DNAチップ研究所は売られ過ぎ、反発のタイミング
バイオベンチャーのDNAチップ研究所 <2397> (東マ)の株価は、全般地合い悪化が影響して2月安値を割り込んだが売られ過ぎ感を強めている。一旦は反発のタイミングであり、さらに全般地合いが落ち着けば中期成長力を見直す動きが強まるだろう。
将来の個人化医療や未病社会の実現を見据えた遺伝子発現プロファイル収集・統計受託解析など、DNAチップ(DNAマイクロアレイ)技術の事業化を目指す研究開発企業である。時々刻々と変化する体調変化や加齢とともに起こる免疫変化などを、低侵襲針採血で遺伝子検査するRNAチェック(血液細胞遺伝子発現マーカー検査)に強みを持ち、中期成長に向けて研究受託事業のメニュー充実とともに、独自開発の診断パッケージソフトウェア、診断支援サービス、健康モニタリングサービスなどの診断関連事業を収益柱に育成する方針だ。
研究受託事業は大学・大学病院・研究機関、製薬・食品メーカーなどが主要顧客であり、DNAチップ関連の実験・解析・統計処理・カスタムDNAチップ設計などの受託解析サービスを主力として、次世代シークエンス受託解析サービス、RNAチェックによる遺伝子解析検査サービスへの展開を強化している。
商品販売事業では中期成長に向けた戦略商品として、臨床研究用データベース「iCIS」構築による診断支援サービス、高校・大学生が分子生物学を学習できる教育用DNAチップ教材「ハイブリ先生」、関節リウマチのスムーズな診察をサポートする問診パッケージソフト「iRIS」、関節リウマチ生物学的製剤インフリキシマブの投与14週後の治療効果を予測する診断支援サービス「リウマチェック」、乳癌の再発リスクを予測する新しい乳癌予後予測キット「MammaPrint」(導入商品)などの拡販を強化している。
こうした戦略商品に関しては、当面は大病院での人間ドックへの採用増加を目指し、中長期的には一般の健康診断への採用も目指す方針だ。さらに大腸がん・悪性神経膠腫の術後予後予測、免疫年齢・肥満・うつ病・疲労・アルツハイマーなどの診断関連マーカーの開発・事業化、医薬品開発と一体化した診断マーカーの開発(コンパニオン診断薬開発支援)、再生医療支援事業(培養細胞の安全性評価系)なども強化して業容を拡大する。
なお3月11日には「神経膠腫予後予測方法、およびそれに用いるキット」に関する国内特許を取得したと発表している。悪性神経膠腫患者の切除がんから取得したRNAを用いて腫瘍細胞中の58個の遺伝子量を測定することにより、悪性神経膠腫患者の術後の予後を予測(補助療法感受性予測)する方法、および測定キットに関する国内特許である。診断事業分野(RNAチェック)のメニュー拡充の一環として、悪性神経膠腫患者の術後予後予測サービス提供の事業化を進める。
今期(14年3月期)業績(非連結)見通しは売上高が前期比15.6%増の4億30百万円、営業利益が1百万円(前期は89百万円の赤字)、経常利益が1百万円(同89百万円の赤字)、純利益が1百万円(同80百万円の赤字)としている。今期の収益はまだ低水準だが、営業損益は改善基調である。来期(15年3月期)は大型案件の売上計上、利益率の高い製品・サービスの構成比上昇、さらに診断関連事業の収益化が期待され、中期成長に対する期待感が一段と高まるだろう。
株価の動き(13年10月1日付けで株式100分割)を見ると、2月以降は全般地合い悪化の影響で水準を切り下げる展開だ。3月12日に1000円台を回復する場面があったが買いが続かず反落した。3月18日に834円を付けて2月5日の836円を割り込み、さらに3月20日は766円まで下押す場面があった。ただし日足チャートで見ると、25日移動平均線に対するマイナス乖離率が14%程度まで拡大し、売られ過ぎ感を強めている。一旦は反発のタイミングだろう。さらに全般地合いが落ち着けば中期成長力を見直す動きが強まるだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
バイオベンチャーのDNAチップ研究所<2397>(東マ)の株価は、全般地合い悪化が影響して2月安値を割り込んだが売られ過ぎ感を強めている。
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2014-03-24 09:30