金取引に関連する税制について

1 公明正大な投資の条件―税の問題    最近、金の密輸事件をよく耳にします。おそらく、金の密輸を通して消費税を回避し差額を入手したいという考えがあるのでしょう。    しかし、税金など払うべきものを払ってしっかりと健全な投資スタイルを持ちたいものです。今日は金地金を取り上げ関連する税について簡単にまとめておきましょう。   2 税の種類    金地金を売却したときなどにかかる税は以下のものがあります。   ■消費税  まず、金地金を購入した場合、消費税8%がかかります。手数料にも8%がかかっていますので実質的は8%以上がかかります。 今後消費税が引き上げられるかどうかは注目したいところです。   ■売却に関する税    金を売却したときの譲渡益にかかる税金は5年以内で売却した場合と5年超で売却した場合と異なります。国税庁のホームページで示されている譲渡所得の計算方法は以下のようになります(注1)。給料など他の所得と合わせて総合課税の対象になります。 ・金地金保有期間5年以内の売却 売却価額-(取得価額+売却費用)=譲渡益 (譲渡益+金地金以外の総合課税譲渡益)-特別控除50万=課税される譲渡所得の金額 ・金地金保有期間5年超の売却 売却価額-(取得価額+売却費用)=譲渡益 (譲渡益+金地金以外の総合課税譲渡益)-特別控除50万=譲渡所得の金額 譲渡所得の金額×1/2=課税される譲渡所得   ■相続税    相続税の課税資産総額は、以下のようになっています。 課税価格の合計額-基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)=課税遺産総額 ※法定相続人各人の計算は別途ありますので、そちらを参照ください(注2)。   ■贈与税    贈与税は、一般贈与財産、特例贈与財産という対象別に分かれます。前者は兄弟、夫婦、未成年の子供に対する贈与であり、後者は孫への贈与、成年である自分の子供への贈与を含みます。贈与は、資産ごとに分かれています。こちらは、国税庁のホームページに税率表があるので、参照されるとよいでしょう(注3)。 なお、生前贈与をする場合に、毎年110万円までは非課税扱いという枠があります。   3 税を納めてしっかり投資    税の問題は複雑なものであり、またどこにでもついて回るものです。 老子の中に、こんな言葉がありました。「故(まこと)に常に欲無きもの、以て其の妙(みょう)を観(み)、 常に欲有るもの、以て其の徼(きょう)を観る。」(注4)意味は大体以下になろうかと思います。欲のないものは本質を見ることができ、欲のあるものは結果しかみることができない。欲を去って、払うべき義務の税を支払えば、公明正大、また次の投資の妙味が見えてくる。そんな風に解釈してみました。    今日は税の問題を取り上げてみました。   (注1)金を売却したときの税に関して http://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3161.htm (注2)金を相続したときの税に関して http://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4152.htm (注3)金を贈与したときの税に関して http://www.nta.go.jp/taxanswer/zoyo/4408.htm (注4)小川環樹編集『世界の名著 老子 荘子』 中央公論社 昭和53年7月発行。P.69より (イメージ写真提供:123RF)
最近、金の密輸事件をよく耳にします。おそらく、金の密輸を通して消費税を回避し差額を入手したいという考えがあるのでしょう。(イメージ写真提供:123RF)
economic,sbigold
2017-10-19 14:00