日本マニュファクチャリングは収益改善期待で出直り本格化
製造請負大手の日本マニュファクチャリングサービス <2162> (JQS)の株価は軟調展開が続いたが、足元では下値固めが完了して水準切り上げの動きを強めている。メーカー機能強化戦略や事業構造改革の効果で収益改善期待が高まり、出直りの動きが本格化しそうだ。
製造請負・派遣のIS(インラインソリューション)事業、修理・検査受託のCS(カスタマーサービス)事業、技術者派遣のGE(グローバルエンジニアリング)事業、子会社の志摩グループとTKRグループが展開する開発・製造受託のEMS(エレクトロニクス・マニュファクチャリング・サービス)事業を展開している。
事業戦略コンセプトとして「neo EMS」を掲げて、開発・設計といった製造業の上流プロセス分野を強化し、単なる製造アウトソーサーからキーテクノロジーを有して技術競争力も備えた企業グループへの変革を進める方針である。第一弾として13年10月に、TKRが日立メディアエレクトロニクスの電源事業、トランス事業、車載チューナー事業、映像ボード事業を譲り受けた。
さらに3月27日には、パナソニック<6752>の車載向けを除く電源および電源関連部品(高圧電源、低圧電源、マグネットロール、トランス等)の開発・製造・販売に関する事業を譲り受ける基本合意書の締結を発表した。日立メディアエレクトロニクスとパナソニックから譲り受けた電源および電源関連事業を当社グループのキーテクノロジー分野と定義し、LED電源、空気清浄器、複写機などの分野も強化する戦略だ。なおパナソニックは顧客・取引先との関係を維持継続するため、当社グループの事業受け皿会社となるパワーサプライテクノロジー(仮称)に15%未満の出資を行うことで合意している。
前期(14年3月期)連結業績見通し(11月14日に売上高、営業利益、経常利益を減額、純利益を増額)は、売上高が前々期比6.8%増の415億円、営業利益が5億円の赤字(前期は3億87百万円の利益)、経常利益が2億50百万円の赤字(同5億64百万円の利益)、純利益が同2.3倍の5億50百万円としている。中国の人件費上昇や日系メーカーの生産調整などの影響で中国EMS事業の損益が悪化する。純利益についてはTKRの株式追加取得に伴う負ののれん発生益が寄与する。
収益改善に向けた事業構造改革については、構造的課題のある拠点の統廃合(志摩グループとTKRグループの香港拠点およびEMS事業拠点の統廃合など)、国内事業拡大に向けてのビジネスモデル再構築(日立メディアエレクトロニクスから譲渡された水沢工場の活用、人材ビジネス領域の強化など)、中国におけるビジネスモデルの見直し(人材サービスの強化など)を検討している。今期(15年3月期)は事業構造改革の効果、日立メディアエレクトロニクスとパナソニックから譲り受けた電源および電源関連事業が寄与して、収益改善が期待される。
株価の動き(14年1月1日付で株式100分割)を見ると、2月4日安値283円から一旦反発して3月12日に370円まで戻す場面があったが、再び全般地合い悪化の影響で3月20日に287円まで調整した。ただし2月安値を割り込まずに切り返しの動きとなり、4月7日には376円まで上伸して3月12日の370円を上抜いた。3月27日発表のパナソニックの電源事業譲受も好感したようだ。下値固め完了を確認した形だろう。
4月8日の終値378円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS53円79銭で算出)は7倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間3円で算出)は0.8%近辺、実績PBR(前々期実績に株式分割を考慮した連結BPS367円45銭で算出)は1.0倍近辺である。週足チャートで見ると13週移動平均線を突破し、戻りを押さえていた26週移動平均線も突破する動きだ。強基調に転換して出直りの動きが本格化しそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
製造請負大手の日本マニュファクチャリングサービス<2162>(JQS)の株価は軟調展開が続いたが、足元では下値固めが完了して水準切り上げの動きを強めている。
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2014-04-09 07:30