【為替本日の注目点】ダウ続伸でドル円101円台半ば、新たな制裁は中国の対応次第
NY市場
東京時間に101円94銭まで上昇したドル円だったが、欧州時間に向け円買いが優勢に。プーチン大統領がクリミア半島のロシアへの編入を明言したことで、ドル円は101円27銭まで下落した。
ユーロドルは1.38台後半まで下落後反発したが、1.39台半ばが抜けずにもみ合い。
株価は大幅に続伸。住宅許可件数の増加やプーチン大統領がクリミア半島を編入したものの、武力衝突の可能性は見込まれないことを好感し、ダウは88ドル上昇し、1万6300ドル台を回復。
債券は3日ぶりに反発。プーチン大統領の演説からリスクオフの流れに沿い、長期金利は小幅に低下し2.67%台に。
金は大幅に続落。一方原油はウクライナ情勢を反映し大幅に続伸。
2月消費者物価指数 → +0.01%
2月住宅着工件数 → 90.7万件
2月建設許可件数件数 → 101.8万件
ドル/円 101.27 ~ 101.74
ユーロ/ドル 1.3880 ~ 1.3935
ユーロ/円 140.80 ~ 141.85
NYダウ +88.97 → 16,336.19ドル
GOLD -13.90 → 1,359.00ドル
WTI +1.62 → 99.70ドル
米10年国債 -0.024 → 2.672%
本日の注目イベント
日 2月貿易収支
日 黒田・日銀総講演(国際通貨研究所)
欧 EU首脳会議
英 2月失業率
英 BOE議事録(3月5日、6日分)
米 FOMC政策発表
米 イエレン議長記者会見
米 10-12月経常収支
想定どおり、ロシアのプーチン大統領はクリミア自治共和国での住民投票の結果を踏まえて、ロシアへの編入を宣言し、直ちに条約に調印しました。1時間余りにわたった演説では、クリミアはロシアと同じ歴史を持つなどと語り、欧米に理解を求める発言をしたものの、一方でウクライナへの欧米の介入を非難する発言も行っています。
クリミアでの住民投票の結果や、ロシアへの編入の可能性は、想定内の動きだったと言えますが、問題はこの後欧米諸国が新たな制裁を発動したその後のロシアの反応です。現時点ではロシア高官だけではなく、ロシア企業幹部の資金凍結などが検討されているようですが、この程度ではロシアにとって厳しい制裁にはなりません。
より実効的な制裁となれば、ロシアからのガスの輸入を禁止するなどの制裁措置が必要ですが、それは欧州にとっても厳しい選択で、特にドイツなどはロシアから大量のガスを輸入しているのが現状です。来週にはEU首脳会議が開催されるため、ここで新たな制裁が議論される模様です。また、24~25日には緊急の「G7」が開催され、ここでもロシアへの制裁が検討されるとのことです。ロシア抜きの「G7」になりますが、ここでの焦点は中国の出方です。ロシアへの制裁に真っ向から反対するのか、あるいは中立の立場をとるのか、中国の対応次第では制裁内容も異なってきそうです。
クリミア半島がロシアに編入されるのは、正式にはロシア議会の批准を経て決まりますが、ウクライナ情勢は新たな局面に差し掛かってきました。昨日のプーチン大統領の演説では、「クリミアはロシアの一部」としながらも、「ウクライナの分割は望まない」とも発言しています。このため、武力衝突まで発展する可能性は低いと見られています。
NYダウは連日大幅な上昇を見せ、ここ2日間で270ドルも買われています。特に昨日は、プーチン大統領の演説があったにもかかわらず、上昇したことはややサプライズでした。市場が「武力衝突には至らない」と見ている証と捉えられます。そのせいか、ドル円も101円27銭まで下落しましたが、先週末のドルの下値である101円20銭を割り込んではいません。ウクライナでの緊張が高まってきたことから、ドルの上値が重いことは想定できるとしても、ここからさらにドルを売り込むことには慎重なことが伺えます。
ただ連日述べているように、「120日線」は現在、101円56銭あたりに位置しており、どうやら今日はその支持線を下回って取引が開始されそうです。ここ3日は、いずれも101円20銭前後がサポートになっていることは確認されていますが、逆に言えばこの101円20銭前後が下抜けし、さらに101円を割り込むような展開になると、ストップロスなども執行され、下落が加速することも考えられるため注意が必要です。予想レンジは100円80銭~101円80銭程度にしました。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
東京時間に101円94銭まで上昇したドル円だったが、欧州時間に向け円買いが優勢に。プーチン大統領がクリミア半島のロシアへの編入を明言したことで、ドル円は101円27銭まで下落した。
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2014-03-19 09:15