【本日注目の通貨ペア】トルコリラ/円:大統領の独裁色強まる

 トルコで大統領権限を大幅に強化する憲法改正の是非を問う国民投票が16日に行われ、エルドアン大統領は、賛成多数となったとして「勝利宣言」を行った。これを受けて早朝からトルコリラ買いが活発化しており、トルコリラ/円は一時29.80円台まで上昇(前日終値比+0.70円強)する場面があった。  大統領側の勝利によって「政権基盤が安定する」との見方がトルコリラ買い材料になったとされるが、野党側は投票に不正があったとして、票の数え直しを要求するなど、早くも不満の声が上がった。また、エルドアン大統領は今後、欧州連合(EU)との政治・行政上の関係(不法移民問題など)を全面的に見直す意向を示しており、トルコとEUの対立が深まる可能性もある。とてもではないが「政権基盤が安定」したとは言えない状況だろう。  そもそも、エルドアン大統領が閣僚の任命権や議会の解散権までも握る事で、以前に輪をかけて独裁色が強まる事が確実となったのだ。トルコ中銀の独立性を脅かす言動などから国際金融市場のエルドアン評も芳しくない。国民投票の結果を、継続的なトルコリラの買い材料とするのはやや無理がありそうだ。大勢判明後のトルコリラ高は、イベント通過のアク抜け感によるショートカバーが主導したと考えるべきであり、一時的なものにとどまりそうだ。 (執筆:外為どっとコム総合研究所 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
トルコで大統領権限を大幅に強化する憲法改正の是非を問う国民投票が16日に行われ、エルドアン大統領は、賛成多数となったとして「勝利宣言」を行った。(イメージ写真提供:123RF)
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2017-04-17 16:15