中国で不動産市場「委縮状態」・・・シャドーバンキングに問題波及の可能性も

 中国における不動産市場は、先行きが不透明な状態が続いている。価格面ではわずかに上昇する状態が続いているが、市場は「委縮状態」で、大都市では3月の取引量が前年同月比で40.4%減少した。証券時報などが報じた。不動産企業にはシャドーバンキングの資金も大量に流れており、資金繰りが悪化した場合、理財商品絡みの問題が拡大し、金融業界も大きな影響を受ける可能性がある。  政府系の不動産研究機関である中国指数研究院によると、3月における全国100都市の新築住宅の平均価格は1平方メートル当たり1万1000元(約18万4000円)で、前月比で0.38%上昇した。2012年6月からの22カ月連続の上昇だが、上昇幅は2月に比べて2ポイント縮小した。  北京、上海など十大都市では住宅平均価格が1万9600元(約31万8000円)で、前月比では0.67%上昇。しかし、上昇幅は2月に比べて0.41ポイント縮小した。広州市(広東省)では価格が0.29%、や杭州市(浙江省)では0.18%下落した。  中国政府は不動産政策について3月、「大都市は物件供給量を今後も増やし、同時に投機性の強い需要や抑制」、「不動産商品の在庫が多い都市では、用地の徴用を抑制する」という、地方ごとの状況に応じて需要と供給を抑止する「双向調控」の推進を表明した。  中国指数研究院の黄瑜常務副院長によると、「双向調控」は市場の自己調整機能にもとづくものであり、より厳しい行政的手法もなく、抑制策は比較的平穏に推移しているという。  しかし、不動産物件の取引量は前年同月に比べ、大きく落ち込んだ状態だ。不動産大手の中原地産が運営する中原地産研究センターによると、3月における全国54都市の取り引き成約件数は前年同月比33.5%減の20万9000件だった。中国では「重要大都市」が「一線都市」と呼ばれるが、「一線都市」における成約件数は40.4%減、「一線都市」に準じる規模と重要度の「二銭都市」では47.5%減だった。  中原地産の張大偉首席アナリストによると、3月になり不動産企業にも消費者側にも微妙な心理的変化が生じたという。ローンの引締めや「双向調控」を受け、消費者側は「様子見」の気持ちが強まった。  一方の不動産企業では「薄利多売」の気持ちが強まっている。「一線都市」に物件を持つ不動産企業の多くは上場企業であり、販売量の落ち込みは株価にとりわけ大きく影響する。「一線都市」の不動産市場の状況は、「二線都市」にも浸透していくことになる。  不動産市場は今後、予想しなかった動きをみせる可能性があるが、3月の状況は力強さが見られず、4月も楽観はできないという。  中国では3月19日までに中堅不動産開発会社の浙江興潤置業投資(奉化市)が、資金繰りに行き詰まり、事実上の経営破綻(はたん)した。  今後、経営状態が苦しくなった不動産企業に価格引き下げの動きが目立つようになれば、消費者側の一層の「買い控え」を招き、市場がさらに冷え込む可能性も否定できない。  さらに、中国では中堅以下の不動産企業に、シャドーバンキングの資金も大量に流れているとされる。不動産企業の多くで資金繰りが悪化した場合、理財商品絡みの問題が拡大し、金融業界も大きな影響を受ける可能性がある。(編集担当:如月隼人)
 中国における不動産市場は、先行きが不透明な状態が続いている。価格面ではわずかに上昇する状態が続いているが、市場は「委縮状態」で、大都市では3月の取引量が前年同月比で40.4%減少した。証券時報などが報じた。不動産企業にはシャドーバンキングの資金も大量に流れており、資金繰りが悪化した場合、理財商品絡みの問題が拡大し、金融業界も大きな影響を受ける可能性がある。
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2014-04-03 11:15