【為替本日の注目点】米GDP大幅な伸びながらも予想を下回る

米第2四半期GDPの発表でドル円は110円80銭まで下げたが、今週発表の日米の金融会合を控え動きは小幅。111円近辺まで反発して越週。ユーロドルは小幅に下落。この日は終始1.16台で推移し、一時は1.1620まで売られたが、1.16台半ばまで戻す。
株式市場は下落。ダウは4日ぶりに反落。ナスダックはインテルの決算発表をきっかに急落した。結局IT関連銘柄が大きく売られことで、114ポイントの大幅安。債券相場は反発。長期金利は2.95%台へと低下。金、原油はともに下落。
4-6月期GDP(速報値) → 4.1%
7月ミシガン大学消費者マインド(確定値) → 97.9
ドル/円 110.80 ~ 111.25
ユーロ/ドル 1.1620 ~ 1.1664
ユーロ/円 129.25 ~ 129.46
NYダウ -76.01 → 25,457.06ドル
GOLD -2.70 → 1,223.00ドル
WTI -0.92 → 68.69ドル
米10年国債 -0.022 → 2.954%
本日の注目イベント
独 独7月消費者物価指数(速報値)
欧 ユーロ圏7月景況感指数
欧 ユーロ圏7月消費者信頼感(改定値)
米 6月中古住宅販売件数成約指数
ドル円は先週、一時110円台半ばまで売られる場面があり、これまで緩やかに上昇を続けていたトレンドにやや変化が出てきました。きっかけはトランプ大統領が、利上げは「うれしくない」とツイッターをしたことや、「中国とEUは通貨を操作している」といった、通常、大統領といえども言及することがない金融政策や通貨問題にまで「つぶやいた」ことでした。
さらにドル円の先行きに懸念を生じさせたのが、日銀の金融政策の修正観測が高まったことでした。一部の新聞や通信社が、本日から開催される決定会合で、緩和政策の見直しを検討すると報じたことでした。債券市場では、この報道を受け長期金利が急騰し、1年ぶりに0.1%まで上昇し、さらに先週末には一時0.105%まで上昇しました。日銀は「指し値オペ」を実施し、金利高を容認しない強い姿勢を見せましたが、依然として不透明感は払拭できていません。仮に、金融機関への副作用に配慮して「ゼロ金利解除」や「長期金利の上昇」を容認すれば円が買われ、かなりのスピードで円高が進む可能性が高いと見られます。
ただ、現時点では金融政策の変更は考えづらく、あるとすれば、現行の緩和姿勢を維持しながら、その副作用に配慮するコメントを発する程度ではないかと予想しています。2%の物価上昇が達成できていない中、円高が進めばさらに輸入物価を押し下げることになり、「逆風」となります。さらに、9月には自民党総裁選もあり、安倍現首相の3選が濃厚と見られており、そうなれば、「アベノミクスよ、もう一度」と考えるのは自然なことです。また、円高が進み株価の下落につながれば、来年10月からの消費税引き上げにも影響を与えることになります。
このような「思惑」や「期待」も入り混じった中で、本日から金融政策決定会合が行われ、明日その結果が発表され、その後いつものように黒田総裁の記者会見が行われます。久しぶりに注目を浴びる日銀会合ですが、今週は米国でもFOMCがあり、さらに英国でも金融政策会合があり、さしずめ今週は「中銀ウイーク」の様相です。
米4-6月期のGDP速報値は4.1%と発表されました。前期の2.0%に比べ倍の結果でしたが、予想より低かったため、市場はドル売りで反応しました。GDPの7割を占める個人消費がけん引したものと思われますが、これは昨年末の大型減税による影響かと思います。焦点は、この勢いが来期以降も続くのかどうかという点です。好調な米経済指標にも、住宅関連指標にはぼちぼち、スローダウンを示す数字も出てきています。トランプ政権の強硬な保護主義政策の行方とも関係しますが、この先、「米国一人勝ち」がどこまで続くのかをしっかり見極めていく必要があります。その結果次第では、現時点では「FRBによる利上げは年内あと2回」というシナリオが下方修正される可能性もないとは言えないからです。
本日のドル円は110円50銭~111円30銭程度を予想していますが、どちらかと言えば「下方リスク」の方が高いと見ていますが、本日は、日本の10年物国債の動きにも注意したいところです。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
米第2四半期GDPの発表でドル円は110円80銭まで下げたが、今週発表の(イメージ写真提供:123RF)
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2018-07-30 09:45