【為替本日の注目点】イエレン発言受けドル円急騰、利上げ時期示唆でドル高進む
NY市場
FOMCでは失業率6.5%の目安を撤廃し、100億ドルのテーパリングを決定したことを受け、ドル円は急騰。102円の大台を大きく上抜け、102円69銭までドル高が進む。
ドルが買い戻されたことで、ユーロドルでも「ドル買いユーロ売り」が加速。1.39台前半から1.38台前半まで約100ポイント下落。
株式市場は大幅に反落。FRB議長が利上げ時期を示唆したことを受け売りが優勢に。ダウは114ドル下落し1万6200ドル台に。
債券相場も大幅に下落。早ければ2015年半ばにもゼロ金利が解除される可能性が出てきたことが嫌気された。長期金利は前日から10bp上昇し、2.77%台に。
金は3日続落。原油は続伸し100ドル台を回復。
米10-12月経常収支 → -811億ドル
ドル/円 101.49 ~ 102.69
ユーロ/ドル 1.3810 ~ 1.3927
ユーロ/円 141.14 ~ 141.92
NYダウ -114.02 → 16,222.17ドル
GOLD -17.70 → 1,341.30ドル
WTI +0.67 → 100.37ドル
米10年国債 +0.10 → 2.772%
本日の注目イベント
日 黒田・日銀総講演(日本商工会議所)
独 独2月生産者物価指数
欧 EU首脳会議
米 新規失業保険申請件数
米 9月中古住宅販売件数
米 9月景気先行指数
米 3月フィラデルフィア連銀景況指数
2日間のFOMCを終えて政策が発表されましたが、イエレン新議長にとって市場からは厳しい洗礼を受ける格好になりました。これまでゼロ金利解除の目処として見られていた「失業率6.5%」目標値ははずされ、さらに、フェデラルファンド金利(FF金利)引き上げに際しては、「幅広い情報」を考慮するとされました。緩和縮小に関しては、市場予想通り100億ドル減額し550億ドルにする事も決定しています。
議長は会合後の記者会見で「完全雇用に近いわけでも、責務に一致する雇用水準に近いわけでもないことはわれわれは認識している。インフレが重大な懸念事項にならない限り、FF金利誘導目標の引き上げを夢見ないだろう」と語り、「相当な期間」FF金利の誘導目標は低位に留まるとの見方を改めて示しました。(ブルームバーグ)
ところが、その具体的な期間について記者会見で問われると、議長は「これは定義するのが難しい問題だが、おそらく6ヶ月前後を意味する」と答えました。債券購入プログラムは今秋にも終了する可能性があり、その6ヶ月後に政策金利を引き上げることもあり得るとの認識を示したことになります。この発言は市場にとってサプライズでした。
失業率目標の撤廃や100億ドルのテーパリングについては市場はかなり織り込んでいたものの、政策金利引き上げの時期が予想以上に早まる可能性が出てきたことに市場は敏感に反応しました。株式と債券は大きく売られ、長期金利が大幅に上昇したことでドルが全面高の展開になりました。101円70銭から上値が重いイメージのあったドル円は、102円台を回復しただけではなく、約1円もドル高円安が進むことになりました。
これまでゼロ金利解除のタイミングについては、早くとも2015年半ば以降との見方が支配的で、一部には2016年以降との見方があった中、今回のイエレン議長の発言でやや前倒しに傾いたことになります。米メディアは「議長が口を滑らせた」と表現するところもあり、今後この「6ヶ月前後」という言葉が独り歩きする可能性もあります。
ドル円は一気に102円69銭まで上昇したことで、結局これまで何度も述べてきた「120日線」は健在だったということになります。一方で上値の方ですが、これも「52日線」でほぼ上昇を抑えられています。ウクライナ情勢と米景気の綱引きになっている状況ですが、明日からEU首脳会議があり、来週にも「G7」があり、どちらもロシアへの新たな制裁が検討されるため、このままドル円が103円を超えて大きく上昇するとも思えません。
103円前半を上抜けすれば、上記「52日線」だけではなく、その上にある「雲」も上抜けすることになりますが、それにはウクライナ情勢が落ち着きを取り戻す必要があります。そう考えると、まだしばらくは101-103円のレンジ内の動きになると予想するしかありません。本日のレンジは101円70銭~102円70銭程度と予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
FOMCでは失業率6.5%の目安を撤廃し、100億ドルのテーパリングを決定したことを受け、ドル円は急騰。102円の大台を大きく上抜け、102円69銭までドル高が進む。
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2014-03-20 09:30