日中経済関係者が東京で円卓会議、「パートナーシップの重要性」訴え=長江商学院開催

 長江商学院(ちょうこうしょうがくいん)は9日、東京都内で日中経営者ラウンドテーブル(中日CEO円卓会議)を開催した。日中の経済関係者などが出席し、政治面では問題があっても、両国が経済面で重要なパートナーであることに変わりないとの認識で一致。中国の経済・社会の変化を見据えて事業を開拓すべきであり、そのためには日中双方の企業のパートナー選びが重要になるなどの意見が出た。同催しのメディアパートナーは日本経済新聞社グローバル事業局。  長江商学院は、中国初の教員自身の運営による、独立した非営利のビジネススクール。北京本校設立は2002年で、上海と深センにサテライトキャンパスを、香港、ニューヨーク、ロンドンに事務所を開設し、国際的なビジネススクールとして発展してきた。同学院創設にあたっては、香港最大の企業集団・長江実業グループ創設者兼会長である李嘉誠氏が設立した基金が支援をした。同学院出身者には、アリババグループ創業者、会長、CEOの馬雲氏、青島(チンダオ)ビール名誉会長兼主席顧問の金志国氏など、国際的に有名な企業家も多い。  9日のラウンドテーブルではまず、長江商学院の周立次席学院長、縢斌聖長江商学院経営戦略マネジメント論准教授、ヨーロッパキャンパス担当副学院長が、出席者に対する歓迎のあいさつと、日中両国の企業にとっての「成熟期の成長戦略」を模索するという、同イベントの開催趣旨の説明などを行った。  日本側発言者として出席した、在中国日本国大使を務めた経験のある丹羽宇一郎氏は、現在の中国について、環境と経済のバランスが問題になった1970年から90年までの日本との類似性を指摘。また、中国経済の現状については、内需を高め、都市化を進めていることから、流通、物流、IT関連などの発展を見据えた事業展開が有望との考えを示した。  中国における人件費の上昇については、「経済にダメージを与えるのは給与水準の上昇ではなく労働生産性の低下」と指摘。機械や設備の導入などを含め、労働生産性を向上させていけば、人件費の上昇は本質的な問題ではないと主張した。  日本側発言者からは、海外進出にあたっては、相手国の発展に寄与していくこと、現地政府や提携策との信頼の育成、現地での人材育成、労働者との信頼関係の構築などが大切といった発言が続いた。  また、日本における高度成長期とその後の状況を踏まえて、国全体の経済成長期には、機会をとらえることに成長した企業が飛躍したが、同時に「企業業績の源泉となる価値を作ることに成功した企業が、高度成長期が終わってもよい状態で残った」として、中国企業も「オポチュニティーだけでなくクオリティーを追求すべき」とする中国側に対する提言もあった。  中国側は、日本における商品やサービスの充実などを高く評価する発言が続いた。日本側発言者として出席した一ツ橋大学で国際企業戦略を専門とする一ツ橋大学大学院の楠木建教授は、日本を代表するとみなされる知名度の高い企業でも、中国企業の世界戦略にとってモデルになるとは限らないと説明。アイリスオーヤマやピジョンなど、売り上げ規模が千億円規模の会社が、国際的に大きく成功している例があると述べた。  日中双方ともに、進出にあたっては現地企業とのパートナーシップが極めて重要との認識で一致した。一方で、中国の企業人には、日本企業は欧米企業などと比べ中国の現地企業とパートナーシップを構築しようとしないとの批判もあることが紹介された。  中国側発言者のひとりとして出席した、COFCOコカ・コーラ取締役会長兼CEOの巒秀菊氏は、米コカ・コーラ社は極めて多くの国に進出しているが、いずれの場合にも現地パートナー選びを極めて重視したと説明。資金や社会的地位も重要な判断材料だが、「事業成功のために何にも増して大切なのは現地パートナー企業の理念」と述べた。  発言者からは、企業が成功するためには、パートナの場合でも、現地人幹部、従業員をすべて含めて「最終的には人の問題」であり、さらには「オフィスの設計なども含めて、とにかく人を働きやすくするデザイン、環境づくりも重要」、「企業買収も結局は人材確保の手段のひとつ」といった意見が出た。  日本側からは、「投資保証協定」、「知財保護協定」など、進出に際しての企業努力の成果がきちんと保障されるようなルールの整備が、中国には求められるとの意見も出た。(写真はサーチナ編集部撮影。左から長江商学院の縢斌聖次席学院長、周立准教授、日本経済新聞社の関口和一論説委員兼編集委員)(編集担当:如月隼人)
 長江商学院(ちょうこうしょうがくいん)は9日、東京都内で日中経営者ラウンドテーブル(中日CEO円卓会議)を開催した。日中の経済関係者などが出席し、政治面では問題があっても、両国が経済面で重要なパートナーであることに変わりないとの認識で一致。中国の経済・社会の変化を見据えて事業を開拓すべきであり、そのためには日中双方の企業のパートナー選びが重要になるなどの意見が出た。同催しのメディアパートナーは日本経済新聞社グローバル事業局。
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2014-04-10 19:15