【為替本日の注目点】ドル円1カ月ぶりに114円台を回復

 ドル円は約1カ月ぶりに114円台を回復。米長期金利がさらに上昇し、FOMC声明文でも、12月の利上げ観測に変化がなかったことがドルを押し上げた。ユーロドルでもドル高ユーロ安が進む。ユーロ圏の成長見通しが引き下げられたこともユーロ売りを誘い、1.1352まで下落。  株式市場は軟調な動きとなったが、引けにかけてはダウが下げを埋め、10ドル高で引ける。ナスダックとS&P500は下落。債券相場は下落。12月利上げ観測が維持されたことで、債券は売られ、長期金利は3.23%台へと上昇。金は下落し、原油価格も大幅に売られる。原油価格は60ドル台まで売られ、今年3月以来の安値水準に。 新規失業保険申請件数 → 21.4万件 ドル/円   113.61 ~ 114.09 ユーロ/ドル 1.1352 ~ 1.1447 ユーロ/円  129.39 ~ 130.09 NYダウ   +10.92 → 26,191.22ドル GOLD   -3.60  → 1,225.11ドル WTI    -1.00  → 60.67ドル 米10年国債 +0.020 → 3.237% 本日の注目イベント 豪  豪第3四半期金融政策報告 中  中国 10月消費者物価指数 中  中国 10月生産者物価指数 英  英9月貿易収支 英  英9月鉱工業生産 英  英7-9月期GDP(速報値) 米  10月生産者物価指数 米  11月ミシガン大学消費者マインド(速報値) 米  クオールズ・FRB副議長講演  ドル円は先月5日以来、約1カ月ぶりとなる114円台に乗せてきました。今年最大のイベントでもあった「中間選挙」を終えても緩やかなドル高の流れは変わらず、NY市場では114円09銭までドル高が進んでいます。米長期金利が上昇したことや、FOMC声明文では、引続き12月のFOMCでの今年4回目となる利上げ観測が根強く、これがドル高につながったものと見られます。  7-8日に開いたFOMCでは、FF金利の誘導目標を現行の2.00-2.25%に維持することを決定しました。声明では「経済活動は力強いペースで拡大している」と指摘し、雇用についても「この数ヶ月、ならしてみると力強い」とし、そのため政策金利については「さらなる漸進的な利上げを継続する」との方針を維持しています。また、経済見通しへのリスクについては「おおむね均衡している」として、前回9月26日の声明から変化はありません。一方で、声明の変化が見られた点では、ブルームバーグによると、企業設備投資の伸びについて、「力強く伸びた」という」表現から「ペースが緩やかになった」としています。  先週発表された10月の雇用統計でも、平均時給の伸びは、前年同月比3.1%と大きな伸びを見せており、FRBも今後のインフレへの一要因として注視しています。12月の利上げについては、個人的には、トランプ大統領が利上げを巡っては再三不快感を示しており、FRBの独立性からすると粛々と必要な金融政策を決定していくとは思いますが、消費者物価指数がそれほど上昇していないことを考えると、「年内の利上げを見送る」可能性もあるのではないかと予想していましたが、昨日のFOMC声明文の内容からすると、その可能性は低いと考えざるを得ません。  12月利上げ観測が強まったことで、昨日は米長期金利が再び上昇し、直近の最高水準に近づき、株価はこれを嫌って下げ、ドルは主要通貨に対しておおむね上昇しています。対円では114円台に乗せ、緩やかな上昇基調を維持しています。114円台では、それほど強いレジスタンスは見当たりません。意識されるのは10月に記録した、今年のドルの最高値である114円55銭あたりでしょうか。トランプ大統領が、再び日本の貿易不均衡について言及し始めていることから、高値圏では警戒感もありますが、「12月利上げ」を材料にもうしばらくは、上下を繰り返しながらもドルが緩やかに上昇する可能性は高いと思われます。  本日の予想レンジは113円60銭~114円50銭程度とみます。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は約1カ月ぶりに114円台を回復。米長期金利がさらに上昇し、FOMC声明文でも、(イメージ写真提供:123RF)
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2018-11-09 10:30