【為替本日の注目点】ドル高、株高、金利高が進む

トランプ大統領の演説は目新しいものはなく、具体性に欠けたものの安心感が広がり、ドル円は114円05銭まで上昇。長期金利の上昇と株高がドル円を押し上げた。ユーロドルは続落。1.0514までユーロ安が進んだが1.05台は突破できず。株式市場は大幅に反発。トランプ大統領の演説で安心感がで、ダウは300ドルを超える大幅高。引け値では初の2万1000ドル台に。債券相場は続落。3月利上げの可能性が高まり、2年債は2009年以来の高水準に。長期金利も2.45%台に上昇。金と原油は続落。
1月個人所得 → +0.4%
1月個人支出 → +0.2%
1月PCEコアデフレータ → +1.7%
2月ISM製造業景況指数 → 57.7
ドル/円113.47 ~ 114.05
ユーロ/ドル1.0514~ 1.0572
ユーロ/円119.76~ 120.22
NYダウ +303.31 → 21,115.55ドル
GOLD -3.90 →1,250.00ドル
WTI -0.18 → 53.83ドル
米10年国債 +0.066 → 2.456%
本日の注目イベント
豪 豪1月貿易収支
豪 豪1月住宅建設許可
日 2月マネタリーベース
欧 ユーロ圏1月失業率
欧 ユーロ圏2月消費者物価指数(速報値)
欧 ユーロ圏1月生産者物価指数
米 新規失業保険申請件数
米 ロレッタ・クリーブランド連銀総裁講演
加 カナダ10-12月期GDP
注目されたトランプ大統領の議会演説は1兆ドルのインフラ投資には触れたものの税制改革など具体的な政策は示さず、演説中にはドル円が下げる場面もありました。ただ、市場の評価は「失望感」ではなく、むしろこれまでのような攻撃的な口調ではなかったことで「安心感」が広がり、株価は大幅に上昇しています。今月のFOMCでの利上げ観測も急速に高まり、長期金利は2.45%台まで上昇し、ドル円を114円台まで押し上げました。
前日のSFシスコ連銀やNY連銀総裁の発言が3月利上げを連想させるものでしたが、昨日もダラス連銀のカプラン総裁は、米経済は強く、緩やかな利上げには耐えられると述べています。今朝の時点で、金利先物から想定される利上げ確率は80%まで上昇しており、6月の利上げ確率も90.2%まで上昇しています。
3月のFOMCは14-15日に開催されますが、2月の雇用統計が発表されるのは来週10日です。この雇用統計で賃金の上昇率などを確認する必要はありますが、利上げの可能性はかなり高まったと見られます。また、明日にはイエレン議長とフィッシャー副議長の講演があり、ここでの両氏の発言が極めて重要になってきます。個人的にも、良好なファンダメンタルズに加え、株価の上昇が個人の消費行動にも好影響を与えることなどを鑑み、利上げがあると予想しています。
その株価は昨日のNYでは再び大幅に反発しています。上述のように、トランプ大統領の演説にひとまず安心感が広がり、ダウは前日比303ドル上昇し、2万1000ドルの大台に乗せて引けています。2万ドルを突破して、わずか5週間で1000ドル以上上昇したことになり、改めて米国経済の力強さというか、株式市場の潜在力に驚きます。著名な投資家として知られるウォーレンバフェット氏は、直近でもアップルなどの株式を1兆5000億円ほど買い増したことを発表しています。米国では、株式市場が個人法人を問わず、長期の資産形成の場としての地位を確立していると言えます。
考えてみれば、まだトランプ大統領の大規模な減税や、インフラ投資などは実行に移されてはいませんが、それでも良好な景気や株高、金利高を背景にドル円は111円台から114円台まで反発してきました。この先、「バッド・トランプ」のリスクは残るものの、「グッド・トランプ」が金利上昇圧力になってくると思われます。市場の関心は既に、トランプ演説から3月利上げに移っています。利上げをにらみつつ、ドル円は上下しながらも緩やかに上昇していくものと予想していますが、まだ欧州の政治的リスクもあり、手放しでドルを買えばいいというわけにはいきません。111-115円のレンジ相場が継続中と思われます。本日はさすがに上値の重い日本株も大きく上昇するでしょう。予想レンジは113円40銭~114円50銭程度とみています。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
トランプ大統領の演説は目新しいものはなく、具体性に欠けたものの安心感が広がり、ドル円は114円05銭まで上昇。長期金利の上昇と株高がドル円を押し上げた。(イメージ写真提供:123RF)
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2017-03-02 09:15