【為替本日の注目点】ドル円110円を割り込む

ドル円はこれまでサポートされてきた110円台前半を割り込むと一気に109円80銭あたりまで下落。北朝鮮問題など、地政学的リスクが高まり、円が全面高に。引けにかけては109円台半ばまで円高が進む。ユーロドルでもユーロ高が進んだが上値は限定的。その後ユーロ円の売りも出て、1.06近辺で推移。
株式市場は朝方には大幅に下落したものの、大引けでは小幅安で終わりダウは6ドル安。一方で「VIX指数」は急上昇。安全資産の債券は続伸。トランプ大統領が北朝鮮に対しても強硬姿勢を見せたことから買いが優勢に。長期金利は2.29%台へと急低下。地政学的リスクの高まりから金は20ドルを超える大幅高に。原油価格も32セント高と続伸。
ドル/円109.61 ~ 110.59
ユーロ/ドル1.0600~ 1.0630
ユーロ/円116.17~ 117.40
NYダウ -6.72 → 20,651.30ドル
GOLD +20.30 →1,274.20ドル
WTI +0.32 → 53.40ドル
米10年国債 -0.070 → 2.296%
本日の注目イベント
中 中国 3月消費者物価指数
中 中国 3月生産者物価指数
英 英3月雇用統計
米 3月財政収支
加 カナダ中銀政策金利発表
昨日この欄でも懸念したように、ドル円は110円の大台を割り込み、大きく円高方向にシフトしました。シリア情勢に加えて、北朝鮮に対しても米国が軍事行動に出る可能性が高まったことで、安全通貨の円が全面高の様相です。ドルの代替資産としての役割がある金も20ドルを超える上昇を見せ、安全資産の国債も買われ、長期金利は2.3%の節目を割り込んで来ました。投資家は急速にリスクを回避する行動に出ています。
トランプ大統領はツイッターで「中国が協力しないのなら、われわれだけで問題を解決する」と述べ、単独でも行動する姿勢を示しています。一方北朝鮮は昨日、最高人民会議を開催し、「核強国、軍事強国としての威力を強化する」との方針を示しており、朝鮮半島での緊張が一段と高まって来ました。米中首脳会談の最中でも、シリアへの攻撃命令を出すなど、トランプ大統領はいい悪いは別にしても、われわれが想像するよりも強硬で、決断力があるのかもしれません。米国が軍事行動に出るのかどうかも重要ですが、同時に中国が北朝鮮に対してどのような行動を示すのか、あるいはロシアの出方にも注目が集まります。
ドル円は5カ月ぶりに109円台まで円高が進んで来ました。朝方も109円54銭まで円が買われ、ユーロ円も116円台前半まで下げ、豪ドル円も82円目前まで下げています。円が全面高の展開になっていますが、今回の緊張の高まりは朝鮮半島での有事の可能性が震源地です。万が一米国の攻撃に対して北朝鮮も反撃するようだと、日本もその対象国になることも想定され、果たして円を買っていていいのかという疑問も出てきます。これまでの有事は、中東だったり、クリミア半島だったり、日本からは相当距離を置いての緊張でした。もし軍事行動が開始された場合には、このあたりのことも頭に入れておきたいと思います。
本日は神経質な動きが予想されます。NY株式市場は結局小幅安で引けていますが、恐怖指数と呼ばれる「VIX指数」は15まで急上昇しており、本日の日本株も、どこまで下げるのかというのが焦点です。下値のメドは109円近辺ですが、これも今後の米国の行動次第です。予想レンジは109円~110円30銭程度と見ますが、市場が落ち着いた動きを見せるようだと、110円台への回復もあるかもしれませんが、その場合でもこれまでのサポートであった110円10-20銭あたりが、今度はレジスタンスとして機能することも想定されます。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円はこれまでサポートされてきた110円台前半を割り込むと一気に109円80銭あたりまで下落。(イメージ写真提供:123RF)
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2017-04-12 10:00