【為替本日の注目点】円買い進まずドル円102円前半、日米金利差拡大思惑と緊張

 NY市場  ドル円はウクライナ情勢をにらみながらも小動き。FRBが利上げに踏み切る時期が想定以上に早い可能性が出てきた一方、ロシアへの新たな制裁の内容を見極めたいとする雰囲気の中、ドル円は102円台前半で推移。   ユーロドルも方向感がなく、1.38を中心にもみ合いが続く。   株式市場は朝方上昇して始まったものの、引けでは小幅に下落。S&P500は日中最高値を更新したが前日比マイナスで終わる。   債券は小幅に買われ、長期金利は3bpほど低下して2.74%台で越週。   金、原油はともに続伸。   ドル/円 102.08 ~ 102.41  ユーロ/ドル 1.3774 ~ 1.3810  ユーロ/円 140.84 ~ 141.28  NYダウ -28.28 → 16,302.77ドル  GOLD +5.50 → 1,336.00ドル  WTI +0.03 → 99.46ドル  米10年国債 ー0.03 → 2.740%  本日の注目イベント  中   中国 3月HSBC製造業PMI(速報値)   独   独3月製造業PMI(速報値)   独   独3月サービス業PMI(速報値)   欧   ユーロ圏3月製造業PMI(速報値)   欧   ユーロ圏3月サービス業PMI(速報値)   EUは先週末に開催した首脳会議で、ロシアに対する新たな制裁を決め、今週にはオランダで開催される臨時の「G7」で新たな制裁が加わることで、ロシアに対する包囲網ができそうですが、今の所ロシアは直接的な影響を受けておらず、今後ガスや石油などの資源に対する規制にまで制裁が及ぶかどうかがカギになりそうです。  ウクライナの外相は23日米ABCテレビのインタビューで、同国国境にロシア軍が集結しており、対ロシア戦の可能性が増しつつあると語っています。「われわれは対応する準備ができている」と述べており、「国民は母国を守る準備もできている」とも述べています。クリミア半島での緊張が高まって以来、軍事行動の可能性に触れたのは今回が初めてです、緊張は増す一方です。仮に軍事衝突が起これば、円買いが加速することが想定されます。  このような状況の中でも、ドル円が102円台で安定し、円買いが進まないのは先週のFOMC後のイエレン議長の発言が円の上昇を抑えていると考えられます。19日のFOMC終了後の記者会見で、「相当の期間」とはどれくらいかとの質問に、イエレン議長は「おそらく6ヶ月前後」と答えたことです。債券購入プログラムの縮小は、今回のFOMCまでに3回連続で100億ドルの減額が決められています。このままのペースでいけば「年内にQEが終了」することになり、来年夏場までには政策金利を引き上げることになります。市場の多くは2015年後半から、2016年春先までゼロ金利政策が続くと予想していただけに、イエレン議長の発言はサプライズとして受け止められています。  想定よりも早い政策金利引き下げのタイミングに、ドル円は日米金利差が拡大するとの思惑に102円台で推移しています。FRBがゼロ金利を解除すれば、その後はフェデラルファンド金利が正常な水準まで引き上げられることになります。米金利の上昇は米国債の金利上昇にもつながり、昨年5月に見られたように、米長期金利が一時3%を越えた際にドル円が105円台半ばまで円安に振れたことは記憶に新しいところです。  「タカ派」の代表格である、フィッシャー・ダラス連銀総裁も21日の講演で「このペースで資産購入の縮小を続ければ10月までに大規模資産購入が終了することは明白だ」と述べています。現在のFOMCで投票権を持つメンバーは、「ハト派」のシカゴ連銀総裁が抜け、ダラス連銀総裁が新たにメンバー入りしたことで、やや「タカ派」的になっていることにも注意が必要です。  上述のように、足許ではウクライナ情勢の緊張と高まりという「円買い材料」と、ゼロ金利政策解除という「円売り材料」がにらみあっている状態です。ウクライナ情勢は極めて流動的なため、「G7」での制裁内容と、それに対するロシアの出方がまずは焦点になります。本日は101円50銭~102円70銭程度を予想したいと思います。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
ドル円はウクライナ情勢をにらみながらも小動き。FRBが利上げに踏み切る時期が想定以上に早い可能性が出てきた一方、ロシアへの新たな制裁の内容を見極めたいとする雰囲気の中、ドル円は102円台前半で推移。 
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2014-03-24 09:45