「一本足打法」相場で細い攻めをつないでコンクリートパイル株に「二本足」展開を期待=浅妻昭治

<マーケットセンサー>   日経平均株価が、大きく急落した。今年2月8日のザラ場につけた1万3995円を下に突き抜けて年初来安値を更新し、昨年10月8日の1万3748円以来の安値水準となった。米国景気の回復、米国株高のみに依存してきた「一本足打法」の限界だろう。ウクライナ情勢の緊迫化、中国経済の先行き懸念、それに消費税増税に伴う国内景気の不安定化などアゲインストな株価環境が続くなか、米国景気が少しでも変調の兆しをみせれば、リスクオンとリスクオンとの危ういバランスは、揺らぎ始めたということだろう。   「一本足打法」でホームランやヒットを打ち続けるのは、あの世界の王選手以外はとてもできる芸当ではない。案の定、米国景気がやや変調と伝えられ株価が大幅安した途端に、日経平均株価は、週間で米国NYダウを率で3倍も上回る急落を演じてしまった。実は、この東京市場の「一本足打法」は、「二本足打法」に切り返すチャンスがなかったわけではない。日銀の金融政策決定会合が開催された4月7~8日が、このチャンスであった。マーケットが3分の1くらいは期待した早期の追加金融緩和策である。しかし、黒田東彦日銀総裁に会合後の記者会見でニベもなく否定されてみれば、「一本足打法」相場への警戒感は、それだけ強まらざるを得なかった。   問題は、これから先である。昨年10月も今年2月も、日経平均株価は約1カ月では両安値から1000円超幅の底上げをしたが、同様の展開が期待できるかどうかである。昨年10月も今年2月の相場も、幸いなことに「一本足打法」ではなく「二本足・三本足打法」で持ち直したが、今回は、この再現の可能性があるかどうかである。   昨年10月は、9月の2020年東京オリンピック開催決定の余韻がまだ強く残っているところに、新規株式公開(IPO)株の高人気が上乗せとなって、政府機関の一部閉鎖、シリア空爆断念などの「何も決められない米国」を嫌気売りする円高・ドル安を押し返して、個人投資家が、依然と依然としてポジティブな買いポジションを維持することサポートした。今年2月も、東京都知事選挙を前にした再生エネルギー関連株の相次ぐストップ、前3月期第3四半期決算発表を前にした上方修正銘柄の続出、日銀の疑似追加金融緩和策(貸出支援基金の規模倍増)などが、積み上がって日経平均株価が、1万5000円台まで持ち直した。   ところが今回は、どうも様相が異なる。サポート材料不足が目立つのである。IPO市場も、今年はこれまで14銘柄が上場されたが、初値が公開価格を下回る(負け)銘柄が、4銘柄に達して10勝4敗と負けが目立ってきて、新興市場そのものも、東証マザーズを中心に本則市場より下げ足を速めている始末である。企業業績についても、4月中旬以降に3月期決算会社の業績発表が本格化するが、各企業が開示する今2015年3月期業績予想は、4月1日からの消費税増税の影響からもサプライズを期待するには無理がありそうだ。   勢い「一本足打法」への傾斜は、より高まらざるを得ない。今月4月は、日銀の金融政策決定会合の開催がもう一回、4月30日に予定されている。ここで、なおどんな形であれ追加金融緩和策の発動を期待し催促することである。そこまではどう対処するか?下ぶれリスクを最小化しつつ、「二本足打法」、「三本足打法」に発展しそうなテーマ株へ照準を絞ることである。将棋のプロ棋士が、よく口にする「細い攻め」の要領である。   「細い攻め」とは、やや敗勢でそれでも勝敗がなお見極め難い一局で、唯一残った攻め筋を、途中で指し切り(投了)にならないように忍耐強く指し続けて勝局に導く一種の塹壕戦術を意味する。この「細い攻め」の「ニ本足・三本足」銘柄として注目したいのが、コンクリート二次製品のコンクリートパイル株である。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)
日経平均株価が、大きく急落した。今年2月8日のザラ場につけた1万3995円を下に突き抜けて年初来安値を更新し、昨年10月8日の1万3748円以来の安値水準となった。米国景気の回復、米国株高のみに依存してきた「一本足打法」の限界だろう。
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2014-04-14 12:15