【為替本日の注目点】トランプ氏善戦するもバイデン氏有利動かず

 東京時間に105円35銭前後まで上昇したドル円は下落。米長期金利が大幅に低下したこともあり、104円25銭までドルが売られる。  ユーロドルは東京時間に7月以来となる1.1603近辺まで売られたが、ドル安の流れから反発。株式市場は大幅に続伸。ナスダックは430ポイント上昇し、ダウも連日の大幅高。債券相場は急騰。議会選挙で民主党が上院を獲得するとの観測が後退。長期金利は0.76%台に急低下。金は反落し、原油は続伸。 10月ADP雇用者数        →  36.5万人 9月貿易収支            →  -639億ドル 10月ISM非製造業景況指数    →  56.6 ドル/円   104.25 ~ 104.62 ユーロ/ドル 1.1681 ~ 1.1734 ユーロ/円  122.07 ~ 122.60 NYダウ   +367.63 → 27,847.66ドル GOLD   -14.20  → 1,896.20ドル WTI    +1.49   → 39.15ドル  米10年国債 -0.136  → 0.763% 【本日の注目イベント】 豪  豪9月貿易収支 独  独9月製造業新規受注 欧  ユーロ圏9月小売売上高 欧  欧州委員会、経済見通し発表 英  BOE金融政策発表 英  ベイリー・BOE総裁会見 米  新規失業保険申請件数 米  FOMC 政策金利発表 米  パウエル議長記者会見  米大統領選の開票速報を巡り、ようやくドル円にも動きが出てきました。事前予想のバイデン氏優勢とのシナリオから、「株高・債券安・ドル安」の想定でしたが、昨日の東京市場の11時頃、トランプ氏の優勢が伝えられると、ドル円は105円台を回復し、105円35銭前後まで急速にドルの買い戻しが進みました。日経平均株価も一時は500円を超える上昇を見せていましたが、上昇幅を250円程度まで縮め、米国債券先物も上昇し、金利が低下する局面がありました。ドル円はその後再び105円台を割り込む動きになりましたが、一見、大統領選ではどちらが勝っても株価の上昇傾向は変わらないと見られていますが、バイデン勝利の方がよりインパクトがありそうな動きでした。一方ドル円は、トランプ氏優勢との報道でドルが買い戻されたものの、その動きに一貫性はなく、選挙結果に対する市場の反応は非常に不透明です。  そんな中、大統領選の勝者ままだ決まっていません。今朝6時の段階では、バイデン氏が「248」の選挙人を獲得し、トランプ氏は「214」です。しかし、予想されたように郵便による票が徐々に開いてきたことからバイデン氏のリードが広がっています。CNNとNBCは、トランプ氏が2016年に勝利したミシガン州をバイデン氏が制したと伝えています。もしその報道が最終的なものなら、バイデン氏が獲得した選挙人は「264」となり、勝利に必要な「270」にあと「6」となり、勝利に大きく近づくことになります。昨日の夜10時の時点ではその差がわずか「13」と、非常に接戦でした。ワシントンからのレポートを聞きながら、2016年の大統領選のことが頭をかすめました。バイデン、トランプ両氏はお互いに演説で勝利を確信すると声高に述べていました。特にトランプ氏は激戦州のフロリダで勝利したことで勢いが増し、事前予想を超える「大健闘」との評価のようです。ただ、トランプ氏は法廷闘争に持ち込む可能性も示唆していましたが、少なくとも2州で集計の停止を求めて法廷闘争に乗り出したようです。(ブルームバーグ)  ドル円はNYで104円25銭まで売られ、上記高値からは1円以上のドル安が進みました。ユーロドルも東京時間に1.1603前後まで売られた後、1.17台半ばまで反発しており、昨日の夕方からはドル安の流れが主流となっています。米長期金利の急低下がその一因と見られます。米10年債は急騰し、前日比13bp以上も金利が低下しました。その背景は議会選挙の行方にあります。議会選挙では下院での民主党の優位は変わりませんが、上院では接戦となっており、このまま上下院で「ねじれ議会」が継続されれば、バイデン、トランプのどちらの候補が大統領になっても、大規模な経済対策の実現には時間がかかるといった見立てから、債券が大きく買われたものと見られます。ブルームバーグは上院で民主党が奪回する可能性はほぼ消えたとし、「ブルーウエーブ」の期待がしぼんだと伝えています。  今朝の時点でも刻々と大統領選に関する情報が伝えられており、どうやら大統領選の決着は連邦最高裁判所の判断に委ねられそうな形勢になってきました。ほぼ事前予想通りで、郵便投票による票が開くにつれバイデン氏が支持を伸ばしている状況です。トランプ氏が法廷に判断を持ち込む可能性が高まっており、そうなれば2000年の大統領選以来ということになります。トランプ氏はそのための「布石」として、先日バレット氏を最高裁判所判事に任命しており、用意周到と言わざるを得ません。ただ、法廷闘争に持ち込むためには、トランプ氏は憲法もしくは連邦法の下で具体的な法的異議を申し立てる必要があり、ブルームバーグは「私は勝ったと思う」と言うために異議を申し立てることはできないと報じています。いずれにしても、このままでは予想された中でも最悪の事態になりかねず、今月一杯で勝者が決まる可能性は低くなったと思われます。  本日はNYの株高を受けて日経平均は大幅高が予想されます。ドル円は株高でもリスクオンの動きに連動する可能性は低いと思われます。104円~105円程度のレンジを予想します。
東京時間に105円35銭前後まで上昇したドル円は下落。米長期金利が大幅に低下したこともあり、(イメージ写真提供:123RF)
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2020-11-05 09:45