山下医科器械は売り一巡、好業績を評価して出直り本格化

  医療機器商社の山下医科器械 <3022> の株価は出直りの動きを鮮明にしている。売りが一巡し、第3四半期累計の好業績を評価する動きだろう。強基調に転換して出直りが本格化しそうだ。   九州を地盤とする医療機器商社である。医療機器の販売・メンテナンス、医療材料・消耗品などの販売を主力として、子会社イーピーメディックは整形インプラントを製造販売している。九州最大の需要地である福岡県での市場シェア拡大を最重点戦略として、医療機関向けSPD(病院医療材料管理業務)の契約施設数増加に対応するため13年7月に福岡SPDセンターを新設し、鳥栖SPDセンターとの2拠点体制とした。   13年12月に判明した従業員による不正行為に関して、2月14日に過去の有価証券報告書、および今期(14年5月期)第1四半期(6月~8月)決算短信の訂正を発表した。不正な売上高の総額は約2億64百万円だった。今後は再発防止と信頼回復に向けて、実効性のある再発防止策を即時に徹底して実施するとしている。   不正行為に関連して、2月28日に独立行政法人国立病院機構から処分を受けたと発表している。内容は〔1〕指名停止 期間14年2月28日~14年11月27日の9カ月、〔2〕一般競争参加資格の降格 期間14年11月28日~15年8月27日の9カ月で、対象地区は全国(独立行政法人国立病院機構管轄の全施設)である。当該処分の対象となる施設の前期(13年5月期)売上高は全社売上高の1割強だが、今期業績見通しに変更はないとしている。   3月28日に発表した今期(14年5月期)第3四半期累計(6月~2月)の連結業績は前年同期比9.0%増収、同98.4%営業増益、同61.1%経常増益、同80.6%最終増益だった。メディカルサービス分野で放射線室関連がやや低調だったが、一般機器分野では病院建替えや設備更新に伴って手術室ユニットシステムや超音波診断装置などの医療機器備品の売上が増加し、一般消耗品分野ではSPD契約施設増加に伴って医療機器消耗品の売上が増加した。低侵襲治療分野では内視鏡備品や内視鏡処置用医療材料など、そして医療情報分野では医用画像情報システムなどが好調だった。   通期の見通しは前回予想(7月11日公表、前期決算訂正のため伸び率は修正)を据え置いて、売上高が前期比0.4%増の473億29百万円、営業利益が同20.2%減の4億22百万円、経常利益が同16.3%減の4億97百万円、純利益が同13.3%減の2億79百万円としている。   第3四半期累計は大幅増収増益となり、通期見通しに対する進捗率は売上高が77.0%、営業利益が155.2%、経常利益が125.4%、純利益が129.0%で利益は大幅に超過達成している。福岡SPDセンターの新設費用、2月28日発表の指名停止の影響、4月の診療報酬・医療材料価格改定の影響などを考慮して通期見通しを据え置いているが、通期利益の増額は濃厚だろう。   株価の動きを見ると、従業員の不正行為判明、業績発表の延期、指名停止という悪材料に加えて、全般地合い悪化も影響して水準を切り下げた。しかし3月3日の取引時間中に付けた1465円をボトムとして1600円台まで切り返した。悪材料を嫌気した売りが一巡して出直りの動きだ。さらに第3四半期累計業績を好感して足元では1700円台を回復している。   4月3日の終値1749円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS109円61銭で算出)は16倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間33円で算出)は1.9%近辺、実績PBR(訂正後の前期実績連結BPS2043円57銭で算出)は0.9倍近辺である。週足チャートで見ると、戻りを押さえていた13週移動平均線と26週移動平均線を一気に突破した。強基調に転換した形であり、出直りが本格化しそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
医療機器商社の山下医科器械<3022>(東1)の株価は出直りの動きを鮮明にしている。売りが一巡し、第3四半期累計の好業績を評価する動きだろう。
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2014-04-04 09:15