XPサポートサービス終了の周辺関連株に先進的・選別的な業績相場発進を期待=浅妻昭治

<マーケットセンサー>   いよいよ3月期決算期会社の決算発表が、きょう21日の安川電機 <6506> 、明22日の日本電産 <6594> を皮切りに本格スタートする。この決算動向は、4月30日に開催される日銀の金融政策決定会合で追加金融緩和策が発動されるかどうかと並んで、相場ステージが、業績相場に転換するか、金融相場の傾向を一段と濃くするか、それとも業績相場と金融相場の混合型にレベルアップするかを左右する重要ファクターとなる。   3月期決算会社は、すでに今年1~2月の第3四半期決算開示時に前2014年3月期業績を上方修正した銘柄が続出したが、決算を締めた4月以降にもなお前期業績の上方修正が相次いだ。この上方修正の要因で目立ったのが二つある。一つは、4月1日の消費税増税を前に高まった駆け込み需要の寄与であり、もう一つが、マイクロソフトの基幹ソフト(OS)「Windows(ウィンドウズ)XP」のサポートサービスが、今年4月9日に終了したことに伴う新型パソコンへの乗り換え需要や最新OSへのアップグレード需要の寄与である。   4月に入って、ニュースリリースで駆け込み需要に言及して業績を上方修正した銘柄(3月期決算会社銘柄以外も含む)は、4月1日公表の象印マホービン <7965> (東2)から前週末18日に発表のリオン <6823> までザッと9銘柄にのぼる。この駆け込み需要の大きさは、決算期が2月期と異なるが、高島屋 <8233> が、今年4月15日に公表した3月度の営業報告でみても明らかである。商品別の売上高で、雑貨が前年同月比83.3%増となったが、このうち美術・宝飾品・貴金属が、実に同2.4倍と2月度の32.2%増から大幅増となったのである。このことからも期末の急増した駆け込み需要が、3月期決算会社の業績を一段と押し上げたことになったと推定される。   ただし、これを株価感応度の側面からみると、この9銘柄の株価は素直に好反応したとは言い難い。例えば4月17日に前2014年3月期業績の合計4回目の上方修正を発表した資生堂 <4911> は、小幅高にとどまっており、前回の3回目の今年1月の上方修正時の瞬間風速の強さやその後の約300円の上昇幅に比べると、大きく見劣りがした。   要するに、この4月に入ってからの上方修正は、増税前の駆け込み需要が前2014年3月期業績に織り込み済みとなっていて、すでに業績評価のステージが、今2015年3月期業績の動向に移っていることを反映していることを意味している。駆け込み需要が、大きければ大きいほど、その先取りの反動減への懸念を強めて今期業績への警戒感を強めているわけだ。消費者の消費マインドの低下、企業経営者の経営センチメントの慎重化が、今期業績のガイダンスにどうカゲを落とすか、決算発表を見極めたいとする投資家心理の要因となっているのである。   では、もう一つの業績上方修正要因の「WindowsXP」からの乗り換え需要の方はどうか?この上方修正は、4月8日公表のオービックビジネスコンサルタント <4733> (OBC)から4月14日公表の三谷産業 <8285> (名2、東2)まで4銘柄となった。トーメンデバイス <2737> や三谷産業のように、駆け込み需要とXP乗り換え需要の二つを上方修正要因にあげるケースも出ている。こちらの方も、株価感応度は、最も上昇したOBCでも約5%高にとどまるなどいま一つであった。   しかしである。この二つの上方修正要因が、続く今2015年3月期業績にどう影響するかといえば、乗り換え需要は、さらに今期業績をさらに押し上げるエンジンになる可能性があり、駆け込み需要とはプラス、マイナスの逆方向の力学が働くことも想定される。というのも、民間調査機関の推定では、XPを搭載したパソコンの稼働台数は、昨年12月末に1227万台に達しており、その後は、新型OSなどへの乗り換えが進んでいるものの、今年6月時点ではなお592万台が、なお未処理のままにとどまるとされている。また総務省は、地方公共団体の保有パソコン約204万台のうち16%に当たる約26万5000台がXP搭載機となっている使用状況を明らかにしたからだ。今期に入っても乗り換え需要が続き、業績上ぶれ要因となるとすれば、関連株の投資価値はより向上することになり、少なくとも関連株だけには、選別的に先進的な業績相場発進が期待できることになる。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)
いよいよ3月期決算期会社の決算発表が、きょう21日の安川電機<6506>(東1)、明22日の日本電産<6594>(東1)を皮切りに本格スタートする。
浅妻昭治
2014-04-21 14:15