大和総研が北京で中国経済の課題ヒアリング、景気は安定拡大が期待されるものの企業債務デレバレッジは長期化

大和総研金融調査部の研究員 矢作大祐氏と、経済調査部主席研究員の齋藤尚登氏は4月10日、2017年3月下旬に中国北京市で政府系シンクタンクや政府機関、金融機関、企業等にヒアリングした結果をまとめたレポート「中国現地調査報告:4つの問題をヒアリング」(全7ページ)を公開した。大和総研の関心事や問題意識は、(1)2017年の中国経済見通しと経済政策運営の重点、(2)車両購入税半減措置終了による乗用車販売への影響、(3)物価見通しと利上げの可能性、(4)地方政府債務問題と企業の債務レバレッジの引き下げ、の4つであり、これらについて重点的にヒアリングを行った。レポートの要旨は以下のとおり。
(1)中国経済については、大和総研としては「中国共産党第19回大会が開催される予定であり、当局は経済の安定化を重要視すると想定され、景気の下支え役として、インフラ投資への依存度が高まる」との見方をしている。現地では、経済運営の重点について「上半期は金融リスクの防止、下半期は経済成長の安定化が重要視される」などの意見を聞いた。
(2)車両購入税半減措置終了による乗用車販売への影響について、大和総研は「車両購入減税の反動は今後さらに本格化していく可能性が高い」とみている。現地では、影響は想定の範囲内で2017年の乗用車販売は前年並みの第数を維持するという見方があり、また、影響は2018年に大きく出てくる可能性があるという意見もあった。
(3)物価の見通しと利上げの可能性については、大和総研は「利上げの可能性があり、今後の物価動向には注意が必要」との見方。現地では物価上場により利上げの蓋然性は低いという意見を聞いたという。
(4)地方政府債務問題と企業の債務レバレッジの引き下げについて、現地では「地方政府の借り換え能力は概ね良好である」との見方だったが、地方政府の資金調達環境の改善は過剰投資等の別の問題を引き起こす可能性があるとの指摘があったという。また、企業債務のデレバレッジ(債務レバレッジの引き下げ)は、長期戦になる見通しが示されたとした。(情報提供:大和総研)(写真は北京の金融街。イメージ写真提供:123RF)
大和総研金融調査部の研究員 矢作大祐氏と、経済調査部主席研究員の齋藤尚登氏は4月10日、2017年3月下旬に中国北京市で政府系シンクタンクや政府機関、金融機関、企業等にヒアリングした結果をまとめたレポート「中国現地調査報告:4つの問題をヒアリング」(全7ページ)を公開した。(写真は北京の金融街。イメージ写真提供:123RF)
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2017-04-10 16:30