「グローバルAIファンド」基準価額4万円への挑戦! 次世代担う投資候補銘柄を聞く

 三井住友DSアセットマネジメントが設定・運用する「グローバルAIファンド」は、7月末時点で過去1カ月間のリターンがプラス10.15%、過去3カ月ではプラス34.09%と非常に高いパフォーマンスになっている。2016年9月の設定から、4年足らずで基準価額は2万3000円を超えた。現在の運用ポートフォリオのEPS成長率はファンド設定時と変わらず年22%程度が期待され、基準価額4万円への挑戦も現実味があるといわれている。三井住友DSアセットマネジメントの田村一誠氏と矢島悠子氏、そして、実質的な運用を担っているアリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパンの井村真也氏と滝沢圭氏に具体的な運用について聞いた。  ――ここ1カ月余りで基準価額が約3000円(約15%)上昇しています。このスピードは、成長株投資と割り切って考えても、スピード違反の感がするのですが? 田村 コロナショックによるDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展など、世界の変化とその変化の速度が加速しています。たとえば、企業の時価総額が10億ドル(1060億円)になるまでにかかった期間は、1998年創業のグーグル(Google)で7-8年を要しましたが、2004年創業のフェイスブック(Facebook)は5年、2011年創業のスナップチャット(Snapchat)は2年足らずです。近年になるほど、エクスポネンシャル(指数関数的)な成長を遂げています。  日本株に投資しているイメージですと、1カ月で15%値上がりすると行き過ぎと感じられるかもしれませんが、米国NASDAQ総合指数は2010年から10年間で5.5倍になっています。当ファンドは基準価額が3年半で2倍超になりましたが、設定から10年後には基準価額が5万5000円になっても何ら不思議はないと思っています。  ――ファンドの運用の実際は? 井村 現在のポートフォリオの保有銘柄の中長期の1株当たり利益成長率は年率22%の予想になっていますが、個別には22%を大きく上回る成長が期待できる銘柄がいくつもあります。  たとえば、コミュニケーションプラットフォームのトゥイリオ(Twilio)は、今後4年間における1株当たり利益成長率はアナリストのコンセンサス予想で年率139%となっています。株価は5月1日の108ドルが、7月末には277ドルに上昇しました。また、Eコマースのオーバーストック(Overstock)も向こう4年間における1株当たり利益成長率は年率136%です。株価は5月1日に約12ドルから8月7日には100ドルの大台を超えました。  また、電気自動車で有名なテスラ(TESLA)も向こう4年間における1株当たり利益成長率は年率47%です。株価は5月1日に約700ドルから7月には1500ドルに乗せました。この3銘柄とも、現在の組み入れ上位10銘柄に入っています。このような高成長企業がAI関連には多数存在し、その中で中長期に成長が期待できる銘柄に投資しています。 滝沢 トゥイリオのツールは、ショートメッセージや電話、ビデオなど1つのアプリでさまざまな対話手段が利用できます。そもそもウーバーの利用者とドライバーをつなぐコミュニケーションツールとして注目されましたが、現在ではコールセンターやEC、オンライン教育や診療など、幅広い分野で利用が広がっています。直近第2四半期は売上高が前年同期比で約50%伸びています。  オーバーストックは、そもそも家電や家具などの家庭用品のネット小売業だったのですが、仮想通貨(暗号資産)の取引プラットフォームも運営しています。第2四半期決算で売上高が前年同期比109%増と倍増したことで株価が大きく上昇しました。  テスラについては、中国での電気自動車の生産・販売が好調であることに加え、ドイツとテキサスでもギガファクトリーといわれる大型工場の建設計画を発表し、将来について強気の見通しとなっています。また、電気自動車だけでなく自動運転用ソフトウエアの外販が高収益事業として注目されています。  ――利益が毎年2倍になるような上場企業は米国には多数存在しているのですか? 井村 米国ではIPO(株式新規上場)も活発に行われ、高い成長率が期待できる銘柄群が数多く存在します。当ファンドではIPO直後でも、その後の成長期待が強い銘柄は、投資タイミングを計って目標株価との乖離が大きな銘柄には積極的に投資しています。  たとえば、2019年6月に上場したサイバーセキュリティのクラウドストライク(CrowdStrike)は、上場当初こそ株価のバリュエーションが高かったために投資を見送りましたが、その後数カ月で株価が落ち着くのを待って購入し、1年足らずの間に株価は購入時から2倍に上昇しました。 滝沢 運用チームがシリコンバレーに近いサンフランシスコに拠点があり、約50年前というマイクロソフトやアップルが誕生する以前から、先端テクノロジーの調査をしています。