【為替本日の注目点】ユーロドル4カ月ぶりに1.19台を割り込む

 ドル円はアジア市場で109円台を回復し、NY市場では109円40銭までドル高が進む。ユーロドルの動きにつられて円売りが強まった側面もあったが、上値も限られ、その後は109円前後まで値を下げる。ユーロドルは持ち高の解消が継続され、一時は1.190を割り込む。ユーロ圏の景気鈍化を背景に出口が遠のくとの見方が強まる。株式市場は続伸。ダウは午後には上げ幅を縮小したものの、先週末比94ドル高で取り引きを終える。債券相場は薄商いの中動かず、金利水準も先週末とほぼ変わらず。金は反落。原油はイランに加え、ベネズエラの財政不安から4日続伸。引け値でも3年5カ月ぶりとなる70ドル台に。 3月消費者信用残高  → 116.22億ドル ドル/円109.00 ~ 109.40 ユーロ/ドル1.1897 ~ 1.1983 ユーロ/円  129.95 ~ 130.30 NYダウ +94.81  → 24,357.32ドル GOLD -0.60 →1,314.10ドル  WTI  +1.01 → 70.73ドル   米10年国債  ±0  → 2.950% 本日の注目イベント 豪  豪3月小売売上高 中  中国4月貿易収支 独  独3月貿易収支 独  独3月経常収支 独  独3月鉱工業生産 加  カナダ4月住宅着工件数  昨日の東京市場では109円を挟む展開だったドル円は、NY市場では109円40銭まで買われました。昨日の動きを見る限り、「円売り」というよりも、「ドル高」と言った方が適切なようです。ユーロドルが1.190を割り込み、1.1897までユーロ安が進み、ドル買いユーロ売りに引っ張られる形で、ドル円も109円台半ばまで上昇した側面が強かったと見られます。  ユーロドルの1.19割れは昨年12月の下旬以来となり、積み上がったポジションを解消する取り引きが引きがねとなって、ユーロ売りが加速していると見られます。今年9月まで毎月300億ユーロの資産購入プログラムが実施されていますが、それ以降は規模の縮小か購入の停止がなされ、その後に利上げに踏み切るという「メインシナリオ」が遅れるとの見方が出てきたことが、その最大の理由です。4月26日に行われたECB理事会後の記者会見でドラギ総裁が、今年に入ってユーロ圏の成長が鈍化していることを認めたことで、投資家は量的緩和の終了が先送りされる可能性を意識し始めました。  実際発表された経済指標を見ると、ドイツを中心に軟調な数字が出ています。先週発表されたユーロ圏の1-3月期GDPも年率で2.5%と、前期の2.7%から鈍化していました。加えて、ユーロの先高感が強かったことから、ユーロの買いポジションは高水準に積み上がっており、この巻き戻しがユーロドルやユーロ円でも活発になって水準を押し下げていると見られます。ただそれでもユーロ圏の出口への距離は日本よりも遥かに近く、ここからのユーロの下落は限定的ではないかと、個人的には予想しています。目先のサポートは1.17台前半あたりをイメージしています。  ドル円は109円台半ばを頂点に折り返してきましたが、底堅い動きは続いていますポイントは再び110円台に乗せることができるかどうかですが、110円台ではかなりのドル売り需要も想定されることから、それらを吸収して上昇できるかどうかです。武田薬品工業のシャイアー買収が合意に近く、本日8日にも発表があるのではないかとの報道は「ドル高材料」ですが、一方で、米国がイラン核合意に在留するかどうかも本日発表される見込みで、こちらはリスク回避の材料と見ることができます。  本日は上記のニュースに注意しながらのトレードということになります。108円台半ばが下抜けできない一方、上値も昨日のNY市場のように、109円台半ばから上方は重そうです。どちらが抜けるかもポイントの一つになり、予想レンジも108円50銭~109円50銭程度にならざるを得ません。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円はアジア市場で109円台を回復し、NY市場では109円40銭までドル高が進む。ユーロドルの動きにつられて円売りが強まった側面もあったが、(イメージ写真提供:123RF)
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2018-05-08 09:30