【為替本日の注目点】ドル円FOMC議事録公表後下落

 ドル円は堅調に112円台を回復し、112円13銭まで買われたものの、FOMC議事録が公表されると値を下げた。議事録でインフレの減速懸念が示されたことが理由。ユーロドルは1.12を挟む展開。ドラギECB総裁が講演で量的緩和の効果を述べたことに反応し、1.1167まで売られたがその後反発して引ける。株式市場はFOMC議事録公表後に上昇に勢いがつき、ダウは5日続伸。S&P500とナスダックも揃って最高値を更新。債券相場は反発。FOMC議事録で金利見通しが変わらなかったことや、景気の鈍化は一過性のものであるとの認識が示されたことで買いが優勢に。長期金利は2.25%台まで低下。金と原油は揃って小幅安。 3月FHFA住宅価格指数  →  +0.6% 4月中古住宅販売件数   →  557万件 ドル/円111.49 ~ 112.13 ユーロ/ドル1.1168~ 1.1220 ユーロ/円125.04~ 125.41 NYダウ +74.51 → 21,012.42 GOLD -2.40 →1,253.10ドル WTI -0.11  → 51.36ドル 米10年国債 -0.030 → 2.250% 本日の注目イベント 欧   OPEC総会(ウイーン) 英   英1-3月期GDP(改定値) 米   新規失業保険申請件数        今朝方3時に公表されたFOMC議事録の内容に、為替、株、債券はそれぞれ異なった反応を示しました。議事録では、大部分の当局者はもう一段の利上げが「近く適切になる」と判断していることが明らかになり、4兆5000億ドル規模のFRBのバランスシートを緩やかに縮小させる計画を支持していることが分かりました。(ブルームバーグ)  議事録では、「大部分の参加者は、経済に関して入手する情報が予想と概ね一致した場合は、政策緩和の解除をさらに一歩進めるのが近く適切になろうと判断した」と記されています。また、景気についても最近見られる経済活動の減速が一過性のものだという証拠を待つのが「賢明」だと指摘していました。  ただ「数人」の参加者が、インフレ進展が減速した可能性があるとの懸念を表明したことも示されており、ドル円はこの部分に反応したものと思われ、直後にドル売りが進み、112円台から111円台半ばまで下落しました。また債券市場も、インフレ期待の後退から買われ、金利が低下しており、為替とセットで動いた印象です。  一方株式市場は逆の動きを見せ続伸しています。急速な利上げはなく、今後も緩やかな利上げが続くとの見方が株式市場にとっては「追い風」となり、ダウは5日続伸し、先週水曜日の大幅安を全て埋め、2万1000ドルの大台を回復しました。S&P500とナスダックも揃って最高値を更新し、トランプ政権の経済運営に不安が強まっている割には底堅い動きを見せている印象です。  112円台は回復したものの、依然として上値は重く、昨日はFOMC議事録のやや「ハト派的な内容」に押し戻された格好でしたが、基本的には方向感はなく、110-113円の狭いレンジでの動きが予想されます。今後どちらに抜けるかについては、ここでもまた明確は材料は見つけにくい状況ですが、北朝鮮とロシアゲートといった問題を抱えている現状は、ドルの下落方向にリスクが高いと思わざるを得ません。ただそれでも昨日のNY株式市場のような動きを見ると、それほど近い将来のリスクは高いと見ていないことにもなります。先週に一時15.9まで上昇した「VIX指数」が、今朝は再び10近辺まで低下していることがその証左でもあります。 このところ東京時間はまったるい動きが続いていますが、本日も同様な展開が予想されます。ただそれでも緊張感を持って臨むことが必要です。朝鮮半島はすぐお隣です。予想レンジは111円10銭~112円10銭程度と見ます。 (執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は堅調に112円台を回復し、112円13銭まで買われたものの、FOMC議事録が公表されると値を下げた。議事録でインフレの減速懸念が示されたことが理由。(イメージ写真提供:123RF)
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2017-05-25 09:15