中国での著作権保護期間知ってますか?

 中国の知的財産法第11弾です。前回に続き、中国の著作権法第20条から見ていきましょう。中国の著作権法第2章第3節「著作権の保護期間」は第20条と第21条の二条文があるのみです。 第20条 作者の署名権、修改権、作品同一性保護権は保護期間の制限を受けない。  いわゆる日本で言う著作者人格権の保護期間は無制限であることを示した条文です。  この点は日本の著作権法に似ています(日本の著作権法第60条)。似ているというのは日本の著作権法第60条では「著作権者が存しているとしたならばその著作者人格権の侵害となるべき行為をしてはならない」としています。中国の知的財産法第8弾「中国の著作権の内容(続き)と著作権の帰属者」で著作者人格権は「譲渡できない」と説明しました。  つまり作者が死ぬと消滅するのです。権利が消滅しているからこそ日本では「存しているとしたならば」という表現を用いているのです。中国のように「保護期間に制限はない」とした方が条文は読み易いですが、権利者がいないのに権利を保護するという法的構成に無理のある条文になっています。  また第20条では既に公表されている作品の著作者人格権について規定したものなので、発表権については書かれていません。作者が発表せずに死亡した場合はどうなるのでしょうか。そのような場合は作者が作品の非公表の意思を示していなかった場合には、作者の死亡後50年以内は相続人または遺贈を受けた者が発表権を行使することができます。相続人や遺贈を受けた者が以内場合は原作品を保有している者がこれを行使できます(著作権法実施条例第17条)。 第21条 公民の作品、発表権および本法第10条第1項(五)から(十七)までに規定された権利の保護期間は作者の生涯および死後50年とし、作者の死後50年目の12月31日まで存続する。ただし共同著作物の場合は最後に死亡した作者の死後50年目の12月31日までとする。 法人もしくはその他の組織の作品、著作権(署名権を除く)は法人もしくはその他の組織が享有する職務著作、その発表権、本法第10条第1項(五)から(十七)までに規定された権利の保護期間は50年とし、作品の初めての発表後50年目の12月31日までとする。ただし創作後50年内に発表しなかった作品は本法の保護を受けることはできない。 映画作品および映画撮影と類似する方法で創作された著作物、撮影による作品の発表権、著作権法第10条第1項(五)から(十七)に定める権利の保護期間は50年とし、作品の最初の公表から50年目の12月31日までとする。ただし著作物が創作の完了後50年以内に公表されなかったときは、本法の保護を受けない。  ここで言う第10条第1項(五)から(十七)に定める権利については中国の知的財産法第8弾「中国の著作権の内容(続き)と著作権の帰属者」を参考にしてください。また第21条第1項の主語が「公民の作品、発表権」となっています。しかし著作権法第2条で外国人も保障を受けていることは中国の知的財産法第5弾「中国著作権法上の「作品」に含まれる具体的なものとは」でも説明したところです。  著作権は基本的に個人著作の場合は作者の死後50年ですが、法人は死亡することがないので発表後50年となります(映画は基本的に個人が作成することはないという考えから法人著作と同じ考えとなります)。この点は日本と基本的に同じです(ただし日本では映画著作物のみ保護期間は70年。日本の著作権法第54条第1項)。ただし日本が単に「50年」とするのに対し(日本の著作権法第51条および第53条)、中国では「50年目の12月31日」と年単位で計算することになっています。  「日本も中国も著作権の存続は50年」という言い方は間違いではありませんが、この点で若干違いがあり、間違えると著作権法違反になるかもしれませんので、注意をしてください。(執筆者:高橋孝治 提供:中国ビジネスヘッドライン)
中国の知的財産法第11弾です。前回に続き、中国の著作権法第20条から見ていきましょう。中国の著作権法第2章第3節「著作権の保護期間」は第20条と第21条の二条文があるのみです。
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2014-03-27 10:30