アモイに聳え立つ日中共通の英雄・鄭成功像

日本経営管理教育協会が見る中国 第301回--水野隆張(日本経営管理教育協会営業部長)
●コロンス島の「鄭成功」像
2014年2月末、中国の知人を訪ねてアモイを訪問した。アモイは中国福建省の南東部、台湾の対岸に位置し、人口は約350万人で、アモイ島市街地には約190万人が生活しており、港湾都市、港風景都市として有名である。アモイから連絡船で3分のコロンス島には明代末から清代初期の英雄「鄭成功」像が建っている。知人の案内でコロンス島を観光した。
● 日中共通の英雄「鄭成功」
コロンス島は1902年共同租界地に定められ、各国領事館、商社、学校、寺院が建設され、また華僑の住宅や別荘も多い。現在は旧日本領事館をはじめとする1900年代の建築物が多く残っている地域で、観光名所が数多く点在しており、車は規制されていて一台もなく美しい島である。
島の突端に巨大な「鄭成功」像が台湾方向を見下ろすように聳え立っていた。約300年前、鄭成功は軍を率いて台湾海峡を横断し、オランダに38年間占領されていた台湾を1661年に解放した。このときから、鄭成功は侵略者と勇敢に戦う中華民族の英雄として語り継がれることになった。その鄭成功は7歳までの間、現在の長崎県平戸市で過ごした。
300年が過ぎた今でも、平戸市はこの地に生まれ育った英雄のことを忘れることなく、そこには鄭成功記念館や鄭成功廟、鄭成功記念公園などがあり、毎年7月14日の鄭成功誕生の日には鄭成功まつりが開かれている。
平戸市では鄭成功のような人物が厳しい関係にある日中両国を結びつけ互いの友好関係を末永いものにしてくれるとして、今後大々的に宣伝を行い、鄭成功の知名度を上げたいとしている。日本では鄭成功は近松門左衛門作の「国姓爺合戦」で知られている。
● 国内旅行ブームに沸く中国
知人の話によると、これまで中国の観光地で一番人気は中国のハワイと呼ばれる「海南島」であったが、最近アモイが「海南島」を抜いて中国観光地の一番人気に躍り出たということであった。それには中国の深センからアモイまで高速鉄道(新幹線)が開通し、広東省からの観光客が急増しており、今の時期には日に約2万人が訪れ、観光シーズンのピークには10万人が来訪するということであった。今まさに中国は国内観光ブームが盛り上がっており、コロンス島行きの連絡船は常時満席であった。
● ともに成長するパートナーとして中国との経済交流は不可欠
今回の一年半ぶりの中国訪問で感じたことは、中国は種々の問題を抱えながらも着実に世界の大国への道を歩み続けているということだった。まずアモイに到着して巨大な空港に目を見張った。
夜は22時過ぎともあって、都心へ向かうリムジンバスは終了しておりタクシーを待つ客の列が200メートル以上も続いていた。これでは今晩中にホテルに到着するのは無理だろうかとガックリしていたところ、4列並びで大量のタクシーが次々と現れて約20分でお客を乗せて処理し終わった。ホテルまでの道路も完備されており、途中には高層ビルが林立していた。
今後日本は少子高齢化でマーケットも縮小する一方だろうが、中国はまだまだ格差社会が残っており、成長の余力を秘めている。政治関係は冷え込んでいるが日中経済関係は補完関係にあり、中国の空気汚染や公害などは日本の優れた技術で解決できる面も多々あるだろうし、日本の技術と人的資産が中国企業と協同することで大きな成果が期待できると思うのである。
私が日中貿易に従事していたころには中国と取引する国は限られていたが、今や全世界の国が中国市場へ向けて押しかけている。日本はこの20年の間経済は停滞している。何としても経済力を高めなければならない。経済力が衰退すると領土問題などの紛争が起きることになる。ともに成長するパートナーとして中国との経済交流は不可欠と考える次第である。
写真は厦門コロンス島の鄭成功像。(執筆者:水野隆張・日本経営管理教育協会営業部長 編集担当:水野陽子)
コロンス島は1902年共同租界地に定められ、各国領事館、商社、学校、寺院が建設され、また華僑の住宅や別荘も多い。現在は旧日本領事館をはじめとする1900年代の建築物が多く残っている地域で、観光名所が数多く点在しており、車は規制されていて一台もなく美しい島である。
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2014-04-09 10:30