【為替本日の注目点】日米首脳会談を前にドル円113円台に

 ドル円は急伸。112円台から113円35銭まで買われた。失業保険申請件数が予想以上に減少していたことや、株価が3指数とも最高値を更新し、金利も上昇するなど、好材料がドルを押し上げた。ユーロドルはじり安。1.06台後半から1.0651まで売られたが勢いはなく、ドル円が円安に振れた分、ユーロ円も上昇。  株式市場は大幅に反発し、主要3指数とも最高値を更新。トランプ減税への期待感が復活し、ダウは118ドル上昇し、2万172ドルに。債券市場は反落。トランプ氏の税制発言で利上げ観測が高まり売られる。長期金利は2.39%台まで上昇。金は6日ぶりに反落。原油価格は続伸し53ドル大を回復。 新規失業保険申請件数 → 23.4万件 ドル/円112.23 ~ 113.35 ユーロ/ドル1.0651~ 1.0691 ユーロ/円120.04 ~ 120.78 NYダウ +118.06 → 20,172.40ドル GOLD -2.70 →1,236.80ドル WTI  +0.66 → 53.00ドル 米10年国債 +0.075 → 2.395% 本日の注目イベント 豪 RBA四半期金融政策報告 中 中国 1月貿易収支 欧 企業決算 → ルノー、アルセロール・ミタル 英 英12月鉱工業生産 米 2月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値) 米 1月財政収支  米 日米首脳会談(ワシントン) 加 カナダ1月失業率 加 カナダ1月就業者数  「驚異的な何か」を発表する。トランプ大統領のこの発言から、市場では忘れかけていた減税問題が復活し、株価と金利が上昇し、ドル円は一気に113円台を回復して来ました。NYでは一時113円35銭までドル高が進み、NYダウは118ドル上昇し、先月26日に記録した史上最高値を更新しました。昨日はナスダックとS&P500も揃って最高値を更新しており、再び「トランプラリー」にエンジンが点火されるのかどうかが焦点になります。  昨日はドルへの支援材料が多く、ドル円は111円60-80銭を5回ほど試して押し返されたことで、「目先の底値を確認した」可能性も出てきました。もちろん今夜のトランプ大統領との首脳会談で、何が飛びだすか予想できない部分もあり、ドルが再び下落するリスクはあるものの、今朝までに入ってきたニュースでは、その懸念もやや後退しています。  ブルームバーグは米当局者からの情報として、本日の日米首脳会談では「為替操作」の問題は優先議題ではないと、匿名を条件に語ったと伝えています。また同時に自動車業界の問題が重要なテーマになるだろうとも語っていると伝えています。昨夜羽田を飛び立った安倍首相でしたが、為替の責任者である浅川財務官は先にワシントン入りしており、日米トップの事務レベルで為替問題が話し合われ、米国側もある程度現状を追認した可能性もあります。  昨日のNYで発表された失業保険申請件数は23.4万件と、事前予想を大きく下回る改善を見せたことも利上げ観測の台頭につながり、ドル上昇の一因になっています。またトランプ大統領が米航空会社幹部や空港管理責任者との会合で、米国の運輸システムは「時代遅れ」だと指摘し、インフラ改善に取り組む考えを改めて示しています。日本が新幹線技術を前面に出して、交渉の材料にできる可能性も浮上してきました。  トランプ氏が大統領に就任してまもなく3週間になります。この間、大統領の口から出てきた言葉はリスクオフを増幅するものばかりで、根幹である財政や外交、減税などの政策は一切置き去りにされていました。この遅れがドルの重石となり、ドル円は111円台まで何度も落とされることになったわけです。税制に関する「驚異的な何か」は2~3週間以内に発表されるようですが、併せてインフラに関する具体的な投資についても言及してくるかもしれません。  結局、いいにつけ、悪いにつけ「トランプ相場」が続きます。連日テレビ番組で放映されるニュースを見た個人投資家さんが放った「トランプは見飽きたけど、目が離せない」という言葉が今の状況を言い当てているように思います。本日のレンジは112円~114円と日米首脳会談を考慮してワイドに予想します。目先は113円70-75銭にある、4時間足の「雲の上限」が意識されます。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は急伸。112円台から113円35銭まで買われた。(イメージ写真提供:123RF)
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2017-02-10 09:30