株式を上場する前の段階から、様々なスタートアップ企業とコンタクトを取り、IPOで上場した後もフォローを続けることをやっています。たとえば、エッジコンピューティングのファストリー(Fastly)は上場前から注目し、上場後に投資しましたが、株価は1年で4倍近くに上昇しました。  現在、世界の上場企業1000社超をユニバースとし、その中からAI(人工知能)の活用や開発、およびAI発展のためのインフラなどに注目した上で、中長期の成長性の高い企業を絞り込んで、60~70銘柄でポートフォリオを作っています。 井村 たとえば、IPOが近いといわれている米国のビッグデータ分析会社のパランティア(Palantir)は未上場ながら既に200億ドル(約2兆円)の価値があるといわれ、決済会社のストライプ(Stripe)も360億ドル(3.8兆円)の価値があるといわれます。また、中国でQR決済のアリペイを展開するアント・フィナンシャル(AntFinancial)は企業価値が20兆円を超えるといわれています。現在、IPOは人気が高く、ほとんどの企業が割高な水準で上場している傾向がありますが、調査運用チームは有力企業について上場前から業績見通しなどを基にバリュエーションを分析しており、上場後の投資タイミングを計っています。  一方、少し先を考えると、Open AIが開発した最新の文章作成AIツールである「GPT-3(自然言語AI)」は、簡単な単語や短い文章をインプットするだけで、文章やプログラミング言語を自動で作成します。これが応用できれば、現在の特化型AIから汎用型AIにステップアップする重要な技術といわれ、AI業界を一段と飛躍させる可能性を持っています。  あるいは、AIがバイオテクノロジーの分野で活発に活用されています。このような先端研究の中から、次の成長企業が必ず登場するものと期待され、AIのイノベーションは少なくとも2045年頃と言われるシンギュラリティ(技術的特異点=AIが人間の脳の能力を超える時点)に向けて成長が続くと考えられています。  ――「グローバルAIファンド」はあまりにも基準価額の上昇スピードが速く、いつ売れば良いのか、また、いつ購入すればよいのかわからないと感じている投資家も少なくないと思います。 矢島 このファンドは、株価が目標に到達したら売却するなど、市場変動に応じてポートフォリオの入れ替えを行いながら運用しています。次から次に現れる有望企業について、冷徹に企業価値を見極めて目標株価に応じた対応ができることが、このファンドの強みだと思います。投資家の方々は、このファンドを継続保有するだけで、市場が注目する成長企業を次から次に入れ替えて保有するような効果があります。  あまりに高くなり過ぎたと感じられる方は、一つの方法として、「予想分配金提示型」コースのご活用もあります。基準価額が1万1000円を超えて値上がりした分は、その水準に応じて毎月分配金としてお支払いしています。保有し続けていただくことで、成長の果実だけを毎月手に入れることができます。  また、購入にあたっては毎月購入されるなど、時間を分散して購入されることも方法です。たとえば、100万円を投資する場合、毎月10万円ずつ10回に分けて買う、あるいは、5万円ずつ20回に分けるなどの購入の仕方をご検討ください。少しでも購入していただくことで、このファンドの大きな成長期待を運用に取り入れることができます。 田村 危機はイノベーションが加速するきっかけになります。2008年のリーマンショックの時には、クラウドが大きな発展を遂げました。リーマンショックで不況になるなかで、コンピュータの導入コストやメンテナンス費用を抑えたいという企業ニーズが高まり、そのソリューションとしてクラウドが一気に普及しました。  今回のコロナ危機で明らかになった「人の接触を減らしながらも経済を回す」ことでDXが注目され、DXと一体となってAIが社会の隅々にまで使われるようになってきています。リーマンショックの時のクラウドのように、AIがさらなる発展を獲得するのではないかと考えます。  AIファンドと聞いてITに集中投資するファンドだと感じられるかもしれませんが、このファンドはAIの3つの側面、「インフラ」と「開発」と「活用」に着目しています。インフラこそ半導体製造を含めたIT企業群が中心ですが、「活用」の分野は小売りや医療、教育など幅広い分野で活用されています。今でこそ、ポートフォリオに占めるIT比率は60%ですが、徐々に業種分散も進むと考えられます。ぜひ、長い目でお付き合いいただきたいと思います。(図版は、過去3年間の「グローバルAIファンド」とNASDAQ総合指数のトータルリターン相対比較)(情報提供:モーニングスター社)
「グローバルAIファンド」具体的な運用について三井住友DSアセットマネジメントの田村一誠氏と矢島悠子氏、そして、実質的な運用を担っているアリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパンの井村真也氏と滝沢圭氏に聞いた。(図版は、過去3年間の「グローバルAIファンド」とNASDAQ総合指数のトータルリターン相対比較)
economic,company
2020-08-18 17:00