DNAチップ研究所は底打ちの可能性、成長力を評価して出直り
バイオベンチャーのDNAチップ研究所 <2397> (東マ)の株価は、全般地合い悪化も影響して軟調展開だったが、足元で切り返しの動きを強めてきた。3月安値で底打ちした可能性があり、中期成長力を評価して出直り展開となりそうだ。4月末予定の決算発表が接近して期待感が高まる可能性もあるだろう。
将来の個人化医療や未病社会の実現を見据えた遺伝子発現プロファイル収集・統計受託解析など、DNAチップ(DNAマイクロアレイ)技術の事業化を目指す研究開発企業である。時々刻々と変化する体調変化や加齢とともに起こる免疫変化などを、低侵襲針採血で遺伝子検査するRNAチェック(血液細胞遺伝子発現マーカー検査)に強みを持ち、中期成長に向けて研究受託事業のメニュー充実とともに、独自開発の診断パッケージソフトウェア、診断支援サービス、健康モニタリングサービスなどの診断関連事業を収益柱に育成する方針だ。
研究受託事業は、大学病院・研究機関や製薬・食品メーカー向けDNAチップ関連の実験・解析・統計処理、カスタムDNAチップ設計などの受託解析サービスを主力としている。さらに次世代シークエンス受託解析サービス、RNAチェックによる遺伝子解析検査サービスへの展開を強化している。
商品販売事業では中期成長に向けた戦略商品として、臨床研究用データベース「iCIS」構築による診断支援サービス、高校・大学生が分子生物学を学習できる教育用DNAチップ教材「ハイブリ先生」、関節リウマチのスムーズな診察をサポートする問診パッケージソフト「iRIS」、関節リウマチ生物学的製剤インフリキシマブの投与14週後の治療効果を予測する診断支援サービス「リウマチェック」、乳癌の再発リスクを予測する新しい乳癌予後予測キット「MammaPrint」(導入商品)などの拡販を強化している。
こうした戦略商品に関しては、当面は大病院での人間ドックへの採用増加を働きかけ、中長期的には一般の健康診断への採用拡大も目指す方針だ。さらに大腸がん・悪性神経膠腫の術後予後予測、免疫年齢・肥満・うつ病・疲労・アルツハイマーなどの診断関連マーカーの開発・事業化、医薬品開発と一体化した診断マーカーの開発(コンパニオン診断薬開発支援)、再生医療支援事業(培養細胞の安全性評価系)なども強化して業容を拡大する。
14年3月には「神経膠腫予後予測方法、およびそれに用いるキット」に関する国内特許を取得した。悪性神経膠腫患者の切除がんから取得したRNAを用いて、悪性神経膠腫患者の術後の予後を予測(補助療法感受性予測)する方法、および測定キットに関する国内特許である。診断事業分野のメニュー拡充の一環としてサービス提供の事業化を進める。
また4月16日には、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「再生医療の産業化に向けた細胞製造・加工システムの開発」で、研究実施機関として参画することが決定したと発表している。
前期(14年3月期)業績(非連結)見通しは売上高が前々期比15.6%増の4億30百万円、営業利益が1百万円(前々期は89百万円の赤字)、経常利益が1百万円(同89百万円の赤字)、純利益が1百万円(同80百万円の赤字)としている。営業損益は改善基調だ。今期(15年3月期)は大型案件の売上計上、利益率の高い製品・サービスの構成比上昇、さらに診断関連事業の収益化が期待され、中期成長に対する期待感が高まりそうだ。
株価の動き(13年10月1日付けで株式100分割)を見ると、全般地合い悪化も影響して軟調展開が続いたが、3月27日に付けた693円から急反発して4月1日と4月2日に832円まで戻した。その後一旦は4月11日の742円まで調整したが、素早く切り返して4月16日には866円まで戻す場面があった。下値を切り上げた形であり、3月27日安値で底打ちした可能性があるだろう。4月18日の終値は815円だった。日足チャートで見ると25日移動平均線を突破した。底打ち確認から強基調に転換して出直り展開となりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
バイオベンチャーのDNAチップ研究所<2397>(東マ)の株価は、全般地合い悪化も影響して軟調展開だったが、足元で切り返しの動きを強めてきた。
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2014-04-21 09:15