一人のエコノミストが個人投資家に貢献できたこと=村上尚己

 筆者が、マネックス証券においてエコノミックレポート執筆を開始したのは2008年9月である。丁度リーマンショックが発生し、世界のマーケットでリスク資産の暴落が起きた時から、本レポートを提供する職務を負うことになった。「新しい職場に来て早々大変なことになった」と思いつつ、マーケットに冷静に対峙し、相場見通しについて自らの考えをお示しすることに大変苦心したことを、つい最近のことのように鮮明に覚えている。   当時は「100年に1度の危機」と言われ、混乱と停滞が長期化するという恐怖が市場で広がっていた。ただ実際には、2009年3月が米国株市場の大底となり危機は収束した。リーマンショック発生から半年後に、米政府がシティグループなどを公的資金注入で支配下に置いた。金融システム崩壊と経済大収縮の悪循環を断ち切る、「妥当な経済政策」が株式市場に底入れをもたらした。   この時の米政府の対応については、筆者は、2003年5月の日本政府による、「りそな銀行」に対する公的資金注入のケースをあげてレポートで解説した。その分析通りに、りそな銀行のケースと同様に、米政府による金融システム維持策で株式市場下落に歯止めがかかり、米国株の上昇相場が始まった。   そして、米国株の上昇局面は約5年続いている。金融危機の震源地であったにも関わらず米国がこれまで世界の金融市場そして経済を牽引した。円高ドル安による外貨建資産の目減りがあっても、日本の個人投資家がもっとも金融資産を増やすことができた投資先は、米国株市場だった。・・・・  (執筆者:村上尚己 マネックス証券チーフ・エコノミスト 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
筆者が、マネックス証券においてエコノミックレポート執筆を開始したのは2008年9月である。丁度リーマンショックが発生し、世界のマーケットでリスク資産の暴落が起きた時から、本レポートを提供する職務を負うことになった。「新しい職場に来て早々大変なことになった」と思いつつ、マーケットに冷静に対峙し、相場見通しについて自らの考えをお示しすることに大変苦心したことを、つい最近のことのように鮮明に覚えている。 
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2014-04-10 17:30