【為替本日の注目点】円全面安もドル円は正念場、日米株高も一段の上昇は難しい
NY市場
ドル円は東京時間では102円台後半で様子見だったが、海外市場に入ると103円台に乗せ、NY市場では一時103円44銭までドル高が進む。ただその後はイエレン議長の発言や軟調な経済指標に103円割れまでドル売りが優勢となったが、103円20-25銭まで反発して引ける。
ユーロドルは域内の消費者物価指数が予想を下回ったことで一旦は1.37台全前半まで売られたが、その後は切り返し1.38台前半まで反発。
株式市場は続伸。イエレン議長が景気刺激策の継続が必要との認識を示したことが支援材料となり、ダウは134ドル高と再び最高値が視野に入る水準まで上昇。
債券相場は横ばい。イエレン議長が労働市場には「相当のたるみ」があると発言したことが相場を支えた。
金は続落し1283ドルに。原油も4日ぶりに小反落。
3月シカゴ購買部協会景気指数 → 55.9
ドル/円 102.90 ~ 103.44
ユーロ/ドル 1.3763 ~ 1.3810
ユーロ/円 141.79 ~ 142.59
NYダウ +134.60 → 16,457.66ドル
GOLD -10.50 → 1,283.80ドル
WTI ー0.09 → 101.58ドル
米10年国債 -0.001 → 2.719%
本日の注目イベント
豪 RBAキャッシュターゲット
日 3月日銀短観
中 中国 3月製造業PMI
中 中国 3月HSBC製造業PMI(改定値)
独 独3月雇用統計
欧 ユーロ圏3月製造業景況感指数(改定値)
欧 ユーロ圏2月失業率
英 英3月製造業PMI
米 3月ISM製造業景況指数
先週末のNY市場で上値の目処である102円台半ばを超えたドル円は、やや方向感を見せ103円台半ばまで上昇しました。この水準は先月の雇用統計発表直後に記録したレベルで、約1ヶ月ぶりということになります。問題はここからです。103円台前後を維持できるかどうかが重要で、この水準を維持できなければ再び元の「膠着状態」に戻ってしまうことにもなりかねません。ドル円にとっては「正念場」です。
ドル円は欧州時間帯に103円30銭前後まで上昇したことから、NY市場でのもう一段のドル高期待もありましたがイエレン議長の講演内容と、経済指標に上値を抑えられ、一旦は102円台後半まで押し戻されましたが、引けにかけては再び103円台に戻すところを見ると、円売りに勢いがつきそうな予感もします。
イエレン議長はシカゴで講演し、米当局が5年以上にわたって緩和政策を維持してきたものの、失業対策はまだ十分ではないとの認識を示し、「異例のコミットメントはまだ必要であり、この先も当面必要だろう。これは他の米金融当局者と広く共有している見解だと確信している」と語っています。また、「グレート・リセッション(大不況)の傷跡がまだ残っており、目標達成には時間がかかるだろう」とも述べています。(ブルームバーグ)
議長は先月のFOMC後の記者会見で、QE終了後の利上げのタイミングについて「おそらく6ヶ月程度」と口を滑らせてしまったことで、株式市場と債券市場が大きく下落するきっかけを与えました。それだけに今回の講演内容は注目されていましたが、講演では株式、債券市場に配慮した格好になりました。事実、債券は横ばいでしたが株式市場は大幅に反発し、史上最高値に手が届く水準まで反発しています。
円は「リスクオン」が進み、海外市場では全面安の展開でした。ユーロ円は一時142円60銭前後まで上昇し、豪ドル円は95円72銭近辺まで買われ、実に昨年6月4日以来の円安水準を記録しています。明らかに円全面安の展開になりつつありますが、このトレンドが今後も続くかどうかを慎重に判断しなければなりません。
日米とも株高がやや戻ってきており、とりわけ米株式市場では先高感が広がっています。金価格を見ても、3月14日の1379ドルから下落に転じ、足許では4日続落しています。そして昨日のNYでは1283ドルまで下落しています。そもそもウクライナ情勢の緊張の高まりから「質への逃避」(Flight to quality)先として買われたわけですが、足許の水準を見ると「リスクオン」に傾いていることが金価格からも伺えます。
テクニカルでは、昨日も触れましたが、「日足」のドル円チャートでは「転換線」が「基準線」を下から上に抜ける「好転」を見せ始めました。昨日も述べたように、「基準線」は3月7日の103円77銭を上回るか、あるいはこのまま横ばいで来週の火曜日を迎えれば上向きに転じるはずです。従ってテクニカルを見る限りは、まだこのまま一段と上昇を続けるパターンにはなっていないと言えそうで、ここからのドルの上昇はそう長くは続かないことを示しています。
この示唆が正しいかどうかは、今週の重要なイベント次第ですが、最初に述べたようにドル円にとっては「正念場」となります。先月の雇用統計で103円77銭までドル高が進んだわけですが、今回も週末の雇用統計をきっかけに105円への足がかりをつくるのか注目されます。本日の予想レンジは102円80銭から103円80銭程度と見たいと思います。102円80銭は昨日のNY市場でのドル下落でも届いていないレベルで、103円80銭は上述のように、先月のドル高値を意識したものです。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
ドル円は東京時間では102円台後半で様子見だったが、海外市場に入ると103円台に乗せ、NY市場では一時103円44銭までドル高が進む。ただその後はイエレン議長の発言や軟調な経済指標に103円割れまでドル売りが優勢となったが、103円20-25銭まで反発して引ける。
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2014-04-01 09:45