日本スポーツ応援団、クラウドファンディングでスポーツの振興支援

 クラウドファンディングの仕組みを活かして、日本のスポーツ界を支援する新しい取り組みとして2014年3月31日、一般社団法人「日本スポーツ応援団」が設立され、公式ホームページがオープンした。当日、東京・渋谷の岸記念体育会館で設立記者会見を開催し、代表理事の福田富昭氏(公益財団法人日本レスリング協会会長)は、「2020年の東京オリンピック・パラリンピックは“勝たなければならない”。そのような中で、資金面で悩んでいる競技選手に対し、しっかりした資金の支援を行いたい」と、設立趣旨を語った。  福田氏は、選手強化について資金面での悩みは、団体によって格差があり、「従来の企業スポンサーにお願いしているばかりでは、スポーツ界全体の底上げが難しい。スポーツ界が立ち上がって、オリンピックのみならず、パラリンピックの競技にも強化資金が行き届く仕組みを整えたかった」と実態改善を訴えた。  記者会見には、ロンドン五輪女子レスリングフリー金メダリストの吉田沙保里選手と伊調馨選手、そして、北京パラリンピック柔道日本代表の初瀬勇輔選手、また、レスリング日本代表監督の栄和人氏が登壇し、新しい取り組みへの期待を語った。  吉田選手と伊調選手は、「レスリングは練習にもパートナーが必要」(吉田選手)とし、そろって「強化選手だけではなく、若手の選手にも海外合宿や遠征に参加できるようなチャンスを与えてほしい」(伊調選手)と、従来の強化費用では支援の対象になっていない、幅広い選手への支援につながるような取り組みに期待した。また、栄監督も、「ナショナルチームはかりでなく、学校教育の現場など、競技参加者の底辺が広がることによって、競技自体の底上げができる。冬、夏のオリンピックやパラリンピックなど、いろんな競技があるが、それぞれの競技において、全体の底上げにつながるような取り組みが必要」と訴えた。  また、初瀬選手は、「ブラインドスポーツは、陸上でもスキーでも伴走者が必要。パラリンピックの大会参加基準になるような大会でも自費参加がめずらしくない中、伴走をしてくださる方々は、ほとんどが手弁当で、海外遠征などに同行することが難しい場面が多い。是非、障がい者スポーツの底上げのため、多くの方々から支援をお願いしたい」と「日本スポーツ応援団」への期待を語った。  「日本スポーツ応援団」は、オリンピック競技にこだわらず、幅広いスポーツの団体、および、個人選手から、支援が必要なプロジェクトを募り、そのスポーツを応援したい一般のサポーターから支援金を募るプラットフォームになる。「日本スポーツ応援団」は運営手数料として支援金の20%を得る。  サイトの開設当初に募集を開始したのは、「レスリング情報戦略担当者の世界大会派遣プロジェクト」。レスリングで世界の強豪が集うヨーロッパ選手権などの世界大会へ情報収集員を派遣する費用を公募する。2カ月間に40万円の資金を集める目標。このプロジェクトでは、1000円の支援で「御礼メール」、1万円の支援で「御礼メール、大会報告レポート、担当者から動画メッセージ、国際大会オフィシャルグッズ」など、支援金額に応じた見返り(リターン)が設定されている。支援金はクレジットカートでの支払い。  この他、「東北でのちびっこレスリング教室開催プロジェクト」「レスリング小学生全国大会成績優秀者の海外視察派遣プロジェクト」「全国少年少女レスリング選手権大会へのオリンピアン派遣プロジェクト」などが計画されている。当初は日本レスリング協会の関連プロジェクトからスタートしているが、すでに全日本スキー連盟などから問い合わせも寄せられ、「広くスポーツ界が参加する仕組みに育てたい」(代表理事の福田氏)としている。(編集担当:八木大洋)
日本のスポーツ界を支援する新しい取り組みとして2014年3月31日、一般社団法人「日本スポーツ応援団」が設立され、公式ホームページがオープンした。(写真は、左から柔道の初瀬勇輔選手、レスリングの伊調馨選手、「日本スポーツ応援団」代表理事の福田富昭氏、レスリングの吉田沙保里選手、栄和人監督。サーチナ撮影)
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2014-03-31 17:30