【為替本日の注目点】英国とEU、通商交渉で歩み寄り見られず

 ドル円は105円台半ばで小動き。株価が下落し、長期金利が上昇したものの、ドル円は前日よりも水準をやや切り上げ105円62銭まで買われる。ユーロドルは水準を切り下げ1.1730まで下落。英国とEUの交渉に歩み寄りが見られないことでユーロ売りが加速。  株式市場は5日ぶりに反落。製薬大手がコロナワクチンの臨床試験停止を発表したことなどが響き、ダウは157ドル安。他の主要指数も揃って反落。債券は反発。長期金利は0.72%台へと低下。金は大幅に下落し1900ドル台を割り込む。原油は買われる。 9月消費者物価指数 → 0.2% ドル/円   105.45 ~ 105.62 ユーロ/ドル 1.1730 ~ 1.1798 ユーロ/円  123.80 ~ 124.45 NYダウ   -157.71 → 28,679.81ドル GOLD   -34.30  → 1,894.60ドル WTI    +0.77   → 40.20ドル 米10年国債 -0.046  → 0.727% 【本日の注目イベント】 豪   豪10月ウエストパック消費者信頼感指数 日   8月鉱工業生産(確定値) トルコ トルコ7-9月期GDP(速報値) 欧   ユーロ圏8月鉱工業生産 欧   ラガルド・ECB総裁講演 米   9月生産者物価指数 米   バーキン・リッチモンド連銀総裁講演 米   クラリダ・FRB副議長講演 米   カプラン・ダラス連銀総裁講演 米   クオールズ・FRB副議長講演     G20(バーチャル形式) 米   企業決算 → アルコア、ウェルズファーゴ、ゴールドマン、バンク・オブ・アメリカ  追加の経済対策を巡る動きは昨日も進展せず、11月3日の大統領選前までに法案がまとまる可能性は徐々に遠のいているようです。トランプ大統領は、経済対策を「やるからには大きくやれ」とツイートしたものの、合意は遠のくばかりです。共和党のマコネル院内総務は、「中小企業を支援する給与保証プログラムに資金を補充する条項に絞った法案」を来週上院で採決する計画を発表しましたが、ペロシ下院議長は「同案に基づく交渉では民主党の優先課題は取り入れられないだろう」とマコネル案を否定しました。ペロシ議長はあくまでも包括的な対策案を主張しており、現在、民主党案の2兆2000億ドル(約232兆円)と共和党案の1兆8000億ドルには、依然として4000億ドルの差があります。大統領選への影響もあり、双方のかけ引きもあることから合意は難しい状況ですが、ペロシ議長とムニューシン財務長官の協議は今後も続けられる見通しです。  ドル円は前日よりも水準をやや切り上げてはいますが、依然として動意に欠ける展開です。ドル円の小幅な上昇は、英国とEUの通商交渉が今週にも節目となる期限が迫るにも拘わらず、合意に向けた歩み寄りが見られなかったことで、ポンドとユーロが対ドルで売られたことによる影響です。昨日のNYでは、ジョンソン&ジョンソンと、イーライリリーの、大手医薬品メーカーがコロナワクチンの臨床試験停止を発表したことで株価は下げ、債券が買われました。米企業の決算発表では、JPモルガンとシティーグループは好決算を発表しましたが、上記材料に押された格好でした。  IMFは13日、世界経済見通しを発表し、「新型コロナウイルスに起因する世界経済の落ち込みが従来の予想に比べ緩やかにとどまる」との見通しを示し、世界の経済成長率予想を上方修正しました。「多くの国や地域の政府が打ち出した強力な景気対策で、景気が和らいだ」とする一方、「感染が抑え込まれるまで、回復の道は平たんではないだろう」と警告しています(ブルームバーグ)今年の世界経済成長率を、前回6月時点から引き上げ「-4.4%」とし、2021年は「+5.2%」としました。中でも中国の成長率を、今年は「+1.9%」とし、21年度を「+8.2%」としています。米国の21年度の成長率は「+3.1%」で、日本は「+2.1%」と予想しており、中国の回復力が際立つと見られています。  大統領選までちょうど3週間です。市場ではバイデン氏が勝利した場合、「相場がどのように動くのか?」を予測する動きが活発になってきました。昨日もこの欄で述べたように、「バイデン勝利」でも、これまでとは異なり、ドル高が進むと予想する向きが急速に増えてきました。対中国との関係がやや改善されると見られることに加え、協議が進まない大規模な経済対策も議会を通過し易いとの見方がその理由です。ただその場合、上院でも民主党が過半数を獲得することが必要で、仮にバイデン大統領が誕生しても、ねじれ議会が続くとすれば、政策運営の難しさは変わらないかもしれません。  本日のドル円は105円10銭~105円80銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は105円台半ばで小動き。株価が下落し、長期金利が上昇したものの、ドル円は前日よりも(イメージ写真提供:123RF)
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2020-10-14 10:00