インスペックは下値切り上げの展開、第三者割当増資で財務強化

  半導体検査装置のインスペック <6656> (東マ)の株価は着実に下値を切り上げる展開だ。受注が増加傾向を強めて収益改善基調であり、上場廃止リスクを回避するため3月20日に発表した第三者割当増資も財務基盤強化に繋がる。上値フシを突破すれば一段高の可能性もあるだろう。   半導体パッケージ・フレキシブル基板(FPC)向けの基板パターン検査装置(基板AOI)や基板最終外観検査装置(基板AVI)を主力として、ローコストの外観検査装置である小型AVI、インライン検査装置(高性能画像処理モジュール)、ファイン対応BGA検査装置、リードフレーム検査装置なども展開している。ハイエンド基板の検査分野に強みを持つことが特徴だ。   重点戦略として日本、米国、台湾の大手パッケージ・基板メーカーとの取引拡大を目指している。11年6月に総代理店契約を締結した台湾TKKとの連携を強化し、12年3月には台湾の大手基板メーカーと基板AVIの一括供給で合意した。さらに台湾での営業支援を目的として子会社を設立し、13年9月から本格稼働している。   3月14日発表の今期(14年4月期)第3四半期累計(5月~1月)業績(非連結)は、売上高が前年同期比3.0倍の6億42百万円、営業利益が9百万円(前年同期は2億19百万円の赤字)、経常利益が12百万円の赤字(同2億29百万円の赤字)、純利益が13百万円の赤字(同2億31百万円の赤字)だった。受注が好調に推移して、増収効果で営業損益が大幅に改善した。   通期見通しについては前回予想(6月14日公表)を据え置いて、売上高が前期比2.1倍の10億円、営業利益が30百万円(前期は2億75百万円の赤字)、経常利益が30百万円(同2億78百万円の赤字)、純利益が30百万円(同3億90百万円の赤字)の黒字化としている。前期末の受注残高が前々期末比3倍強の6億36百万円(営業速報値ベース)と高水準であり、足元の受注も回復傾向を強めている。   第3四半期累計の進捗率はやや低水準だが、売上計上予定が第4四半期(2月~4月)に集中していることもあり、増収効果で営業損益が大幅に改善する見込みだ。月次受注状況(営業速報値ベース)を見ると14年2月は80百万円、13年5月~14年2月累計は7億29百万円である。14年2月は国内既存顧客から基板AVIリピートオーダーやバージョンアップ・改造を受注した。国内外でリピートオーダーや新規オーダーの引き合いが強まっているようだ。   3月20日に第三者割当よる新株式発行を発表した。払込期日14年4月7日、発行新株式数59万2900株、発行価額590円で、割当先はFP成長支援A号投資事業有限責任組合、エンデバー・パートナーズ・シンガポール、ユープランニング、国際教育センター、台湾港建股?有限公司である。   今期第3四半期末時点における純資産が99百万円となって債務超過を解消しているが、今期末で判断される上場廃止基準に対してリスクを回避するとともに、運転資金や新製品開発資金調達の必要性があるためとしている。調達資金(差引手取概算額)は約3億35百万円の予定で、発行済株式総数200万8400株に対して新株式発行による希薄化率は29.52%となる。   株価の動き(13年11月1日付で株式100分割)を見ると、750円近辺が上値のフシとなり、全般地合い悪化が影響して乱高下する傾向もあるが、1月以降は着実に下値を切り上げながら概ね600円~750円近辺のレンジで推移している。3月24日には第三者割当増資発表を好感して前日比100円(15.83%)高の732円まで急伸する場面があった。希薄化や需給悪化を懸念するよりも、財務基盤強化を期待する動きが優勢のようだ。   3月25日の終値660円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS18円51銭で算出)は36倍近辺である。週足チャートで見ると、上向きの26週移動平均線がサポートラインとなって着実に下値を切り上げている。三角保ち合いの形で当面はレンジ上限を目指す展開だが、750円近辺の上値フシを突破すれば一段高の可能性があるだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
半導体検査装置のインスペック<6656>(東マ)の株価は着実に下値を切り上げる展開だ。受注が増加傾向を強めて収益改善基調であり、上場廃止リスクを回避するため3月20日に発表した第三者割当増資も財務基盤強化に繋がる。
economic
2014-03-26 09:15