【為替本日の注目点】ドル円一気に109円台半ばまで下落

ドル円は欧州市場での急落を受け109円台で始まったが、NY市場では落ち着いた動きを見せた。110円台前半まで上昇したが米長期金利の低下などもあり、やや上値の重い展開だった。ユーロドルはユーロ圏のPMIが悪化していたことで続落。一時は半年ぶりとなる、1.1676前後までユーロ安が進む。株式市場は反発。FOMC議事録で追加利上げを急がないことが示唆されていたことで買いを集めた。ダウは52ドル高と小幅に上昇して引ける。債券は急反発。議事録の内容に買い安心感が広がり価格が上昇。長期金利は約2週間ぶりに3%の大台を割り込み、2.99%台に低下。金は反落し、原油は続落。
4月新築住宅販売件数 → 66.2万件
ドル/円109.68 ~ 110.33
ユーロ/ドル1.1676 ~ 1.1720
ユーロ/円 128.34 ~ 129.06
NYダウ +52.40 → 24,866.81ドル
GOLD -2.40 →1,289.60ドル
WTI -0.36 → 71.84ドル
米10年国債 -0.066 → 2.993%
本日の注目イベント
独 独1-3月期GDP(改定値)
英 英4月小売売上高
米 新規失業保険申請件数
米 3月FHFA住宅価格指数
米 4月中古住宅販売件数
米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演
米 ダドリー・NY連銀総裁講演
最近の緩やかな値動きからしたら、久しぶりの大きな動きでした。ドル円は昨日の朝方から欧州市場が参入する夕方までに1円50銭程度動き、1日の下落幅としてはかなりのものでした。円買いドル売りを誘発したのは、北朝鮮リスクや貿易問題、さらにはトルコリラの急落が挙げられます。ただ米朝首脳会談を巡っては、トランプ大統領が6月12日に行われる会談を巡り「私たちが求める条件が満たされないと会談は開かない」とホワイトハウスで述べたことで、北朝鮮リスクが再び高まったものですが、この報道は昨日の早朝には伝えられており、その時のドル円は極めて静かで、111円を下回る水準で推移しています。
ドル円は夕方には110円を割り込み、一気に109円56銭前後まで円高が進み、br>円急騰時に良く観られる「円独歩高の展開」でした。昨日はユーロ円なども急落し、特にトルコリラ円は損切りも巻き込み大きく値を下げました。これらクロス円の下げが、ドル円でのドル売り円買いにもつながったと見られます。トルコリラは、その後トルコ中銀が通貨防衛のための利上げを決めたため、急速に値を戻しています。
昨日のこの欄でも述べましたが、ドル円は111円台前半から半ばがやや重くなりながらも「調整らしい調整」もなく、ジリジリと買われてきました。昨日の欧州市場で109円台半ばまで下落したことで、今回の上昇局面での最初の本格的な調整が起こったと言えます。今回の調整で、111円台では天井感も出てくると思われ、しばらくは110-115円のレンジではなく、110円を挟むレンジを形成するのではないでしょうか。
決め手となるのは、やはり米朝首脳会談が延期されるのか、あるいは予定通り6月12日に実施されるのかという点です。個人的には、現時点では延期する決定的な理由はないことから、予定通り実施されると予想しています。今回のトランプ大統領の発言は、北朝鮮側から揺さぶりをかけてきたことに反応したものです。米朝首脳はお互いに「策士」です。会談までに有利なポジション取りをしているものと思われます。特にトランプ大統領にとっては、劣勢が予想される11月の中間選挙に向けて、「成果」をアピールしたいという思惑もありそうです。
本日のドル円は110円を挟む展開になりそうです。上値は110円35-40銭辺りを抜けるかどうか。下値では109円50-70銭辺りがサポートになろうかと思います。予想レンジは109円50銭~110円50銭程度と見ます。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は欧州市場での急落を受け109円台で始まったが、NY市場では落ち着いた動きを見せた。110円台前半まで上昇したが米長期金利の低下などもあり、(イメージ写真提供:123RF)
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2018-05-24 09:30