【為替本日の注目点】EU7500億ユーロの復興基金で合意

ドル円は107円台を割り込み106円68銭まで下落。ユーロドルでユーロ高が進んだ影響と、米長期金利が0.6%近辺まで低下したことが材料に。EU首脳会議で復興基金を巡る協議が合意に達したことを受け、ユーロドルは続伸。一時は1.1540と、2019年1月以来となるユーロ高を記録。
株式市場はまちまち。欧州株の上昇を受け、ダウは159ドル高となったものの、ナスダックは反落。債券相場は続伸。長期金利は0.6%近辺まで低下。金は大幅に続伸し、1840ドル台に。原油も続伸し、41ドル台を回復。
ドル/円 106.68 ~ 107.24
ユーロ/ドル 1.1425 ~ 1.1540
ユーロ/円 122.47 ~ 123.17
NYダウ +159.53 → 26,840.40ドル
GOLD +26.50 → 1,843.90ドル
WTI +01.15 → 41.96ドル
米10年国債 -0.010 → 0.600%
本日の注目イベント
米 5月FHFA住宅価格指数
米 6月中古住宅販売件数
米 企業決算 → マイクロソフト
加 カナダ6月消費者物価指数
昨日の本欄で、ユーロドルとユーロ円には上昇の余地があることを記述しましたが、昨日のNYではユーロドルが1.1540まで上昇し。2019年1月以来となるユーロ高水準を付け、ユーロ円も123円台前半まで続伸しました。昨日の東京時間午後、EU首脳会議で協議が行われていた「復興基金」を巡る補助金額と融資額の割合が、合意に達したことでユーロが大きく買われました。協議が難航する中、ユーロドルは先週末からは高水準で推移していましたが、その意味では合意に対して楽観的だった市場の見方は正しかったことになります。
「復興基金」は、総額7500億ユーロ(約92兆円)のうち、返済が不要な補助金が3900億ユーロとなり、残り3600億ユーロが低金利の融資で賄われることになりました。EUの行政執行機関である「欧州委員会」が、EU全体を代表し借り入れによる資金調達を行い、その資金を2058年までの期間でEUの予算から返済するという計画のようです。「復興基金」の創設で最も恩恵を受けると見られるイタリアでは、補助金約820億ユーロ、低金利による融資約1270億ユーロを受け取るとされています。(ブルームバーグ)
中国に対する圧力を強めている米国は、ポンペオ国務長官を21日英国に送りジョンソン首相と香港問題や新疆ウイグル自治区での人権侵害などについて話し合った模様です。報道では、ポンペオ国務長官がジョンソン英首相と話し合ったのは、対中国への政策を、米英だけの結束ではなく、欧州各国へも同調を呼びかける目的があると見られています。ポンペオ氏はラ-ブ英外相とも会談し、共同記者会見では中国がもたらす「脅威」を理解する「同盟」を構築したい考えを示し、ラーブ外相も、G7レベルでさらなる行動が取られる可能性を示唆していました。米中関係は、上記香港問題や新疆ウイグル自治区問題だけではなく、ファーウェイを巡る5G問題や、最近では南シナ海での緊張も高まっており、特に南シナ海では米国は海軍などを配備し、関与を強めています。
米上院銀行委員会は、空席だったFRB理事に、ホワイトハウスで経済アドバイザーを務めるジュディ・シェルトン氏と、セントルイス連銀でリサーチのディレクターを務めるクリストファー・ウォラー氏を賛成多数で承認しました。ただ、シェルトン氏は13対12の「僅差」での承認となったため、この後の上院本会議では共和党議員の離反次第では承認票数に届かない可能性もあるようです。金融政策に関するシェルトン氏の見解が、経済学の主流とは異なっていると指摘されており、共和党議員の中にも同氏がFRB理事として不適切との意見もあるようです。
ドル円はユーロ高の影響もあり、再び107円を割り込んできました。これまでにも何度か触れたように、106円台半ばがしっかりとしたサポートレベルになっており、その下の106円近辺はさらに重要なサポートです。106円は、5月7日以来2カ月以上も割り込んでいません。その5月7日についても、ドルの下値は105円99銭と、ほぼ「ニアミス」状況でした。従って、この水準を明確に割り込むには、それ相応な材料が必要なことは言うまでもありません。ただ上述のように、米中関係を中心にドル安要因と見られる材料は少なくはありません。加えて、明日から東京市場が4連休となります。かつてゴールデンウイークの際に、投機的な動きにより円が急騰したケースが何度かあります。今回はゴールデンウイークほど休みが多くはないので、そのような動きはないとは思いますが、市場参加者が減るのは事実であり、注意を怠らないようにしないといけません。投機的な動きとなれば上記の、かなり底堅い水準さえも、あまり機能しません。
本日の予想レンジは106円30銭~107円20銭程度とします。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は107円台を割り込み106円68銭まで下落。ユーロドルでユーロ高が進んだ影響と、(イメージ写真提供:123RF)
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2020-07-22 09:45