【為替本日の注目点】NY株大幅高もドル円102円前半、米長期金利の上昇も限定的

 NY市場  ドル円は101円台後半でもみ合い。ウクライナ情勢の緊迫で下値を試す場面もあったが101円72銭で反発。上値も市場全体がドル安の流れから限定的となり、102円近辺で引ける。  ユーロドルはドル安の流れが続き上昇。1.37台後半から1.38台半ばまでユーロ高が進む。  株式市場は大幅に反発。FOMC議事録が公表され、将来の利上げに対する懸念が後退したことや、アルコアの決算発表が相場を牽引。ダウは181ドル高となり、1万6400ドル台を回復。  債券相場は小幅に反落。FOMC議事録では早期の利上げにはつながらないとの見方が広がり、株価が大幅に上昇したわりには堅調に推移。長期金利は小幅に上昇し2.69%台に。  金は小幅に下落。原油は続伸し、約1ヶ月半振りに103ドル台に乗せる。  ドル/円 101.72~ 102.08  ユーロ/ドル 1.3793 ~ 1.3866  ユーロ/円 140.63 ~ 141.32  NYダウ +181.04 → 16,437.18ドル  GOLD ー3.20 → 1,305.90ドル  WTI +1.04 → 103.60ドル  米10年国債 +0.011 → 2.694%  本日の注目イベント  豪   豪3月雇用統計   中   中国 3月貿易収支   欧   ECB月例報告   英   BOE政策金利発表   米   新規失業保険申請件数   米   3月財政収支   米   G20(ワシントン)   ドルが全般的に売られる中、円の上昇は小幅に留まり、昨日の東京時間と同水準で戻っています。一方ユーロは対ドルでの上昇が目立ちます。その結果、ユーロ円も141円台前半まで上昇し、昨日の水準から80ポイントほどユーロ高が進んでいます。  FOMCの議事録を受け、内容が全体的には「ハト派的」だったことでNY株式市場は大幅に反発しました。議事録では、「メンバーは、幅広い経済には労働市場の状況改善を支援する十分な底堅さがあるとの見解で一致した」と記され、また、数人の参加者は、いくつかの要素は「労働市場には失業率のみが示すよりも相当大きなたるみ(スラック)がある」ことを示唆していると指摘しています。(ブルームバーグ)注目されたイエレン議長の、「6ヶ月程度」と発言したQE終了後から利上げへの期間については特に議論はなかった模様です。  NY株式市場はこの内容を好感し、金融引き締めのペースは早まることはないとの見方が広がり急速に買戻しが入り、大幅高につながっています。もっとも、ここ3日間では300ドルを超える下げを見せていただけに、大幅な反発は想定内と見ることができ、このまま上昇トレンドに転じるかどうかは不透明です。  また昨日の株式市場の大幅な上昇の背景には、前日に発表されたアルミ大手の「アルコア」の決算が挙げられます。「アルコア」は毎期決算発表を最も早く行う企業として知られ、「アルコア」の決算が「四半期決算の幕開け」になります。好決算を発表したことで、これから相次ぐ決算発表にも期待が集まり、株価指数の上昇につながりました。今後大手米銀などの決算発表が続きます。株式市場と為替には強い相関関係が見られることから、本格的に始まる米企業の決算内容にも注意が必要です。  NY株式市場が大幅高を演じた割には、ドル円の上昇はほとんど見られませんでした。これは前日同様、米長期金利に反応したものと思われます。株価の上昇は通常、安全資産である債券の下落につながり長期金利が上昇します。長期金利の上昇はドル買い、円売りに働くためドル高に振れるのが一般的ですが、昨日は株価が大幅高だったものの、長期金利の上昇は限定的で、依然として2.69%台で推移しています。足許のドル円は明らかに株価よりも金利に、より強い相関を見せる展開が続いています。  前日140円割れ目前まで売られたユーロ円は大きく値を戻しています。常に意識される「日足」の「120日線」は、現時点では今回も割り込まずに機能していることが確認できます。ユーロ圏ではECBの追加緩和が近いのではないかとの観測が強く、ECBが緩和策を実施すればユーロ安につながると見られていますが、それでも堅調な動きを見せています。ここ1ヶ月は概ね、140円~143円のレンジ相場が続いています。145円を大きく超えて上昇する可能性は低いと見られ、今後は下落圧力の方が強いと予想していますが、年初から読みにくい相場が続いているのも事実です。  本日からワシントンでは「G20」が開催されます。成長戦略やウクライナ情勢が議論されることになりますが、財務相、中央銀行総裁会議のため、大きな材料にはなりにくいと思われます。予想レンジは101円50銭~102円50銭程度というところでしょうか。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
ドル円は101円台後半でもみ合い。ウクライナ情勢の緊迫で下値を試す場面もあったが101円72銭で反発。上値も市場全体がドル安の流れから限定的となり、102円近辺で引ける。
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2014-04-10 09:15