【為替本日の注目点】ドル円104円77銭まで下落

ドル円は105円を下回る水準で推移していたが、FOMC後にドル売りが強まり、104円77銭まで下落。その後は105円近辺まで値を戻す。ユーロドルは1.18台まで買われたが、FOMC後に下落。ただその後再び上昇するなど、底堅い動きが続く。株式市場はFOMC後のパウエル議長のハト派寄りの発言を好感し反発。ダウは160ドル上昇。債券相場は横ばい。長期金利は前日とほぼ変わらず。金は続伸し、引け値では最高値となる1953ドルと、これで9日続伸。原油は小幅に反発。
6月中古住宅販売成約件数 → 16.6%
ドル/円 104.77 ~ 105.20
ユーロ/ドル 1.1719 ~ 1.1807
ユーロ/円 123.22 ~ 123.79
NYダウ +160.29 → 26,539.57ドル
GOLD +8.80 → 1,953.40ドル
WTI +0.23 → 41.27ドル
米10年国債 -0.005 → 0.574%
本日の注目イベント
豪 6月住宅建設許可件数
独 4-6月期GDP(速報値)
独 7月雇用統計
独 7月消費者物価指数(速報値)
欧 ユーロ圏7月景況感指数
欧 ユーロ圏7月消費者信頼感指数(速報値)
欧 ユーロ圏6月失業率
欧 ECB経済報告
米 4-6月GDP(速報値)
米 新規失業保険申請件数
ドル円は朝方、FOMC後のパウエル議長の会見を受け続落し、一時は104円77銭までドル安が進んでいます。FOMCは2日間の会合を行い、政策金利であるフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標レンジを、現行の0-0.25%で据え置くことを決めました。予想された通りの決定でしたが、その後のパウエル議長の発言内容は極めてハト派寄りで、市場は、「当面金利は上がらない」との観測の下ドル売りで反応し、株価にはプラスだったことで、NY株式市場では主要3指数とも反発しています。また資金流入が続いている商品市場でも金が続伸し、警戒感はあるものの引け値で1953ドル台まで買われ、ビットコイン同様、ドルの「代替品」として強気の相場展開が続いています。
FOMC声明文では、「経済活動と雇用は急激な落ち込み後、ここ数カ月に幾分か上向いたものの、今年初めの水準をなお大きく下回っている」とし、「経済が最近の出来事を乗り切り、最大限の雇用と物価安定の目標を達成する軌道にあると、委員会が確信するようになるまで、FF金利をゼロ付近で維持する」と記述されています。パウエル議長はその後の会見で、今の経済低迷は「われわれが経験したことのない厳しさだ」との認識を示し、「経済の今後の道筋は極めて不透明であり、大部分はウイルスを抑制できるかどうかに左右される」と指摘しています。さらに議長は、景気回復には金融・財政政策の両面からの支援が必要だと指摘し、「議会は新たな包括的景気対策について協議を続けており、これは良いことだ」と述べ、「この状況では財政対策が不可欠だ」と付け加えていました。(ブルームバーグ)
議長が指摘したように、今後の景気の行方はコロナをどこまで抑え込むことが出来るかにかかっていますが、米国内の感染は依然として広がっており、昨日はフロリダとカリフォルニアの両州で1日の死者数が過去最多を記録し、全米の死者数も15万人を突破しています。一方でワクチンの開発はかなりのスピード感をもって進んでいますが、足元の感染状況を考えれば、当面現行の「ゼロ金利政策」は続くと考えられ、株式にとっては「追い風」となり、ドルにとっては「向かい風」といった状況が続きそうです。また議長が言及した包括的景気対策は、共和党と民主党との間で規模や内容を巡り「相当かけ離れて」おり、今週で失効する失業保険の上乗せ給付金などが争点となっています。
コロナ感染の第2波は日本国内でも勢いを増しています。昨日は大阪府や愛知県で衝撃的な感染者数が報告され、国内で唯一「感染者ゼロ」を維持してきた岩手県でも初めて2名の感染が確認されました。全国の1日の感染者数も1200人を超え、過去最多になってきました。感染拡大を抑えながら景気を回復させるといった、背反する政策を維持することで、ある程度の感染拡大は想定されていたとは思いますが、今や、東京以外の地方にも感染の波が押し寄せています。ここで感染拡大を食い止めないと、今後想定外の事態につながる可能性もあり、結果的に景気回復をさらに遅らせることにもなりかねません。非常に難しい判断が求められますが、ここが踏ん張りどころと思います。一方でワクチン開発は「時間との闘い」です。朗報なのは、米国が富士フィルムの米子会社の原薬生産に資金を供給することを決め、EUの行政執行機関である欧州委員会が米ギリアド社の治療薬レムデシビルの供給で6300万ユーロ(約78憶円)を支出する契約を結ぶなど、「ワンチーム」の動きが見られることです。欧州委員会は声明で、「欧州委員会は安全で有効な治療薬へのアクセス確保に向け、あらゆる手段を尽くしていく」とコメントしています。
ドル円は昨日本蘭で述べた、「104円台半ばから105円前後」の非常に重要な水準をテストしましたが、現時点では抜け切れず、今朝は105円台に押し戻されています。このまま反転することはないとしても、今後何度か同水準をテストし、抜けないとなると一旦ドルの下落基調にブレイキがかかる可能性もあります。ただ、ドルの上値の重さは変わらず上述のように、FRBの政策スタンスに変化が出るのには相当時間がかかると予想されます。本日のドル円は104円60銭~105円50銭程度を見込んでいます。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は105円を下回る水準で推移していたが、FOMC後にドル売りが強まり、104円77銭まで下落。その後は105円近辺まで値を戻す。ユーロドルは1.18台まで買われたが、(イメージ写真提供:123RF)
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2020-07-30 10:00