独自の流通MAPで「魚をおいしくするプロジェクト」=八面六臂

 最先端のITと物流を利用して鮮魚流通の新しいプラットフォームを目指す八面六臂(はちめんろっぴ、本社・東京都新宿区)はこのほど、鮮魚の流通量を独自の指標により割り出し地図化することで、鮮魚の流通が立ち遅れている地域を示す「鮮魚流通過疎地MAP」(関東版)を公開した。今後は箱根地区を手始めに、鮮魚流通が十分でない地域を対象に、「日本の魚をおいしくするプロジェクト」を進めていく。(画像提供:八面六臂)  日本ではコンビニエンスストアやファストフード店、チェーン店の展開・浸透に伴い、全国的に物流が高度に発達してきた。しかし鮮魚流通に関しては日本人が古来から親しんできた食材であるにもかかわらず、非常に限られた範囲内での取引に終始してしまうことが多いという。八面六臂によると、「MAP」で示された「鮮魚流通過疎地」における小売店や飲食店では、漁港で水揚げされた魚が数日後に配送され、消費者に届けられるという状況が多発している。  同「鮮魚流通過疎地MAP」作成にあたっては、八面六臂が構築した約500人の料理人ネットワークにより、ひとつの市場から直接仕入れをしている店舗がある地域を特定していった。同マップにより、鮮魚流通における“意外な問題点”も明らかになった。  例えば、関東エリアの温泉地として多くの人が訪れる箱根(神奈川)・草津(群馬)・鬼怒川(栃木)は一様に、鮮魚流通量が年間1万トン以下の“鮮魚流通過疎地”と判明。観光名所として数多くの旅館やホテルが立ち並び、海鮮料理も多く提供されるため、新鮮な鮮魚に対する需要は高いのだが、近隣で水揚げされた魚の大半が築地市場に卸されてしまうことが原因とみられる。  一方、年間流通量が世界最多の40万トン以上である築地市場がある東京都内は、流通量も年間6万トン以上と極めて多く、飲食店には新鮮で豊富な種類の鮮魚が提供されている。しかし中野区以西や江戸川区以東といった地域では、築地市場まで仕入れに行くには距離がある上、同地域まで鮮魚を届ける卸業者の数が少ないため、0-2万トンという低い水準にとどまった。23区内でも鮮魚の流通にはかなりの「地域差」があることが分かった。  八面六臂は、「鮮魚流通過疎地MAP」を通じて改めて明らかになった鮮魚の流通が行き届いていない「鮮魚流通過疎地」を対象に、同社サービスを通じて新鮮な魚を届ける「日本の魚をおいしくするプロジェクト」に着手する。  同プロジェクトでは、漁師、産地市場、築地市場の各者を結びつける「ハイブリッド流通」を構築し、「鮮魚流通過疎地」の飲食店にも新鮮で美味しい鮮魚を適正価格で提供する考えだ。プロジェクトの第1弾として、箱根地域のホテルや旅館に鮮魚を提供する「箱根プロジェクト」を積極的に展開していく。  八面六臂は「日本のオイシイをつくる」を事業理念に、最先端の物流とITを用いて日本全国各地の消費者においしい鮮魚を届けるなどで、失われつつある水産食文化を取り戻すことに貢献していく考えだ。(編集担当:中山基夫)
最先端のITと物流を利用して鮮魚流通の新しいプラットフォームを目指す八面六臂(はちめんろっぴ、本社・東京都新宿区)はこのほど、鮮魚の流通量を独自の指標により割り出し地図化することで、鮮魚の流通が立ち遅れている地域を示す「鮮魚流通過疎地MAP」(関東版)を公開した。(画像提供:八面六臂)
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2014-04-14 17:30