【株式・為替相場展望】一旦はリバウンドの動き、ただし重要イベントの谷間で思惑交錯

(4月14日~18日) ■15年3月期企業業績見通しに対する警戒感も台頭   来週(4月14日~18日)の株式・為替相場は、前週末11日の米国株下落を受けてやや軟調なスタートだが、売り一巡後は前週の日本株の大幅下落に対して、一旦はリバウンドの動きとなりそうだ。   その後は重要イベントの谷間となり、次週(4月21日~25日)から始まる国内主要企業の14年3月期決算発表、月末29日~30日の米FOMC(連邦公開市場委員会)、30日の日銀金融政策決定会合に向けて思惑も交錯する。主要企業の15年3月期業績見通しに対して一段と警戒感が台頭する可能性もあるだろう。 為替は1ドル=101円台~102円台で膠着感を強めそうだ。   前週の日本株式市場は1週間を通して軟調な展開となった。主要株価指数の週間騰落率を見ると日経平均株価は1103円72銭(7.33%)下落した。11日は取引時間中に1万3885円11銭まで下落し、終値は1万3960円05銭だった。いずれも年初来安値を更新した。TOPIXは81.80ポイント(6.73%)下落した。4日から11日まで6営業日続落した。11日は取引時間中に1121.50まで下落し、終値は1134.09だった。いずれも年初来安値を更新した。   4日の米雇用統計を受けたドル安・円高および米国株安を嫌気し、7日~8日の日銀金融政策決定会合を控えて週初7日から軟調な展開となり、8日の黒田日銀総裁の記者会見で早期追加緩和が後退したとして、9日は一段と売り優勢の展開になった。さらに10日の米国株が急落し、米10年債利回りが低下して為替が1ドル=101円台前半までドル安・円高方向に振れたことを嫌気し、11日はリスク回避の動きに拍車をかけた。   ファーストリテイリング <9983> の14年8月期連結業績見通し下方修正に対する失望売りも、11日の日経平均株価を大きく押し下げる要因となった。ただし一方では、軟調だったトヨタ自動車<7203>の株価が11日には年初来安値更新後に前日比61円高までプラス圏に切り返す場面(終値は前日比7円安)もあり、11日のTOPIXの下落率1.34%は日経平均株価の下落率2.38%に比べて小幅だった。下値では値ごろ感からの打診買いも入り始めているようだ。   そして週末11日の米国市場では米10年債利回りが2.6%台前半まで低下した。株式市場は総じて下落した。米フェイスブックなどモメンタム系銘柄に対する売りが膨らみ、ナスダック総合株価指数の下落が目立っている。ダウ工業株30種平均株価とS&P500株価指数は史上最高値水準で高値警戒感が強まり、利益確定売りで反落した形だが、米景気拡大に対して懐疑的な見方が広がり始めている可能性もあるだろう。 ただし外国為替市場のドル・円相場は、米10年債利回り低下や米国株下落に対して一段とドル安・円高方向に傾くことなく、概ね1ドル=101円50銭~60銭近辺で小動きだった。   来週の株式市場は、11日の米国株が下落したことや、CME日経225先物(円建て)が1万3900円だったことを受けてやや軟調なスタートとなりそうだが、売り一巡後は前週の大幅下落に対して一旦リバウンドの動きを強める可能性があるだろう。   その後は重要イベントの谷間となり、週末18日の欧米市場の休場、次週から始まる国内主要企業の14年3月期決算発表、そして月末29日~30日の米FOMCと30日の日銀金融政策決定会合を控えて思惑も交錯し、売り方・買い方とも動き難い展開となりそうだ。   為替は概ね1ドル=101円台~102円台での推移を想定する。米FRB(連邦準備制度理事会)の緩和的な金融政策に変化はないとの見方が優勢になって米10年債利回りが低下しているが、11日の米国市場で一段とドル安・円高方向に傾く動きは見られなかった。  前週のドル安・円高の動きは短期筋のポジション調整的な色合いが濃く、29日~30日の米FOMCでテーパリング(量的緩和縮小)が継続し、15年春~夏に向けてゼロ金利解除が視野に入ることを考慮すれば、米10年債利回りが一段と低下する可能性も小さいだろう。   