【為替本日の注目点】米中貿易摩擦再燃からドル円下落

米国が中国に対して500億ドル相当の関税引き上げを発表したことで、米中貿易戦争のリスクが高まったとしてドル円は110円42銭まで売られた。その後は日米中銀の金融スタンスの差が意識され、110円60-70銭まで戻して越週。ユーロドルは前日の大幅安から反発。1.16台前半まで買い戻される。
株式市場は主要3市場が揃って下落。米中の貿易戦争を巡る不安からダウは84ドル下げ、4日続落。債券相場は続伸。長期金利は2.92%台まで低下し、3%を目前に下落傾向に。金と原油価格はともに大幅反落。
6月NY連銀製造業景況指数 → 25.00
5月鉱工業生産 → -0.1%
5月設備稼働率 → 77.9
6月ミシガン大学消費者マインド(速報値) → 99.3
ドル/円 110.42 ~ 110.71
ユーロ/ドル 1.1585 ~ 1.1627
ユーロ/円 128.02 ~ 128.50
NYダウ -84.83 → 25,090.48ドル
GOLD -29.80 → 1,278.50ドル
WTI -1.83 → 65.06ドル
米10年国債 -0.014 → 2.921%
本日の注目イベント
日 月貿易収支
米 6月NAHB住宅市場指数
米 ウィリアムズ氏NY連銀総裁に就任
米 ウィリアムズ新NY連銀総裁講演
米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
金曜日の東京時間にドル円は上昇し、一時は110円90銭までドル高が進みました。海外市場での111円台乗せに期待もありましたが、その後トランプ政権が中国からの輸入製品に500億ドル(約5兆5300億円)相当の追加関税を発表し、中国もすぐさま同じ規模の報復関税で応じる方針を表明したことで、世界経済への影響が懸念され、ドル円は110円台半ばまで下押しされました。
世界1、2位の経済大国である米中はそれぞれ、7月6日に発動する新たな関税措置対象商品の詳細なリストを発表しました。トランプ大統領は前日、中国が報復の構えを示せば、さらなる関税措置を講じると表明しており、やや貿易戦争の色合い濃くしています。NY株式市場も、この動きを懸念し主要市場とも揃って下落し、反対に債券は買われ、長期金利が低下しています。
さらに懸念されるのは、この勢いからトランプ大統領が輸入自動車の関税引き上げにも着手してくる可能性があることです。今回中国製品に対して25%の関税適用を指示したように、輸入車にも25%の関税をかけてくることも予想されます。日本から米国への完成車の輸出台数は概ね170万台と、決して少ない数字ではありません。
これらに25%に関税がかけられれば、さすがのコストパフォーマンスのいい日本車でも売れ行きが下がるのは目に見えています。自動車産業は、完成車までの部品数が多く、それだけに裾野が広いと言われています。日本からの輸出台数が激減すれば、日本の景気そのものへの影響も避けられないものになる可能性があります。
ドル円は111円台乗せには失敗しましたが、まだ現時点では再度トライするチャンスはあろうかと思います。先週のFOMCでは今年2回目となる利上げを決め、さらに今年の利上げ回数の予測も上方修正されました。一方日銀は2%の物価目標達成期限は外していますが、今後も緩和政策を粛々と続け、2%の物価上昇を目指すものと思われます。日米金利差の拡大傾向が今後も続くとすれば、ドル円の下支えとなる可能性があります。しばらくは貿易戦争の行方と日米金利差拡大の綱引きが続くのではないかと予想しています。
本日のドル円は110円20銭か~111円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
米国が中国に対して500億ドル相当の関税引き上げを発表したことで、米中貿易戦争のリスクが高まったとして(イメージ写真提供:123RF)
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2018-06-18 09:30