3年目を迎え共感の輪広がる―AQUA SOCIAL FES!!

トヨタ自動車の小型ハイブリッドカー「AQUA(アクア)」が提供する水辺の自然保護活動「AQUA SOCIAL FES!!」が、この4月に3年目に入る。2014年の参加者募集開始を控え、同フェスを2012年3月開始以来、運用を統括しているトヨタマーケティングジャパンの第1プロモーショングループ グループマネージャー折戸弘一氏に、過去2年間の取り組みを振り返り、3年目に向けた思いを聞いた。(写真はサーチナ撮影)
「AQUA SOCIAL FES!! 2014」は、3月31日に公式サイトオープンと同時に、山口県の「椹野川もり・かわ・うみ自然再生プロジェクト」(開催日:4月27日)、鹿児島県の「ベッコウトンボ観察会&藺牟田池ボランティアクリーン作戦」(5月10日)、山梨県の「富士山周辺の美しい自然を残そうプロジェクト」(5月18日)の参加者募集を同時に開始。順次、全国でイベントを展開する。
――2013年の参加者アンケートでは、参加者の93.8%がフェスに共感し、全体の91.8%が「また参加したい」と継続参加の意向を持っているようです。「水をテーマにして自然環境を守る」というコンセプトで開催しているイベントに、なぜ、これほど多くの方々が共感するのでしょう?
イベントに一緒に参加して感じるのは、純粋に「楽しい」という気持ちになれるということだと思います。「AQUA SOCIAL FES!!」を企画する時に、若者のインサイト(こころの動き)について、様々な意見を求めたのですが、その中で出てきたのは、東日本大震災以降に顕著になった「誰かのために、自分の地元のために、何かをしたい」という思いでした。
実際に参加するとわかるのですが、フェスに参加されている方々は、同じビブスを着けて、一緒に活動しているということを楽しんでいます。その雰囲気が、とても気持ちがいいのです。
たとえば、水辺のゴミを拾う活動でも、思った以上に身体を使って、汗をかいたりします。そして、やはり、ゴミを拾った後はキレイになりますし、集めたゴミが山のように積み上がっているのを見ると、これだけキレイになったのだという実感もこみ上げてきます。この実感が、「もう一度参加したい」という感想につながっているのだと思います。
――2年目に入って、1年目と違うところは?
1年目は、全国にイベントの輪を広げ、各地のイベントで事故が起こらないよう安全面に最大限に気を配り、無事にやり遂げるということが第一でした。2年目は1年目と比較すると、各地のNPO団体との連携もスムーズに進むようになり、余裕も出てきました。
そこで、より多くの若者に参加していただこうと、大学に連携を呼びかけ、連携するNPOが行っている「AQUA SOCIAL FES!!」以外の活動を「サテライトフェス」と位置づけ、フェスのPR機会にさせていただくなどということを実施しました。
1年目と2年目を比較すると、イベントへの応募総数が約1万3000人から約1万4300人に増加。参加者の平均年齢は1年目が29.5歳から、2年目は28.6歳になり、30代以下の方々の参加者が全体の67%を占めるほどに増えました。
また、地域の市町村から首長をはじめ関係者の方々が積極的に参加してくださり、地域振興のために協力してほしいという話も来るようになりました。
山梨県や鹿児島県では、フェスへの参加が大学の単位取得にカウントされるようになるなど、当初は期待もしていなかったようなこともありました。
――アクアは2014年2月の車名別新車販売台数でトップになるなど、好調な販売を続けているのですが、フェスの効果が販売増につながったことはありますか?
「AQUA SOCIAL FES!!」は、「次の未来を創る共成長マーケティング」という位置づけでスタートしています。長い時間をかけて「アクア」という車のブランド価値を上げることが目的ですから、販売貢献ということについては、すぐに成果が出ないという前提で取り組んできました。
ただ、実際に活動をしてみると、フェスの活動を新聞で読んだ方が、その活動に共感してアクアを購入してくださったり、フェスに参加した大学生が、アクア宣伝大使を自称して自作したアクアのカタログを販売店に持ち込んでくださるということもありました。また、NPOの関係者の方が、ご自身は車に興味がなかったものの、「アクアだけは見分けがつくようになった」と言ってくださるなど、アクアの認知度向上に貢献していると感じることは、たくさんありました。
――「AQUA SOCIAL FES!!」は、2012年11月に「グッドデザイン・サステナブルデザイン賞」を受賞して以来、2013年4月に「第5回日本マーケティング大賞」、6月に第60回「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル」のメディア部門で金賞、9月には「Spikes Asia2013」において金賞を受賞するなど、世界から称賛される取り組みになっています。今後の取り組み方針は?
驚くほど海外で高く評価されているのですが、海外では、みんなで揃って何かを一緒にやるということが少ないのだそうです。みんなが同じビブスを身に着けて一斉に何かをやるということは、ある意味で、日本人らしい行動なのかもしれません。
2年間の活動によって、NPOの方々からは、環境保全のボランティア活動に「新しい血が入ってきた」という声が多く寄せられています。若い方々が積極的に活動に参加していただいていることを喜んでいただいています。地域のボランティア活動は、地元の口コミを中心に参加者を募っていることが多く、「AQUA SOCIAL FES!!」によって大々的に全国に向かって情報が発信されるということの効果が現れていると思います。
半面で、参加する若者からも「ボランティアなどやったことがなかった」という声が多く聞かれます。ボランティア活動に興味はあっても、実行に移すきっかけを探していた多くの方々に、<みんなとだから、できること。>という「AQUA SOCIAL FES!!」のメッセージは届いたのだと思います。
2年目の活動を振り返ると、各地域の自治体や大学の参加に加え、地元企業や地域のスポーツチームが積極的に参加してくださるようになっています。3年目は、地元とのつながりが一段と深まるような取り組みになるように進めていきたいと思います。地元とのつながりは、各地域で行われている環境保全の取り組みが、次の世代に引き継がれていくための大きな力になると思っています。
2年間で合計238回のフェスを開催し、参加していただいた方は延べ2万2682人になります。拾ったゴミの量は74トンにもなりました。また、神奈川県の鶴見川にオオヨシキリ(野鳥)が15年ぶりに戻ってきたという報告がありました。静岡県の須々木海岸に上陸するアカウミガメの上陸回数も増えているそうです。<みんなとだから、できること。>は、振り返りみると、大きな力になっています。
引き続き、各地で連携するNPOとの協力を深め、息の長い取り組みにしていきたいと思っています。「アクア」が誕生したのは2011年12月で、「AQUA SOCIAL FES!!」は翌年スタートしました。AQUAは、まだ生まれて間もない車ですし、フェスも始まったばかりです。AQUAの成長とともに、フェスも発展成長できればと考えています。(編集担当:風間浩)
トヨタ自動車の小型ハイブリッドカー「AQUA(アクア)」が提供する水辺の自然保護活動「AQUA SOCIAL FES!!」が、この4月に3年目に入る。トヨタマーケティングジャパンの第1プロモーショングループ グループマネージャー折戸弘一氏に、過去2年間の取り組みを振り返り、3年目に向けた思いを聞いた。(写真はサーチナ撮影)
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2014-03-31 12:00