久世は低PERと低PBRも支援材料で高値圏回帰
業務用食材卸の久世 <2708> (JQS)の株価は1月高値から急反落したが、足元では売り一巡して出直りの動きを強めている。低PERと低PBRも支援材料であり、高値圏回帰の展開だろう。
首都圏を地盤として、ファーストフード・ファミレス・カフェ、居酒屋・パブ、ディナーレストラン・ホテル・会館、惣菜・デリカ・娯楽施設・ケータリングなど外食・中食産業向けに業務用食材の卸売事業を展開し、大手飲食チェーンも主要顧客としている。子会社のキスコフーズは国内(静岡市)とニュージーランドで業務用高級ソース・高級スープの製造、久世フレッシュワンは東京都内で生鮮野菜など農産品の卸売を展開している。
中期経営計画では20年3月期売上高1000億円、営業利益20億円を目指し、重点戦略として首都圏・関西圏・中京圏での販路拡大、全国物流ネットワークの強化、中食市場や高齢者施設給食市場の開拓強化、PB商品の拡販や製造利益の拡大、海外事業の基盤確立などを掲げている。中国・成都の子会社は来期(15年3月期)単年度黒字化の見込みだ。
M&Aやアライアンス戦略も活用して販路拡大を推進している。中京圏では12年6月に酒類販売大手サカツコーポレーションと業務提携した。14年1月には水産物取引強化を目的として、水産物中卸会社の旭水産の全株式を取得して子会社化(株式引渡は4月1日予定)すると発表した。旭水産は高級飲食店に対する販売比率が高いことを特徴としている。また3月18日には神戸エリアの営業強化を目的として神戸営業所を新設したと発表した。
今期(14年3月期)の連結業績見通しは前回予想(5月13日公表)を据え置いて、売上高が前期比7.0%増の600億円、営業利益が同2.9%増の5億60百万円、経常利益が同0.3%増の7億円、純利益が同0.6%増の3億70百万円としている。既存顧客との取引量増加や新規顧客の獲得が牽引する。
円安に伴う商品仕入価格上昇、物流費や人件費の増加などで第3四半期累計(4月~12月)が大幅減益となったため通期下振れに注意が必要だが、首都圏・関西圏・中京圏での販路拡大などの施策が奏功して売上面は好調だ。商品仕入価格上昇に対しては、販売価格転嫁や代替商品提案による粗利益率改善、新システム導入による物流効率化などを推進している。下期には営業外収益の増加も期待される。
株価の動きを見ると、旭水産を子会社化するとの発表を好感して1月30日に昨年来高値となる927円まで急進する場面があった。その後は第3四半期累計業績を嫌気する形で2月19日に700円まで調整した。しかし2月19日の直近安値をボトムとして切り返し、足元では750円~770円近辺まで戻している。売り一巡して出直りの動きだ。
3月24日の終値760円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS95円38銭で算出)は8倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間12円で算出)は1.6%近辺、そして実績PBR(前期実績の連結BPS1184円88銭で算出)は0.6倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると26週移動平均線を回復した。強基調に回帰した形であり、低PERや低PBRも支援材料として出直りの動きが本格化しそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
業務用食材卸の久世<2708>(JQS)の株価は1月高値から急反落したが、足元では売り一巡して出直りの動きを強めている。
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2014-03-25 09:30