日銀の追加緩和に関しては、消費増税の影響を見極めるという点で、さらに政府が6月に取りまとめる予定の成長戦略に連動してという点で、7月以降という見方が優勢だ。しかし消費増税による景気の落ち込みを緩和するために、予防的な早期追加緩和に対する期待感も根強い。 月末30日の日銀金融政策決定会合に向けて、市場で再び追加緩和期待が高まるのか、それとも追加緩和を督促する動きを強めるのかも焦点だろう。   株式市場では消費増税の影響に対する警戒感をかなり織り込んだと考えられるが、国内主要企業の14年3月期決算発表では15年3月期業績見通しが焦点となる。15年3月期は金融を除く全産業平均で14年3月期比10%程度増益という見方が優勢のようだが、消費増税の影響(駆け込み需要の反動と消費マインドの低下)による国内販売数量減少、ドル高・円安進行一服による増益要因としての円安メリット縮小、賃金上昇や原燃料価格上昇といったコストアップ要因と製品価格への転嫁遅れなどを考慮すれば、14年3月期比10%程度の増益達成に向けてのハードルは高い。   もちろん、セクターや個別企業の戦略によって業期見通しは異なるが、自動車セクターなどの主要企業は期初時点では保守的な見通しを公表する傾向が強いことも考慮すれば、全体として市場の期待を上回る強気見通しが得られる可能性は極めて低く、市場が一段と警戒感を強める可能性があるだろう。   海外要因では、ウクライナ情勢に関しては米ロの外交的駆け引きが続くが、最悪の事態に向かう可能性は小さいとして過度な警戒感は後退している。中国の景気減速や理財商品デフォルト(債務不履行)に関しては、16日の中国第1四半期(1月~3月)GDPに注意が必要となり、市場予想を下回った場合には売り仕掛けの材料とされそうだが、景気減速はある程度織り込み済みであり、中国政府の景気刺激策に対する期待感もあって影響は限定的だろう。   需給面で見ると、4月4日時点の信用買い残高は2兆9897億11百万円となり、3月28日時点に比べて1380億24百万円減少した。3月28日時点の1227億86百万円減少に続いて2週連続の大幅減少であり、約4カ月ぶりに3兆円を下回った。信用倍率は5.50倍となって前週の6.42倍から大きく改善した。依然として高水準ではあるが、前週の下落局面での見切り売りで信用買い残高がさらに減少していれば、需給改善が反転のきっかけとなる可能性もあるだろう。   株式市場での物色動向としては、14年3月期決算発表を控えて主力銘柄を手掛けにくくなるため、材料系の銘柄や消費増税の影響を受けにくい好業績の中小型株に対して資金が流入するかが焦点となる。消費増税の影響を受けにくいセクターとして、公共投資関連、ネット関連(特にBtoBの電子商取引関連)、再生エネルギー関連、情報システム関連などに注目したい。   その他の注目スケジュールとしては、14日の米3月小売売上高、15日のユーロ圏2月貿易収支、独4月ZEW景気期待指数、米3月消費者物価指数、米4月NY州製造業業況指数、米4月住宅建設業者指数、16日の中国3月鉱工業生産・小売売上高・固定資産投資、米3月住宅着工・建設許可件数、米3月鉱工業生産・設備稼働率、米地区連銀経済報告、17日の日本3月消費動向調査、米4月フィラデルフィア地区連銀業況指数、18日の中国3月70都市新築住宅価格などがあるだろう。なお週末18日はグッドフライデーで欧米市場などが休場となる。   その後は4月21日の日本3月・13年度貿易統計、24日~25日のオバマ米大統領の訪日、29日~30日の米FOMC(連邦公開市場委員会)、30日の日銀金融政策決定会合・展望リポート、米第1四半期GDP速報値、5月2日の米4月雇用統計、7日~8日の英中銀金融政策委員会、8日のECB理事会、20日~21日の日銀金融政策決定会合などが予定されている。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
来週(4月14日~18日)の株式・為替相場は、前週末11日の米国株下落を受けてやや軟調なスタートだが、売り一巡後は前週の日本株の大幅下落に対して、一旦はリバウンドの動きとなりそうだ。
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2014-04-13 17:45