今週の為替相場見通し(2018年8月20日~)=為替王

 トルコリラ暴落が起きた以外は、為替相場は比較的平穏。米ドル円は1ドル=110円~111円で安定しています。この夏は「円高を示唆するシグナルが点灯しています」。しかし、「円高圧力はさほど大きなものではありません」。このように予想してきました通り。8月始めの約112円と比べますと、少し円高になりましたが、先週も111円~110円で下げ渋っており、大きく円高に進む気配はありません。これから8月も終盤に入りますが、見通しは変わりません。チャート分析における方向性は、どちらかというと円高。ただ、それほど大きな円高圧力はありません。具体的には110円を割れて109円台に突入する場面があるのではないかとの見方を維持します。逆に、円安方向への戻りは限定的。先週は「円安に戻ろうとする動きは111円台では強力に抑えられる」などと書きました、今週もその強力な上値抑制帯は健在です。もっと細かく言いますと、上値抑制帯がやや降りてきており、111円近辺でまず円安の動きが抑えられやすいです。そこからさらに円安になっても、112円以上へ加速して、それが一時的ではなく長期的に続くシナリオはなかなか想定しにくいです。     大荒れのトルコリラ相場について。先週は1リラ=15円台まで大暴落しました。ブログでは売られ過ぎだと、連日申し上げてきました。反発メドとしましては、最低でも18円台回復。さらに20円台回復もあり得ると申し上げてきましたが、先週のうちにとりあえず18円を回復しました。早期に最低限の反発メド(18円台)を回復できたことは良かったと思います。今週以降も、トルコの政治に振り回される展開が想定されます。チャート分析の観点では、再度、先週の高値19円台を回復できるかどうか。つまり、最低限の反発メド(18円台)をしっかり超えてくることで、この先、第二の反発メド20~21円へ回復するシナリオも現実味を帯びてきます。現時点で、トルコ政府の外交政策および経済政策については、強硬すぎる対応、異様すぎる対応が何も変わっていませんが、少しでも現実路線に修正してくれれば、リラが大幅反発するとの見方は変わりません。    メキシコペソは、トルコリラにつられて急落する場面がありましたが、やはり世界の投資家の買いたい意欲は強いようで、なかなか下がらないどころか、すぐに反発します。先週は一時5.6円まで急落しましたし、その後も何度も5.7円台までは下がるのですが、すぐに5.8円を回復します。焦らずあまり追いかけず、自分が納得できる水準に買い指値を出しておいて、押し目を待つようなスタンスで良いかと思います。    豪ドル円が、相変わらずレンジ相場。先週は想定通り一時的に79円台に突入する場面がありましたが、大きな視野でみれば、だいたい80円~84円の範囲でのレンジ相場がもうかれこれ半年近くも続いています。現時点で、確率は低いのですが、一応、悪いシナリオも見い出せないこともないので、指摘しておきます。先週は、79円台突入は一時的で、終値ではしっかり80円台をキープしましたが、万が一、今週、80円を割り込むような展開になりますと、今度は79円を通過して、78円へと豪ドル安が加速するシナリオも考えられないこともありません。現時点で確率は低いのでそこまで心配いらないと思いますが、一応、そういうシナリオも考えられるかなということで頭に入れておきたいです。    日本ではトルコリラなど高金利通貨が非常に注目されていますが、海外でもっと注目されているのはイギリスポンドの動向。英ポンドは年初来安値1ポンド=140円までずるずる下がってきました。これは約2年前、イギリスが国民投票でEUからの離脱が決まった日の終値とほぼ同じ水準です。予定ではイギリスがEUを離脱するのは来年3月末。それまでに準備も必要ですから、今年10月には離脱する条件・ルールについて合意しようということになっています。「合意するのは無理じゃないか」、「合意なしに、イギリスがEU離脱すれば混乱が生じるだろう」といった懸念が高まるのは当然で、それゆえ、英ポンドがずるずる値下がりする展開になっています。また、イギリス株価指数(FTSE100)も、先週、今年4~5月に暴騰した後、はじめて7400台を記録するほど値下がりしてきました。イギリス株はとても高配当なので保有しておきたい投資先のひとつですが、まだ混乱が続くおそれもありますので、私たちとしては、もっと値下がりしたところを狙いたい状況ではないかと思います。(執筆者:為替王)(イメージ写真提供:123RF)
トルコリラ暴落が起きた以外は、為替相場は比較的平穏。米ドル円は1ドル=110円~111円で安定しています。(イメージ写真提供:123RF)
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2018-08-20 10:00