【為替本日の注目点】FOMC,22年までのゼロ金利政策維持を予測

FOMCでは金融政策の維持を決め、22年まで政策金利をゼロ付近で維持する見通しを示したことでドル売りが優勢に。ドル円は一時107円を割り込む場面もあり、この日の安値圏で引ける。ユーロドルは続伸。ドル安が主要通貨に対して進み、ユーロドルは1.1422までユーロ高に。株式市場はパウエル議長が景気に対する慎重な見方を示したことからダウは282ドル安と、大幅に続落。一方ナスダックは続伸し、引け値で1万ポイントに乗せる。債券相場は大幅に続伸。FOMCで2022年までのゼロ金利政策維持が示されたことで買い物を集める。長期金利は0.72%台まで低下。金は小幅に反落。原油は続伸。
5月消費者物価指数 → -0.1%
5月財政収支 → -398.8b
ドル/円 106.99 ~ 107.47
ユーロ/ドル 1.1322 ~ 1.1422
ユーロ/円 121.58 ~ 122.29
NYダウ -282.31 → 26,989.99ドル
GOLD -1.21 → 1,720.70ドル
WTI +0.66 → 39.60ドル
米10年国債 -0.099 → 0.726%
【本日の注目イベント】
欧 ユーロ圏4月鉱工業生産
英 英4月鉱工業生産
英 英1-3月期GDP
米 新規失業保険申請件数
米 5月生産者物価指数
ドル円は続落し、5月13日以来、約1カ月ぶりに106円台を付けました。と言っても、107円をわずかに割り込んだという程度でしたが、FOMCの結果を受けて米10年債が大幅に上昇し、長期金利が一気に10ベーシス程低下したことがドル売りにつながりました。昨日はドルに対して主要通貨がほぼ上昇しており、先週まで見られていた、ドル安が進む中でも円が売られる展開とは異なった動きです。
FOMCでは事前予想通り、現行のゼロ金利政策維持を決め、声明文では「FRBは現在の困難な時期に米経済を支えるため、あらゆる手段を用いることをコミットしている。それによって最大限の雇用と物価安定という目標を促進する。委員会が、雇用と物価安定を達成する軌道にあると確信するようになるまで、FF(フェデラル・ファンド)金利誘導目標のレンジを、ゼロー0.25%に据え置く」と発表しています。会合後の記者会見でパウエル議長は、新型コロナウイルス感染拡大からの景気回復を支援するため、金融当局としてあらゆる手段を用いると表明し、「利上げについては考えることすら考えていない」と言明し、「利用可能なあらゆる手段を必要な期間だけ用いることを強くコミットしている」と語っています。また5月の雇用統計について、労働市場が底を付けたことを意味する可能性はあるとしつつ、多くの人の予想が外れ、驚きが広がったという事実は、「現状がいかに不透明かを明確に示している」と述べています。昨年12月以来の公表となった経済予測では、2021年末までFF金利がゼロ付近で維持されると全てのメンバーが予想しており、また2人を除き全員が22年末までゼロ付近で据え置かれるとの見通しを示しています。(ブルームバーグ)
ゼロ金利政策を2022年末まで見込めることは、株式市場にとっては強い追い風になりますが、パウエル議長の景気に対する慎重な見方が利益確定の売りを誘発したものと思われます。ドル円では、日米金利差が当面拡大しないことが見込まれることからドル売りが優勢になっています。ただ、これらの一連の動きはある程度予想されていたため、それほどインパクトのあるものではありません。引き続き株価の動向がドル円の方向を決める上での「主役」であることは変わらないと考えます。むしろ、昨日の海外からの報道で気になるのは、米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のファウチ所長の言葉です。ファウチ所長は、「一部の国や州ではロックダウンから回復しつつあるが、ウイルス感染が再び勢いを増すリスクはなおある」と述べ、「終わりにはほど遠い」と警告しています。その上で、「新型コロナへの感染が公衆衛生に関する対処のみで消えることはない」とし、「世界全体で何十億人分ものワクチンが必要になる」との見解を示していました。
ドル円は本稿執筆時には107円を明確に割り込んできました。日足ではローソク足が雲に入って来ており、雲の下限である106円50銭近辺がサポートと見られます。またこの付近は、ここ数カ月の動きの中でも非常に重要な値位置かと考えます。日本株の下落が予想され、ドル円をどこまで下押しするのか見たいと思います。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
FOMCでは金融政策の維持を決め、22年まで政策金利をゼロ付近で維持する見通しを示したことでドル売りが優勢に。ドル円は一時107円を割り込む場面もあり、(イメージ写真提供:123RF)
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2020-06-11 09:45