【為替本日の注目点】ドル円109円台半ばまで続伸

 ドル円は続伸し、109円45銭まで上昇。米長期金利が3.03%台まで上昇したことを受けドル買いが強まり、前日の高値を抜く。ユーロドルも同じような動きからドル買いユーロ売りが強まり、1.2160まで下落。前日大きく下げた株式市場は反発。ただダウは59ドル上昇したものの、ナスダック指数は3ポイント下落。債券相場は下落が止まらずこの日も売られる。長期金利は一時3.03%まで上昇し、3.02%台で取り引きを終える。金は売られ、原油も続落。 ドル/円109.06 ~ 109.45 ユーロ/ドル1.2160 ~ 1.2200 ユーロ/円  132.94 ~ 133.25 NYダウ +59.70  → 24,083.80ドル GOLD -10.20 →1,322.80ドル  WTI  ―0.35 → 68.05ドル   米10年国債 +0.026 → 3.026% 本日の注目イベント 欧   ECB政策金利発表 欧   ドラギ・ECB総裁記者会見 米   新規失業保険申請件数 米   3月耐久財受注 米   企業決算 → GM、インテル、アマゾン、マイクロソフト、スターバックス  米長期金利の上昇が止まりません。昨日は一時3.03%台まで上昇し、引け値でも3.02%台と、2014年1月以来の高水準です。長期金利の上昇は、債券価格が下がっていることを意味し、債券が連日売られていることになります。ドル円は長期金利の上昇を手掛かりに、109円45銭までドル高が進み、この日も金利高に引っ張られる形でドルが買われ、ドル円と米金利との相関関係も徐々に戻ってきたようです。  債券が連日売られている理由は幾つか挙げられますが、基本は米国のインフレ懸念が高まっているということです。折からの原油高も今後物価を押し上げる可能性があり、FRBの利上げ回数も「年内あと2回か3回」というスタンスは変わっていません。さらに、昨年末に成立した税制改革で大幅な減税が実施されていることから、国債の増発も需給関係を悪化させ債券の売り材料として意識されています。報道によると、米国債の6割が米国以外の機関投資家に保有されており、値下がりしていることから、かなりの評価損を抱えていると思われます。実際に日本の地方銀行の一部では含み損を2018年3月期に処理をしたため、年間の利益が吹き飛んだとの報道もあります。この3月末に処理したのであればまだいい方ですが、現在も保有しているのであれば損がさらに拡大しており、経営にも厳しい影響を与える可能性もあります。  このようにさらなる損出を避けるための債券売りも、相場の下落に拍車をかけているものと思われますが、米長期金利が前回3.03%だった2014年1月時のドル円の水準は、104円台半ばでした。現在よりも5円程度の円高水準ということになりますが、米金利はこの後徐々に低下していき、あの記録的な1.35%台をつけることになります。一方ドル円の方は、日銀の追加緩和策という「バズーカ砲第2弾」を受け118円台方向へ急激な円安が進むことになります。  国内ではリスクを取らない限り高水準の利回りを確保できず、現行の金融政策が維持される以上、海外に活路を見出す動きは今後も続くと思われます。その意味では、10年の利回りが3%を超える水準まで上昇し、運用利回りとしては魅力的と言えなくもない足元の水準では、巨額の資金運用している生保の動きが注目されます。特に為替がドル安からドル高へと「トレンドが転換」したのであれば、為替益と、金利収入の両方を享受することができることになるからです。ドル円はこの欄でも何度か触れている様に、「日足」の雲を上抜けしています。まだ完全に抜け切ったとは現時点では言えませんが、もし完全に抜ければドル安トレンドの終焉ということが言えそうです。  注意したいのは、雲の上にも幾つかレジスタンス・ポイントが集中していることです。109円50-60銭には「120日移動平均線」があり、さらにその上には重要な「200日線」もあります。こうしてみると「トレンド転換」は、110円台半ばを明確に上抜けして完成する必要がありそうです。110円が視野に入ってきましたが、これからがドル円にとっても正念場です。予想レンジは108円80銭~109円80銭程度と見ます。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は続伸し、109円45銭まで上昇。米長期金利が3.03%台まで上昇したことを受けドル買いが強まり、前日の高値を抜く。ユーロドルも同じような動きから(イメージ写真提供:123RF)
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2018-04-26 09:30