ユーグレナは強基調に転換の可能性、成長力を評価して出直り
ユーグレナ <2931> (東マ)の株価は全般地合い悪化も影響して軟調展開が続いたが、足元では下値固めが完了して切り返しの動きを強めている。底打ちを確認して強基調に転換した可能性があり、中期成長力を評価して出直り展開だろう。なお5月13日に第2四半期累計(10月~3月)の業績発表を予定している。
59種類の豊富な栄養素を有する微細藻類ユーグレナ(和名ミドリムシ)の食品用途屋外大量培養をコア技術として、ユーグレナを利用した食品、バイオジェット燃料、バイオフィルムなど関連分野への研究開発を進めている。13年3月にユーグレナ粉末受託生産と微細藻類クロレラ生産の八重山殖産、13年11月にバイオベンチャーの植物ハイテック研究所を子会社化した。
ユーグレナを活用して「Food=食料」「Fiber=繊維」「Feed=飼料」「Fertilizer=肥料」「Fuel=燃料」の順に、重量単価の高い分野から参入する「バイオマスの5F」を基本戦略として、機能性食品や化粧品のヘルスケア事業(OEM供給、自社ECサイト「ユーグレナ・ファーム」直販など)で安定的キャッシュフローを創出しながら、バイオジェット燃料などエネルギー・環境事業への研究開発投資を進めている。注目度の高いバイオジェット燃料については、18年の低コスト生産技術確立と20年の実用化を目指している。
13年11月に発表した中期経営計画では、18年までにユーグレナの食品国内市場300億円規模、国内ヘルスケア事業の売上高150億円、営業利益30億円以上、ユーグレナの食品海外市場300億円規模を目指している。国内ヘルスケア事業ではユーグレナを活用して、13年12月にペット用食品事業、14年3月に自社ブランド化粧品事業を開始した。
4月15日にはイトーヨーカ堂と「ミドリムシカラダに委員会」プロジェクトを発足し、石垣産ユーグレナを配合した食品をカゴメ <2811> 、カルビー <2229> 、ブルボン <2208> 、永谷園 <2899> 、岩塚製菓 <2221> 、理研ビタミン <4526> など食品メーカー8社と共同開発し、日本初となるユーグレナ入り食品コーナーを4月15日から全国のイトーヨーカ堂165店舗で展開すると発表した。食品分野の売上増に貢献するだろう。
海外は中国で「新食品原料」登録を取得し、伊藤忠商事 <8001> との連携で拡販に取り組んでいる。またユーグレナとクロレラがイスラム教のハラール認証を取得したため、60兆円と推測されるハラール食品市場への輸出も可能になった。14年4月からはユーグレナ入りクッキーの配布を実施する「ユーグレナGENKIプログラム」を開始し、バングラディシュにて児童を中心とした栄養改善を目指す。
また4月17日には、微細藻類ユーグレナの特有成分・パラミロンの継続摂取による免疫バランス調整機能に関して4月8日に特許出願したと発表した。今後はパラミロンの免疫機能に関する研究を進め、医療分野等への利活用や食材としてのユーグレナの付加価値向上を目指すとしている。
なお14年3月には東京センチュリーリース <8439> と、当社が今後行っていく先端性の高い生産設備に対する設備投資を対象として、14年1月施行の産業競争力強化法に基づき経済産業省が行う「リース手法を活用した先端設備等の投資促進事業」に係るオペレーティング・リースを活用していくことに関して基本合意した。そして当社が設備する微細藻類ユーグレナの生産設備を対象としたオペレーティング・リースが「リース手法を活用した先端設備等の投資促進事業」の第1号案件の一つとして採択を受けた。
今期(14年9月期)連結業績見通し(11月12日公表)は売上高が前期比48.8%増の31億13百万円、営業利益が同横ばいの1億76百万円、経常利益は営業外での新株式発行関連費用計上が影響して同9.0%減の2億40百万円、純利益は前期計上した負ののれん発生益が一巡して同70.1%減の1億44百万円としている。
今期に関しては、売上総利益の増加分を中期成長に向けた先行投資として広告宣伝費や研究開発費に充当する方針のため、営業利益は横ばいの見込みとしている。ただし収益性の高い自社ECサイト直販での購入者数が増加基調であり大幅増収見込みだ。イトーヨーカ堂との「ミドリムシカラダに委員会」プロジェクトも寄与するだろう。食品分野の事業展開が加速しており、今期営業利益は横ばいでも来期(15年9月期)の大幅営業増益が期待される。
株価の動きを見ると、全般地合い悪化も影響して2月安値935円、3月安値921円、4月安値918円と水準を切り下げたが、足元では4月11日に付けた直近安値918円から急反発し、4月15日に1075円、4月16日には1225円まで切り返す場面があった。イトーヨーカ堂との「ミドリムシカラダに委員会」プロジェクトなどが好感されたようだ。
4月18日の終値は1090円だった。日足チャートで見ると戻りを押さえていた25日移動平均線を突破し、さらに週足チャートで見ると13週移動平均線を突破した。底打ちを確認して強基調に転換した可能性があり、中期成長力を評価して出直り展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
ユーグレナの株価は全般地合い悪化も影響して軟調展開が続いたが、足元では下値固めが完了して切り返しの動きを強めている。底打ちを確認して強基調に転換した可能性があり、中期成長力を評価して出直り展開だろう。
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2014-04-21 07:30