【為替本日の注目点】NYダウ大幅反発

ドル円は反発。前日急落したNYダウが大幅に値を戻したことで、終始107円台で推移。長期金利が上昇したこともあり、107円52銭までドルが買い戻される。ユーロドルは小幅に下落。1.1213まで売られ、1週間ぶりとなる安値圏に。
株式市場は反発。前日1800ドルを超える下げを見せたNYダウは朝方から大幅に反発し、一時は800ドルを超える。その後は徐々に上げ幅を縮小し、結局477ドル高で引ける。債券相場は反落。長期金利は0.70%台へと上昇。金は小幅に反落し、原油は反発。
5月輸入物価指数 → 1.0%
6月ミシガン大学消費者マインド(速報値) → 78.9
ドル/円 107.32 ~ 107.52
ユーロ/ドル 1.1213 ~ 1.1322
ユーロ/円 120.52 ~ 121.48
NYダウ +477.37 → 25,605.54ドル
GOLD -2.50 → 1,737.30ドル
WTI +0.22 → 36.56ドル
米10年国債 +0.034 → 0.703%
【本日の注目イベント】
中 中国5月小売売上高
中 中国5月鉱工業生産
欧 ユーロ圏4月貿易収支
米 6月NY連銀製造業景況指数
米 カプラン・ダラス連銀総裁、オンライン討論会に参加
前日、NYダウの大幅な下げに伴って106円台半ばまで売られたドル円は、翌日の東京時間朝方にも同じ水準を試しましたが跳ね返され、結局106円台半ばを底値に反発しています。本稿でも指摘したように、106円台半ば近辺は一目均衡表の「雲の下限」にあたり、目先のサポートの可能性があると述べましたが、やはり意識されたようです。もっとも、先週末の日経平均株価が思いのほか粘り腰を見せたことも、ドル円サポートの一因だったと考えられます。NYダウは1861ドル下げたものの、この日の日経平均株価はわずか167円の下落で終わっています。
この日経平均株価の粘り腰が、翌日のNYダウの反発にもつながったと思われ、NYダウは800ドルを超える上昇を見せる場面もありましたが、それでも懸念材料である黒人暴行死事件とコロナ感染がリスクオンへの流れを阻止している印象です。米国ではこの事件に加え、再び黒人男性が警察官に射殺される事件が起きています。ジョージア州アトランタで27歳の黒人男性が警察官2人ともみ合いとなり、その後逃走しようとした際に射殺されました。アトランタ市長は、「正当な武器の行使とは思わない」と記者会見で述べ、地元の警察署長が辞任しています。この事件後、ホワイトハウスの近くでは人々が再び集結するなどの行動が見られており、人種差別に対する抗議デモは鎮静化する気配がありません。
NY州では感染者数が減少していることから経済活動が段階的に解除された一方、米国内の累計感染者数は200万人を超えてきました。特にテキサス州やカリフォルニア州、アリゾナ州などでの感染者が増加していると報告されており、経済活動が再開されたNY州での感染者数の推移が注目されます。世界全体で見た感染者数は依然として拡大傾向にあります。ブラジルでは累計死者数が4万1000人を超え、米国に次ぎ世界で2番目となってきました。また感染が収まったと見られていた中国でも第2波が取り沙汰されてきました。中国では13日に新たな感染者が57人と、4月中旬以降で最多になっています。中国政府によれば、そのうち36人が北京市最大の野菜・青果供給センターで働いており、当局は同センターを閉鎖しています。(ブルームバーグ)また、日本でも昨日は「東京アラート」を解除したばかりの東京都で、新たに47人の感染者が確認されており。再び増加傾向を見せ始めています。多くの専門家が指摘していた「第2波」が、ひたひたと忍び寄ってきているのかも知れません。
このように、先週半ばまで続いた「リスクオン」の流れは、今度はそう簡単に強まりそうもない状況が見られ、日米の株価は調整が長引く可能性も出てきました。従って、ドル円も106円台半ばでは底堅い動きを見せたものの、上値の重さもあり、再び110円に向かうには明確なドル高材料が必要かと思います。クドロー国家経済会議(NEC)委員長はCNNで、「V字回復を実現する確率は非常に高い。失業率は低下し、2021年も堅実で堅調な一年になる」と述べていますが、やや楽観的で希望的観測かと思われます。
今日のドル円の上値のメドは107円70銭~108円辺りで、下値は107円近辺といったところでしょうか。日本株は下落が予想されます。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は反発。前日急落したNYダウが大幅に値を戻したことで、終始107円台で推移。(イメージ写真提供:123RF)
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2020-06-15 10:15