【為替本日の注目点】米長期金利再び1%に迫る

 東京時間に一時105円台を割り込んだドル円は終始105円台で推移。米長期金利の上昇が支えに。ユーロドルは小幅に下落。独ZEW景況指数が予想を下回り、コロナの感染拡大による懸念もあり、1.1793まで売られる。  株式市場は前日と同じ展開となり、まちまち。アップルなどハイテク株は売られ、出遅れ銘柄に資金が流れる。ダウは262ドル高と最高値を更新。一方ナスダックは続落。債券相場は続伸。長期金利は0.96%台に上昇。金は反発。原油は続伸し41ドル台に。 ドル/円   105.16 ~ 105.44 ユーロ/ドル 1.1793 ~ 1.1834 ユーロ/円  124.15 ~ 124.60 NYダウ   +262.95 → 29,420.92ドル GOLD   +22.00  →  1,876.40ドル WTI    +1.07   → 41.36ドル 米10年国債 +0.036  → 0.963% 【本日の注目イベント】 豪  豪11月ウエストパック消費者信頼感指数 中  中国「独身の日」 欧  ラガルド・ECB総裁講演 米  債券市場休場 (ベテランズデー)  前日発表された米ファイザー製薬と独ビオンテックが開発したコロナワクチンへの期待感が市場では概ね好感され、世界の多くの国の株式市場は上昇しました。昨日のNYではその流れが継続され、ダウは続伸し長期金利も上昇しています。ただNY株式市場ではこの日も明暗が分かれ、バリュー株は買われたものの、ハイテク株は下げ、「アップルなどのハイテク株は買われ過ぎた」といった声もあったようです。ドル円は昨日の東京タイム昼前に105円を割り込み、久しぶりの105円台前半ということもあり、上値の重い展開でしたが、海外では再びドルが買われ105円49銭近辺まで上昇しました。  米国では新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、昨日は新規の感染者数が過去最多となる14万2907人になっています。このような中、ファイザー社のワクチンの有効性の発表が市場の雰囲気を一変させましたが、一部専門家の中には、有効性が90%を超えたという「暫定結果」の数字は極めて有望に見えるが、ワクチン候補の有効性や能力を巡る疑問は依然残り、生産や供給の問題もあると指摘しています。ファイザー社の臨床試験は4カ月足らず前に始まったばかりで、このワクチン候補の有効期限がどれくらい長く、どれほどの人に有効なのか、今のところほとんど分かっていないと指摘しています。一方、国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は、ファイザー社のワクチン候補が向こう1週間もしくは1週間半で緊急使用許可が下りる可能性が高いと述べ、アザー米厚生長官も、同ワクチン候補は、早ければ11月下旬から1カ月当たり2000万回投与分のペースで配布できるようになる可能性があると語っています。(ブルームバーグ)  「Election is over」(選挙は終わった)とバイデン氏が勝利宣言したにも拘わらず、トランプ陣営では法廷での徹底抗戦の構えを崩さず、ホワイトハウスの報道官は、共和党が行った開票状況の監視を妨害したなどと、不正選挙に対して法廷闘争の輪を広げていく考えを改めて示しています。バー米司法長官も、決定的な証拠はないものの、大統領選で不正行為があった可能性を巡り司法当局者が調査を開始することを認めました。一方バイデン氏は10日、トランプ氏が大統領選敗北を認めないのは「恥ずかしいことだ」と述べ、このことは、トランプ氏のレガシーに汚点を残すことに なると語っています。  上述のように、ファイザー社のワクチン候補の有効性の発表を契機に、金融市場のセンチメントに大きな変化が出てきました。ワクチンへの早期配布で、コロナ前の状況に戻るといった期待感から株式市場でも、これまでの「巣ごもり」での勝ち組が後退し、大きく売り込まれた銘柄が息を吹き返しているようです。そのため、安全資産の債券が売られ、昨日は長期金利が前日に続き0.97%台まで上昇する場面がありました。市場ではFRBによる「ゼロ金利政策」の解除が早まるといった見方も浮上しており、これが「ドル高円安」の一因になっていると見られます。  ただ今のところ、ドル円が105円台半ばまで上昇した背景は「ショート筋によるドル買い戻し」の域を出ておらず、このままドル高に転換したと考えるのは早計だと考えます。ただそれでも、昨日も触れましたが、米長期金利が1%を超えるようだと機関投資家の投資スタンスも変わってくる可能性があります。バークレーズ・リサーチによると、9月の国際収支統計の国別対外債券投資統計では米国債が+9000億円と、8月の-6000億円から買い越しに転じています。9月の米10年債イールドは概ね0.6~0.7%台で推移しており、足元の金利水準を考えるとより投資魅力が高まったと言えます。より高い金利を求める機関家が米国債投資をさらに増やせば、ドル買い需要が生まれることにつながります。今後もドル円を見る上で、米長期金利の動きはやはり重要だと言えます。  本日のドル円は前日同様、104円80銭~105円80銭程度と見ます。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF) ---------------------------------------------------------------------- 12日(木)、13日(金)の「アナリストレポート」は都合によりお休みとさせて頂きます。 ご愛読者の皆様にはご不便をお掛けいたしますが、ご理解の程お願い申し上げます。
東京時間に一時105円台を割り込んだドル円は終始105円台で推移。米長期金利の上昇が支えに。(イメージ写真提供:123RF)
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2020-11-11 10:30