【為替本日の注目点】米長期金利さらに低下し、ドル円106円台を割り込む

ドル円は長期金利の急低下を受け、NY市場の引け際には一時106円を割り込む。株安が続き避難通貨として円が買われる。ユーロドルも上昇し、昨年7月以来となる1.1245まで買われる。
株式市場は連日日替わりで乱高下を繰り返し,ダウは一時1100ドルを超える下げ幅に。引け値では969ドル下落し、他の主要指数も揃って大きく下げる。金融とハイテク株が下げを主導。株価の大幅下落で債券は一段と上昇。長期金利は一時0.9%を割込み、0.91%台に戻して引ける。金は大幅に反発し、原油は反落。
新規失業保険申請件数 → 21.6万件
ドル/円 105.97 ~ 106.95
ユーロ/ドル 1.1167 ~ 1.1245
ユーロ/円 119.00 ~ 119.68
NYダウ -969.58 → 26,121.28ドル
GOLD +25.00 → 1,668.00ドル
WTI -0.88 → 45.90ドル
米10年国債 -0.l40 → 0.912%
本日の注目イベント
豪 1月小売売上高
日 1月景気先行指数(CI)(速報値)
日 1月景気一致指数
独 1月製造業新規受注
米 2月雇用統計
米 1月消費者信用残高
米 エバンス・シカゴ連銀総裁発言
米 メスター・クリーブランド連銀総裁発言
米 ブラード・セントルイス連銀総裁発言
米 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁発言
加 2月就業者数
加 2月失業率
加 1月貿易収支
昨日この欄で、「ダウの一日の値幅は1000ドルが常態化しつつある」と述べましたが、昨日のダウの動きも正にその流れが続き、下げ幅は一時1100ドルと、前日の上げ幅をほぼ吐き出した格好です。しかも上昇と下落を1日おきに繰り返しており、FRBによる緊急利下げの効果も現時点は、新型コロナウイルス感染拡大の勢いに消されています。足元の金融市場は「株式主導」の流れが続き、株価が大きく上がるか下がるかで債券相場は反応し、金や原油にも影響を及ぼしています。昨日はダウ1100ドル安に、債券が再び急騰。長期金利は一時0.9%を割り込んでいます。長期金利の急低下に、ドルも106円割れまで売られました。米長期金利は1.3%割り込んでからは低下が加速しており、ややバブルの様相を見せていますが、それでも主要国の中では「高金利」と見られ、継続的に資金流入が続いているものと見られます。
新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、世界的に金利が低下し、中銀による政策金利の引き下げが行われています。ドル円は「安全通貨・避難通貨」として買われている部分もありますが、加えて、日本では政策金利の引き下げ余地が乏しいことで、日米金利差が徐々に縮小していることも「ドル売り円買い」を加速させている面もあります。市場では今月18日の追加利下げは確実といった見方も増えており、中には再び50ベーシスの利下げを予想する向きもあります。昨年月9月以来となる106円割れを記録したドル円は、去年一度だけ割り込んだ105円前後が下値のメドと見られます。特に104円台半ばは、2016年の米大統領選の直後に記録して以来の水準になります。当面はこの水準が下値の大きなサポートとして意識されると思われます。
米大統領選の民主党候補選びでは、エリザベス・ウォーレン候補が撤退し、これで民主党の大統領候補は事実上バイデン氏とサンダース氏に絞られました。先に撤退を決めたブルームバーグ氏はバイデン氏支持を表明しましたが、ウォーレン氏は、どの候補を支持するかについて「もう少し考えるため、あと少し時間がほしい」と語っています。政策的には急進左派のサンダース氏に近いことから、同氏を支持する可能性が高いと見られますが、このところやや劣勢のサンダース氏にとって、ウォーレン氏の支持があれば再び勢いを付けられるかもしれません。今後は予備選の集中する10日(6州)と、17日(4州)が次のヤマ場と見られ、いよいよトランプ氏の相手が決まりそうです。
本日は雇用統計の発表があります。市場予想では、非農業部門雇用者数が17.5万人の増加と見られており、2月分ということもあり、まだ新型コロナウイルスの影響はそれほど大きくはないと見られます。失業率は前月同様3.6%と予想されており、全体的にはコロナウイルスによる混乱の影響は今回の指標では軽微のようです。
一時は1.07台まで下げたユーロドルもドル安の流れから上昇傾向を強め、微妙なレベルに差し掛かってきました。1.12台半ばまで上昇したことで、「週足」の雲に入ってきました。この雲の上限は1.13台半ばで、ここを超えるようだとさらに上昇に勢いが付く可能性があります。ユーロドルが週足の雲を超えるようなら、ドル円も105円を割り込み、上記104円台半ばをテストすることにもなりそうです。ここからはユーロドルの動きにも注意が必要です。
本日のドル円は105円50銭~107円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は長期金利の急低下を受け、NY市場の引け際には一時106円を割り込む。(イメージ写真提供:123RF)
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2020-03-06 10:15