料だ。   遠心分離機械を中心とする機械製造販売事業、合成樹脂や化学工業薬品などを中心とする化学工業製品販売事業を2本柱としている。中国ではコンパウンド加工事業も展開し、13年11月には中国の連結子会社・星科工程塑料に対するテクノポリマーおよび日本カラリングの出資持分をすべて譲り受けた。両社との資本・業務提携を解消し、当社主導で収益を立て直す方針だ。   13年12月に策定した中期経営計画「Target2016」では、経営目標値に最終年度16年10月期売上高475億円、営業利益25億80百万円、経常利益26億円、純利益16億円、ROE6.3%、ROA4.4%を掲げている。基本戦略としては、北南米市場や東南アジア市場を中心とする海外売上高の拡大、機械事業ではエネルギー分野への参入、化学品事業では二次電池・パワー半導体向け商材の開拓などに取り組むとしている。   3月7日に発表した今期(14年10月期)第1四半期(11月~1月)連結業績は、前年同期比7.2%増収、同11.1%営業増益、同67.6%経常増益、同3.1倍最終増益だった。化学工業製品販売事業の営業損益改善が寄与した。純利益については非連結子会社からの配当収入や、中国のコンパウンド加工事業に係る少数株主持分取得に伴う特別利益計上も寄与した。   セグメント別に見ると、機械製造販売事業は売上高が15億44百万円で同0.4%減収、営業利益は1億37百万円の赤字(前年同期は62百万円の赤字)だった。収益性の低い案件の売上計上が影響した。化学工業製品販売事業は売上高が75億61百万円で同8.8%増収、営業利益が2億57百万円で同51.7%増益だった。機能材料分野の高採算商材や香港における高機能樹脂の販売が好調だった。   通期見通しは前回予想(12月12日公表)を据え置いて、売上高が前期比8.2%増の413億円、営業利益が同27.3%増の19億30百万円、経常利益が同22.0%増の20億50百万円、純利益が同42.7%増の12億円としている。セグメント別売上高の計画は、機械製造販売事業が北南米の石油化学分野への販路拡大などで同29.9%増の121億円、化学工業製品販売事業が東南アジアでの新規開拓などで同1.2%増の292億円としている。設備投資需要の回復に加えて、中国のコンパウンド加工事業の収益改善も期待される。   株価の動きを見ると、全般地合い悪化の影響を受ける場面もあるが、足元は概ね1600円台で推移している。そして13年11月安値1488円、12月安値1496円、14年2月安値1518円、そして3月17日の1567円と下値を着実に切り上げる形であり、収益改善を評価する流れに変化はないようだ。   3月18日の終値1620円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS120円26銭で算出)は13~14倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間45円で算出)は2.8%近辺、実績PBR(前期実績の連結BPS2340円34銭で算出)は0.7倍近辺である。週足チャートで見ると52週移動平均線が戻りを押さえる形だが、下値は着実に切り上げている。低PBRなど指標面の割安感も支援材料として出直り展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
化学機械メーカーの巴工業<6309>(東1)の株価は全般地合い悪化の影響を受ける場面もあるが、下値は着実に切り上げている。
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2014-03-19 09:15