北京・天津・河北の「一体化経済圏」構想、まもなく発表か=中国
北京紙「京華時報」などの中国メディアは北京市、天津市、河北省の3地域をひとつの経済圏とする構想が、当局によりまもなく公表される見込みと報じた。
1990年代に改革開放が本格化して以来、北京市も経済面で大いに発展したとはいえ、広東省や上海市に比べれば、見劣りする状態が続いた。首都でありながら、位置が中国の北に偏っている以外に、上海市や広東省の広州市や深セン市とは異なり、「港を持たない」という点で不利だったとされる。
中国では地方ごとの縦割り行政の問題も大きく、北京市と天津市の足並みがなかなかそろわなかったことも、「首都と港を一体化して開発」することを困難にしたとされる。しかも北京市と天津市の間に挟まれる形で河北省廊坊市が存在するため、「開発の一体化」はなおさら面倒になった。
そのため、1990年ごろには北京市と天津市を合併させる「大北京市構想」も提案されたが、天津市側の猛反発で実現しなかったとされる。
一方の天津市は、清朝末期における対外開港で大いに発展した歴史があったが、中和人民共和国成立後は停滞した。北京に近かったため、人材や組織が北京に「吸い取られた」影響も大きかったとされる。そのため天津市政府は94年に天津市政府は「浜海新区」を設置し、立て直しに本腰を入れた。
中央政府は2005年、同区を国家発展戦略に組み入れた。06年には北京市のみならず、東北三省まで視野に入れて天津市の「浜海新区」の開発を進めるようにと、天津市に指示した。
現在、中国政府・国家発展改革委員会(発改委)は北京、天津、河北の3地域からなる経済圏を構築する構想の「詰めの段階」に入っており、中でも「浜海新区」に重要な役割りを担わせる考えとされる。
すでに習近平国家主席も、北京、天津、河北が足並みのそろわない開発を続けてきたことを「わずかな農地を3分割して耕す考えを打破せねばならない」などと批判し、3地域を統合しての経済圏設立に積極的な意欲を示した。
経済圏建設の目玉としては、交通網の整備が挙げられている。2020年までに、北京、天津、河北省省都の石家荘を結ぶ高速道路3線を完成させる。また、北京市を大きく囲む高速道路の七環路を2015年には全線開通させる。同高速道路は、全長940キロメートルのうち、850キロメートルが河北省内を通る。
さらに、北京市を起点として、河北省内や東北地方までを結ぶ高速鉄道網を建設し、河北省全域を鉄道による「1時間経済圏」に組み込む。
河北省も自省を「首都経済圏」に組み込むことに熱心で、関連プロジェクトに2億元(約33億2000万円)を拠出することを決めたという。
天津市には、上海に続き「自由貿易試験区、第2弾」が設置されるとの見方がある。北京市や河北省との3地域が合体した経済圏の建設と、自由貿易試験区の構想が密接に結びつけられる可能性もある。(編集担当:如月隼人)
北京紙「京華時報」などの中国メディアは北京市、天津市、河北省の3地域をひとつの経済圏とする構想が、当局によりまもなく公表される見込みと報じた。
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2014-03-31 18:00